第4Q:8,535人の赤いボードが揺れた瞬間、試合は「全員のもの」になった
赤い壁が立ち上がったオフィシャルタイムアウト
第4Qは、まさに手に汗握る死闘だった。開始早々から互いに得点を重ね、点差は縮まり、広がり、また縮まる。折り返しが見えた時点で66-65。アルバルクがわずか1点リード。ここで迎えたオフィシャルタイムアウトが、この夜を象徴する場面になった。
配布された真っ赤なボードを、8,535人のブースターが一斉に掲げる。視界が真紅の壁になる。赤い点が集まって面になる瞬間、人の数が“音”に変わる。歓声はただの声ではなく、地鳴りのような圧になる。コート上の選手が戦っているのではなく、選手とスタンドが同じ色で繋がり、同じ呼吸で戦っていた。WE RED DAYの赤は、演出ではなく共闘の証明だった。
タイムアウト明け、試合はさらに濃度を増す。2分間、互いのディフェンスが得点を許さない。攻めても守られ、打っても落ちる。ここから先は、シュートの上手さよりも、判断の正しさがものを言う。

手に汗握ったゴール下の攻防-Journal-ONE撮影
逆転、再逆転、そして“最後の一手”を掴んだ瞬間
そんな沈黙を破ったのは富山のブロック・モータムだった。混戦を制し、逆転シュート。残り3分。心臓が跳ねる。だが、焦りは生まれない。ここで取り返す絵が、アルバルクには見えている。
そして安藤が逆転ショット。さらに残り2分、安藤がフリースローを2本沈めて70-67。終盤のフリースローは、技術よりも精神が問われる。決めて当然と思うほど、決めるのが難しい。それを2本揃えて入れることが、勝利の輪郭を太くする。
しかし富山も最後まで譲らない。直後にウィリアムス・ニカがペイント内から決め返し、70-69。1点差。
残り1分30秒。どちらが点を取ってもおかしくない。オフェンスの執念とディフェンスの覚悟がぶつかり合い、時間が粘度を持って進む。
最後に勝敗を分けたのは、リバウンドだった。もう一度攻める権利を与えないことが、接戦の最終手段になる。アルバルクはその最後の一手を取り切り、1点差を守り切った。数字には収まらない重みが、確かにそこに残った。

リバウンド、シュートと躍動したライアン・ロシター‐Journal-ONE撮影
アドマイティスHC ― 「前半と後半は真逆」勝利の芯を語った言葉
試合後、デイニアス・アドマイティスHCの言葉は明快だった。前半と後半が真逆の展開だったことを認め、前半に48点を許した現実を受け止めた上で、後半はディフェンスからプレーのリズムを取り戻したと語る。
第3Qの大逆転は勢いの偶然ではなく、守り直して流れを掴み直した必然だという整理だ。
さらに指揮官は、「試合中ずっと集中力を切らさないように伝え続けた。」と明かした。そして、選手たちがその指示を遂行したことを称えた。ローテーションが厳しい状況でも、小酒部はもちろん、大きな選手もそうでない選手も、自分のマッチアップ相手の得点源を抑え切った。その積み重ねが、最後の1点差の局面で生きたという見立てである。
富山についても、「最近の内容が良いチームであり、フィジカルな面で今後も要注意の相手だ。」と評価。2日間の健闘を称えた。
そして話は次の千葉ジェッツ戦へ向かう。厳しい試合になることを前提に、「ビッグラインナップで守備の優位を獲りにいく。相手がスモールで仕掛けてきてもチーム全体でカバーしていく方向だ。」と、対決構想を語った。
勝って終わりではなく、勝ち方を次へ更新していく。その視線の先に、6連勝の理由が透けて見える。

2連戦を振り返るアドマイティスHC‐Journal-ONE撮影
天皇杯制覇と6連勝、そして千葉J戦へ ― 赤を“勢い”ではなく“基準”にする
天皇杯を制し、リーグ戦でも6連勝。勝利を重ねるチームには、勢いとは別の“基準”が生まれる。富山との2連戦は、まさにその基準を浮かび上がらせた。
前日は勝ち切り、翌日は大逆転から1点差を守り切る。勝ち方が一つではないことが、長いシーズンを戦う上で何より大きい。

勝利の瞬間喜びを現すセバスチャン・サイズ‐Journal-ONE撮影



















