中国ランタンで長崎の町が赤く灯る
ランタンフェスティバル
中国には、春節(旧正月)という旧暦1月1日にあたる日をお祝いする重要な祝日があります。日本でもこの春節に合わせて町の振興のため、長崎県長崎市では中国提灯(以下、ランタン)で街を赤く灯すお祭りが開催されています。それが、「長崎ランタンフェスティバル」です。
毎年、新年をお祝いするお祭りが2月上旬から開催。2026年は2月6日(金)から23日(月・祝)の18日間で行われます。長崎の街が明るく灯る季節がいよいよ近づいてきました。
そんな2025年1月に行われたランタンフェスティバルにJournal-ONE編集部が参加。春節を祝う華やかなお祭りで楽しい時間を過ごしました。

ランタンが光り輝く眼鏡橋-Journal-ONE撮影
ランタンフェスティバルの始まり
始まりは1987年に春節祭として開催したこのお祭り。1994年に長崎ランタンフェスティバルと改名し規模を拡大してから2026年で33年を迎えます。今では長崎の冬を彩る一大風物詩です。
ところで、お祭りの名前にもあるランタンで街を装飾するのはなぜかご存じですか?それは元宵節(げんしょうせつ)という旧暦1月15日に関わる言い伝えが関係していると言われています。
実は、中国では天の精霊が空を飛ぶのを見ることができると昔から言われていました。そのため旧暦1月15日には雲や霧が出ていても、精霊を見つけやすいようにランタンを灯し街を歩いていたそうです。そこから、この時期には街の至る所にランタンが装飾されることに。天の精霊を見つけられるようにしたのが始まりとされているのです。

長崎の街をランタンが赤く灯します‐Journal-ONE撮影
各会場で壮大なオブジェが祭りを彩る
晴天の会場へ
それでは、長崎ランタンフェスティバルの見どころを、いくつかご紹介しましょう。
まずは、お祭りのメインともいえる、ランタンと共に街を明るく彩る人や動物などのオブジェ。そんな、お祭りのメイン会場となっているのは4カ所。新地中華街を抜けた先にある湊公園に設置された新地中華街会場。人気観光地の眼鏡橋から徒歩5分の所にある中央公園会場。
さらに、市内最大の商店街である浜市アーケードを進むと見えてくる浜んまち会場。そして、江戸時代に中国人居住者が隔離され住んでいたという唐戸屋敷会場です。

中央公園の圧巻のオブジェ‐Journal-ONE撮影
オブジェに込めた願い
その4会場には、見渡す限りに壮大なオブジェがたくさん飾られています。その中にあるのは、中国伝説の鳳凰や鶏、鶴など。たくさんの縁起のいい鳥があしらわれているのです。
なんと大きいもので高さは10メートルもあり、夜に一斉点灯する瞬間はまさに圧巻!
さらに、オブジェには長寿や世界の幸福を願うというメッセージが込められているのです。80年前、原爆の被爆地となった長崎県。この長崎という地でランタンフェスティバルが行われているのは、とても意味のあるものに感じますね。
フェスティバルの日中はオブジェ本来の色や繊細な作りをはっきり見ることができます。一方、夜には会場を赤く染めるその景色は思わず見惚れてしまうほどの絶景に。特に、新地中華街会場と中央公園会場にあるステージの周りを華やかにする、様々な種類のオブジェが観客を魅了します。

夜になると赤く染まるオブジェ-Journal-ONE撮影
縁起のいい「赤」
真っ赤な光がぎゅっと凝縮されて辺り一面が明るく灯された風景。実は、赤色は中国で喜びなどの意味を持ち ”最も幸せな色” なんだそうです。新年早々、縁起の良いお祭りとも言えますね。
しかし、長年続いているお祭りには問題も。それは、各会場にあるオブジェは毎年修復しながら約20年間も大切に使い続けているということ。毎年、メインオブジェは新しいものを購入していましたが、今年は特に物価の高騰で購入を見送りに。2025年は、前年と同じものを使用していたそうです。
この長崎ランタンフェスティバルは ”100年間愛されるお祭り” を目指しています。その中で来年は33年目。まだまだ長く続けていくためにも、地域や企業との連携が課題になるのかもしれませんね。



















