
ラスト1周で鮮やかなキックを見せ、三浦が男子3000m障害に勝利-児玉育美撮影
女子やり投が佳境に入ったところでスタートした決勝は、そのやり投で北口が優勝記録となる64m16を投げて会場を沸かせたあと、まるで見計らったかのようなタイミングで、残り1周を迎えることになった。
ラスト1周を伝える鐘の音に、観客の視線がトラックへ引き戻された直後、2番手にいた三浦の加速スイッチがオン。一気にギアを切り替えると、圧巻のキック(スパート)で前を行くミルケサ・フィカドゥを追っていく。その差をあっという間に詰めて、バックストレートで逆転。会場のテンションを思いきり引き上げたのだ。
三浦はその後も、「越えるたびに、まる加速するかのよう」と、世界的に高く評価されている障害飛越のテクニックを駆使して、最後の水濠と障害で後続との差をさらに広げ、8分18秒96でフィニッシュ。アフリカ系選手が上位でひしめき合うこの種目のなか、世界を舞台にする「サンショー選手」の魅力を存分にアピールした。
男子100mは栁田、男子走高跳は真野、女子三段跳で髙島がV-女子100mハードルでは3選手が12秒8台
2019年ドーハ世界選手権金メダリストのクリスチャン・コールマンや、昨年、18歳で9秒91をマークしているアメリカ期待の若手・クリスチャン・ミラー、さらには世界選手権2大会連続ファイナリスト(2022年・2023年)で、パリ五輪は決勝進出こそ逃したものの、日本歴代2位の9秒96をマークしている日本のエース、”サニブラウン アブデルハキーム”と、注目選手が揃ったことで前評判の高かった男子100mは、高校生のころから次代のエースと期待され、2023年・2024年に10秒02まで自己記録を縮めてきている大学4年生の”栁田大輝”が快勝した。
昨年9秒台をマークしている5選手がシード扱いで決勝のみとなったなか、栁田は予選から出場。その予選を、決勝に進める上位記録5選手の5番目のタイムでぎりぎり突破する形となったが、決勝ではスタート直後からリードを奪うと、ミラーやコールマンの追随を許さず、今季日本最高となる10秒06(+1.1)のシーズンベストをマーク。前回に続く連覇を達成した(なお、サニブラウンは決勝前のウォーミングアップで生じた脚の違和感により、大事をとって欠場)。

男子100mで連覇を遂げた栁田(右端)は、予選をぎりぎりで通過したなかでの快走だった(写真は予選のもの)-児玉育美撮影
男子走高跳では、オレゴン世界選手権で入賞を果たしている”真野友博”が、2m27を1回で成功させたことで、2m24終了段階の3番手から一挙に形勢を逆転してV。また、女子三段跳では、今季春から好調の”髙島真織子”が13m66(+0.8)で4月の織田記念に続いて快勝。栁田、真野、髙島ともに、次戦となるアジア選手権(韓国・クミ)でのさらなる躍進を期待される結果を手にしている。

美しいフォームで2m27を1回でクリアする真野。この成功試技で優勝を決めた-児玉育美撮影
このほか、優勝には届かなかったものの、女子100mハードルでは、日本人トップを占めた”田中佑美”が、日本歴代2位の自己記録(12秒83)を0.02秒更新する12秒81で3位に食い込むと、4月の織田記念で自己新を塗り替えたばかりの”中島ひとみ”と”清山ちさと”も好走。中島は日本歴代3位の12秒85、清山は同6位に浮上する12秒89と、自身初の12秒8台をマークして4・5位でフィニッシュしている。
また、女子中・長距離では世界を舞台に活躍する”田中希実”が、今大会は3000mでペースメーカーを務めたのちに、1時間40分後に行われた1500mに出場したことで注目を集めた。田中は3000mで2000mまでを5分55秒前後で引っ張り、8分50秒64の自己新で3位となった”山本有真”らの好走に貢献。トップが3分台を狙うハイペースで飛び出したために、第2グループを牽引する形でレースを進めた1500mは、きっちりと終盤で抜けだし、今季自己2番目となる4分06秒08で2位を占めた。

3000mのペースメーカーを務めたのちに1500mに挑んだ田中-児玉育美撮影

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