後が無い千葉ジェッツは、第3クォーター終盤に取り戻したモメンタムを継続して猛反撃に転じる。残り5分余りとなったところで、スミスの連続得点で点差を一桁台まで縮めるとホグの3Pシュートで6点差。息詰まる展開に、ホーム・宇都宮ブレックスファンはもちろん、アウェイながらに会場の多くを占める千葉ジェッツファンからも悲鳴のような歓声が沸き起こった。

黄色(宇都宮)と赤色(千葉J)の声援が乱れ飛ぶ日環アリーナ栃木-Journal-ONE撮影
絶対に負けられない宇都宮ブレックスは、ディフェンスチャージ、リバウンドで流れを引き寄せると、ジェレット、比江島の3Pシュートで一気に引き離して試合の主導権を奪い返す。
12得点差で残り3分を切り苦しくなった千葉ジェッツは、ギャンブルプレーで再びのビッグチャンスを作ろうと奮闘。富樫、渡邊も最後の力を振り絞って懸命なプレーを続けるも小川が富樫のドリブル突破をターンオーバーするなど宇都宮ブレックスも最後まで必死のディフェンスを見せる。結果、第2クォーターでのリードを守り切った宇都宮ブレックスが82-71で勝利。ライバル・千葉ジェッツを下して4度目のファイナル進出を決めた。

ファイナル進出を決めた瞬間喜び合う宇都宮ブレックスベンチ‐Journal-ONE撮影
多難を乗り越え指揮官がシーズンを振り返る
ナイトゲームとなったこの試合、移動時間が迫る中で千葉ジェッツを代表して会見に臨んだのは、トレヴァー・グリーソンヘッドコーチだった。
「試合は残念な結果だった。6点差まで詰め寄ったが、ターンオーバーが多過ぎた。最後まで戦い続けたチームを誇りに思う」と、この試合を振り返る。主力選手の怪我が続き、特に渡邊が最後まで出場時間を制限してプレーせざるを得なかったこと、富樫が万全の状態でチャンピオンシップを戦えなかったことを残念がった。

チームを代表し最終戦の会見を行うグリーソンHC(千葉J)-Journal-ONE撮影
しかし、「ポジティブなことを考えれば瀬川が大きな成長を見せくれた。今日も献身的なプレーを見せた田代、原なども本当に頑張ってくれた」と、苦難のシーズンを乗り越えて成長と活躍を見せた多くの選手たちに目を細めたグリーソンHC。選手、スタッフ一丸で苦難を乗り越えここまで勝ち進んだことへの感謝を述べると、阿部桃二香通訳は思わず声を詰まらせて涙。スタッフ、選手の絆でここまで勝ち進んだ千葉ジェッツの奮闘を垣間見る終戦会見となった。

好守に献身的なプレーを見せた田代直希(千葉J)-Journal-ONE撮影
“ららアリーナ効果”で観客数も史上最多
今シーズン、千葉ジェッツ最大の話題は、何といっても新アリーナ”ららアリーナTOKYO-BAY”への移転だろう。

史上最多の観客動員数を叩き出したららアリーナ‐Journal-ONE撮影
これまでのホームである”船橋アリーナ”の収容観客人数は、約5,000人前後。これに対し、ららアリーナTOKYO-BAYの収容観客人数は約10,600人。交通の便の良い、JR京葉線・南船橋駅から徒歩6分というアクセスの良さも重なり、レギュラーシーズンのホームゲームを通して295,416人(前年比212%増)、1試合平均9,847人の観客動員数を叩き出した。
この数字は、Bリーグクラブ主管試合レギュラーシーズン年間総入場者数とクラブ史上年間総入場者数を更新しただけではなく、Bリーグ歴代新記録となる金字塔だ。

オールスターゲームでも盛り上がったららアリーナ‐Journal-ONE撮影
近年のバスケブームだけでなく、国や自治体が推し進める“新アリーナ構想”のよる街づくり、地道に続ける地域活動を通じて存在感を高める千葉ジェッツ。フランチャイズの誇りとなるスポーツチームの取り組みは、様々なスポーツリーグ、全国の自治体からは大きな注目を集めている。