藤田を追う、150打点達成
世界最高峰の女子ソフトボールリーグ“JD.LEAGUE(以下、JDリーグ)”。秋風を感じ始めた10月、激戦の東地区でプレーオフ進出を決めた。
そのJDリーグで10月15日現在、東地区2位とプレーオフ進出圏内を死守している“ビックカメラ高崎ビークイーン”の内藤 実穂選手。去る5月25日に通算150打点を達成した。
2013年、佐賀県の佐賀女子短期大付属佐賀女子高校からJDリーグの前身であるルネサスエレクトロニクス高崎に入団した内藤選手。それから13シーズン目を迎えた2025シーズン、対伊予銀行ヴェールズ戦で勝ち星を挙げてこの大記録を打ち立てた。

内藤選手の記録達成ステッカーを配布-Journal-ONE
NPB大記録と比肩する偉業
JDリーグにおける歴代の通算打点数は、「女・イチロー」と呼ばれた山田恵里選手(デンソー)の219打点。150打点を越えた内藤実穂選手は、同じく今シーズンに200打点に到達した先輩・藤田倭選手とともに、歴代最高打点数の更新に期待がかかる選手だ。
実働16年目で200打点に到達した藤田選手と同じく、実働12年目で150打点に到達した内藤選手も、超人的なスピードで打点を挙げ続けなければならなかったはず。同じダイヤモンドゲームであるNPB(日本プロ野球)の記録と比較することで、内藤選手の記録達成の凄さが感じられた。
NPBの最多打点記録を持つのは、世界の本塁打王・王貞治選手(巨人)だ。実働22年という現役生活で積み上げた打点は、2,170打点。内藤選手よりも10年多いシーズンを過ごした王選手だが、2,000打点以上多い数字を見ると比較が難しい。
しかし、実働年間で行われた総試合数が、2,890試合である王選手。試合数を打点数で割ると「1.33試合に1打点」を挙げていることになる。対する内藤選手は150打点達成試合までに行われた総試合数は286試合、「1.91試合に1打点」を挙げている換算となる。

ハイペースな記録更新で打点を量産-Journal-ONE撮影
さらに、1試合当たりのイニング数が少ないソフトボール。当然、1試合で回ってくる打席数が少ないため、規定打席数で比較してみると、王選手が8,959打席(規定打席数3.1)で2,170打点となるため「4.13打席に1打点」を挙げるペース。対する内藤選手は600.6打席(規定打席数2.1)で150打点となるため「3.03打席に1打点」を挙げていることになるのだ。
両選手とも高卒ルーキーで入団し、投手から打者に転向している経歴を持つ。そこで、王選手の入団から12年目を終えた時点での成績と比較すると、王選手は「5.87打席に1打点」とさらに内藤選手のハイペースぶりが確認できる。
記録達成について振り返る
–150打点を達成した率直な感想を聞かせてください。
内藤)表彰されて嬉しいです。でも打点は自分の実力というよりみんなが塁に出てくれて、積み重ねたからこそ出せた150という結果だったので、この記録に関してはみんなに感謝という感じですね。

会場練習を終えた内藤選手にインタビューをしたーJournal-ONE撮影
-記録が迫っていることは事前に知っていたのですか?
内藤)達成するまで知らなかったですし、自分自身が150打点もあげているという自覚はあまりなかったです。でも自分もリーグ1年目から試合に出ているわけではなく3、4年目ぐらいから規定打席に到達したぐらいだったので、約10年ぐらいでここまで来たんですね。
-知らなかったということですが、記録はあまり興味がないんですか?
内藤)ないですね。数字も打率とかも普段から全然気にしないです。
今だからわかるソフトボールの深さと楽しさ
-ここまで長くソフトボールを続けてきて良かったと思うことは何ですか?
内藤)リーグ8、9年目、オリンピックの前後くらいからソフトボールの深さや楽しさが分かってきたので、その面では長く続けて良かったなと思います。その前までは全力で自分が頑張るみたいな感じでやっていたので。それ以降は配球だったり、バッティングの色々な打ち方といったソフトボールの深さを知れて楽しいなと感じています。
-内藤選手はリーグに入って投手から野手に転向して苦労されたと思いますが、そういう時はどうやって壁を乗り越えたのでしょうか?

