9分、日本代表は相手の反則からPGを狙わず、相手陣22m内でモールを選択。モールを押すかに思われたが、FW陣はサインプレーを選択した。「BK陣はFW(フォワード)がモールを組むと認識していて、コミュニケーションというか、認識の差があった。チームとしてコネクトしないといけない部分があったのでは…」とSO李は唇を噛んだ。

試合中、修正点を確認するFW陣‐斉藤健仁撮影
強豪相手とのテストマッチでは、やはりチャンスはあまり回ってこない。数少ない好機でトライを挙げることができないと、勝利を得ることはできない。
25分にもランで攻め込み好機
25分、FB矢崎がハイボールキャッチから相手陣にランで攻め込み好機を得る。しかし、自分たちのミスでトライに結び付けることができなかった。
まだ、2トライを挙げれば逆転ができる点差。日本代表は初キャップのSO小村真也(トヨタヴェルブリッツ)らベンチメンバーを投入した。
ただ、最後までキックなどのミスが重なった。さらに後半27分以降、相手に3トライを喫して、終わってみれば7-41で敗戦した。

アイルランドの屈強なFWに止められた日本代表‐斉藤健仁撮影
試合後のコメントと課題
ジョーンズHCの試合総括
試合後、敗戦のショックを隠し切れなかったジョーンズHCは「残念な結果になった。前半は勝利をつかめる可能性が十分にある状況だった」。
「恐らく、ハーフタイムには若干のモメンタムが我々の方に向いていた。自分たちは後半最初の10分間でその優位性を活かし、アイルランドに本格的なプレッシャーをかける必要があった。しかし、我々はシンビンの機会を活かせなかった」と落胆した表情を見せた。
攻撃の形と決定力不足
日本代表は南アフリカ代表戦とは違い、テンポの良いアタックでチャンスを作った。しかし、トライは前半にFWのモールからのみだった。
なぜ、決定機や数的有利な時間でトライが取れなかったのか。指揮官に聞くと「3つ、4つチャンスを作り出すことができたが、活かすだけの力が足りなかった」。
「トライの可能性があった場面は、ラインブレイク時の冷静さがなく、オフロードパスを出すタイミングの判断ができていなかった。こうした細かい部分こそが我々が改善すべき点」と話した。

試合後の会見に臨むエディHC(左)とワーナー主将‐斉藤健仁撮影
キャプテンと選手のコメント
キャプテンのLOディアンズは「(数的有利だった)後半の最初の10分はチャンスがあってもミスしてしまった。相手のプレッシャーというより、自分たちがミスしたという感じ。がっかりしている」と話すにとどめた。
SH齋藤の冷静な分析
7月のウェールズ代表戦以来のテストマッチで、アタックをリードしたSH齋藤は冷静に話す。
「前半からゲインできたが、スコアできなかった。スコアできたのはモールとPGだけというのが課題」。「数少ないチャンスで、全員でスイッチを入れて、トライを取らないと難しいゲームになってしまう」と分析した。

7月以来の代表参加となった齋藤直人‐斉藤健仁撮影
リーチの前向きな姿勢
92キャップ目となったFL/NO8リーチは、「南アフリカ代表戦よりはよかった。形はめちゃくちゃ良くても最後にトライが取れない。自分たちが目指している形が見えてきているが、どうやってトライに結び付けるか。アタックもディフェンスの仕方も上がってきて、あとは選手の責任でどれだけ質を高くできるか。コーチ陣と一緒に考えてやっていきたい」と前を向いた。

リーチ(左)とワーナー、新旧の日本代表キャプテン‐斉藤健仁撮影
今後の欧州遠征と目標
ワールドカップで有利になる世界ランク12位を目指す戦い
たとえ味方同士の練習の中でできていても、アウェイのテストマッチ。本番で強豪相手のプレッシャーの中、どう遂行力を発揮するのか。1週間でどこまで修正できるか、ジョーンズHCの手腕が問われることにもなろう。
PNCでチーム状態が上向きで期待感はあった。しかし、強豪相手に厳しいレッスンを受け続けている。一歩進んでは再び、半歩下がるという状況を繰り返しているエディー・ジャパン。強豪相手に3連敗となったが、まだツアーは続いていく。

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