ピッチでの共同平和宣言
広島市立広島商業高校の広島市商ピースデパート本部役員である川廣凛音さん、深井日和さん、小笠原涼寧さんと、長崎市立長崎商業高校の生徒会役員である小林莉央さんの4名がピッチに立った。

ピースウィングで共同平和宣言が行われた-Journal-ONE撮影
姉妹校としてこれまで様々な平和貢献活動を行ってきた広島商業高校と長崎商業高校だが、今回は広島の新しい顔となったピースウイングで“広島市商・長崎商業・共同平和宣言‟を表明。
相互の被ばく体験を学び合い、その共有した被ばく体験を次世代に語り継ぐ。ヒロシマ・ナガサキから核兵器廃絶の声を世界に向けて発信することを高らかに宣言すると、選手やスタンドからは大きな拍手が沸き起こった。
そして、両チームの選手と、未来を担う子供たちがピッチに立って黙とうを捧げるセレモニーでは、心地よい風の吹くピースウイングの静寂に包まれる中で、平和の鐘を鳴らした皆さん。選手、スタンド一体となった平和への祈りをより思い深いものにしてくれた。

平和の鐘を鳴らず広島商業高と長崎商業高の生徒さん-Journal-ONE撮影
広島市商ピースデパート担当の大里 晴香教諭は、「被ばく80年を迎え、実際の体験をお話しいただける方が少なくなってきました。生徒たちの研究が世界中の人たちが平和を考える一助になってくれれば」と、今日の平和宣言に思いをはせる。
同校の原紺勇一校長も、「生徒たちは毎年、地道に活動を続けています。そうした取り組みによりジーコチャリティーマッチからお声掛けをいただき、サッカーファンの皆さんと平和宣言をすることができて嬉しく思います」と、同校が取り組む平和教育が広く世界に広がる機会に臨む生徒たちを優しく見守っていた。

ピッチで平和宣言をした広島商高、長崎商高の皆さん‐Journal-ONE撮影
平和のためにサッカーができること
中田英寿さんは試合を振り返り、「ジーコチャリティーマッチをきっかけに、何を考えて生きていかなければならないのかを。節目のような被ばく80年という今、みんなに考えて欲しい」と話す。

試合後に改めてサッカーでの世界平和貢献について話した中田英寿氏-Journal-ONE撮影
試合を終えたジーコさんも、「素晴らしいイベントになったと満足している。継続して出来るように考えていくことが必要で、その伝統を作っていきたい」と今回日本で初開催した自身のチャリティーマッチを振り返った。
「理解して欲しいことは、これだけのスーパースターを集めるのがどれだけ大変かということ。それでも、今日観戦に来てくれた子どもたちが本当に多かったですよね。この取り組みが、子どもたちの未来のため私たちの未来のためにもなるのです」と、開催実現に協力してくれたスポンサーや鹿島アントラーズ、広島の関係者の皆さんの協力に感謝の意を示したジーコさん。

初の日本開催チャリティーマッチ成功を喜ぶジーコ氏-Journal-ONE撮影
最後にもう一度、「私の人生の中で時には対戦相手として、時にはチームメイトとして戦った選手たちが、これだけたくさん参加してくれたことをとても幸せに思います。参加してくれた全員が笑顔を見せてくれて、それを見て本当にやって良かったなと。とても感動しました」と、幸せな気持ちを噛みしめるように語ったジーコさん。再びの開催を願い、笑顔でエディオンピースウイング広島を後にした。
被ばく80年、平和について考える
2016年、バラク・オバマ米大統領(当時)が現職の米国大統領として初めて被爆地、広島を訪れた。第2次世界大戦の全ての犠牲者を追悼したオバマ大統領は、現在でも見られる国家間の侵略行為、テロ行為、残虐行為や抑圧から自らを守るために、核兵器を使用しない世界を追求するとスピーチした。
2023年、G7広島サミットではホスト国の岸田文雄内閣総理大臣を中心に、“現実的で実践的なアプローチを通じて「核兵器のない世界」の実現に取り組む”と首脳宣言で発表された。
