最近の週末は雨に見舞われることが多く、5月31日の東京もあいにくの雨……。品川を拠点に3×3グローバルプロリーグ「3×3.EXE PREMIER」に参戦するSHINAGAWA CC WILDCATS.EXE(シナガワ シーシー ワイルドキャッツ エグゼ)もホームゲームの会場を泣く泣く、バックアップコートに移した。だが、リーグから毎年大会を地元へ誘致して今年で4年目とあって、会場は熱気を帯び、チームオーナーや選手からも熱い想いが寄せられた。3×3を起点に生まれた賑わいに迫る。
仕事とバスケを両立する選手たち。日本代表候補も
品川の港南エリアを拠点に活動するSHINAGAWA CC WILDCATS.EXE(以下ワイルドキャッツ)は、2019年に設立された3人制バスケットボール・3×3のプロチームである。選手たちは会社勤めをするなど「仕事」と「バスケットボール選手」を両立するいわゆるデュアルキャリアの持ち主であるが「オフェンスで驚きを。ディフェンスで感動を。」をコンセプトに、国内外で活躍するチームに成長してきた。

白いユニフォームのワイルドキャッツ #2の伊藤 尚人選手Ⓒ 3×3.EXE PREMIER
2023年には「3×3.EXE PREMIER」や、国内ツアー大会の「3×3 JAPAN TOUR」のシーズン優勝決定戦で準優勝を飾り、3×3日本選手権大会でも2024年から2年連続で4強入り。3×3クラブ世界No.1を決めるツアー大会「FIBA 3×3 ワールドツアー」にも出場経験がある。ことし5月に発表された3×3男子日本代表候補には成瀬 新司(No.5 / 188cm)、伊藤 尚人(No.13 / 168cm)、下川 拓海(No.17 / 188cm)の3名が選ばれたほどだ。地域活動にも積極的で港南エリアだけでなく、東品川など他のエリアのイベントにも呼ばれるようになっているそうだ。
チームを運営する母体は、2006年より品川の港南エリアで活動する品川CC(カルチャークラブ)になる。そのルーツは社会人サッカーチームの結成に始まり、いまでは3×3のほか、アメリカンフットボールチームやチアリーダーズ、ブラインドサッカーチームが仲間入りして、総合型地域スポーツクラブへ発展。クラブのテーマに「BRIDGES」(橋をかけよう)を掲げ、人と人、人とまち、まちと企業など様々なものの架け橋となれるよう地域に根ざした取り組みを進めている。

ファンの声援が選手の背中を押すⒸ 3×3.EXE PREMIER
4年目のホームゲーム…「毎年認知が増えています」
そんなワイルドキャッツを象徴する取り組みの一つが、品川でのホームゲーム開催である。2022年より「3×3.EXE PREMIER」の8ラウンドあるレギュラーラウンドのうち、1ラウンドをリーグから毎年誘致。ことし5月31日には「3×3.EXE PREMIER 2025 JAPAN MEN’S Round.2 presented by 品川インターシティ」として、4度目の誘致大会を開催した。3×3はBリーグのようなホーム&アウェー形式で試合をすることはなく、大会主催者側が会場を用意して、チームが参加する方式が多い。活動拠点を離れて転戦するケースがほとんどなだけに、このような舞台はチームに携わる者たちにとって特別である。
ワイルドキャッツの代表を務める遠塚谷 流(とおづかたに りゅう)氏も、かねてよりチーム運営をする中で「地域の皆さんに喜んでもらうためには、ホームゲームをしなきゃいけない。そのためには大会を(リーグから)誘致する必要があるという話をしていました」と振り返る。誘致に当たってはリーグに対して支払う誘致費用のほか、当然のことながら運営費用も必要になるため、当初は「どうしようかな」と悩んでいたそうだ。
しかし、チームのスポンサーを務める日鉄興和不動産が力を貸してくれたという。同社が誘致大会に興味を持ち、管理・運営する「品川インターシティ」が会場に。JR品川駅直結のオフィスや商業施設を兼ね備えた複合施設の利用者や来場者の満足度を高め、土日におけるエリア一帯の賑わい創出のため、PREMIERの活用はうってつけだった。さらに、3×3以外のスポーツも組み合わせたイベントにしようという話になり、「みんなの品川スポーツFES.」(ことしの主催は日鉄興和不動産・住友生命・大林組 / 共催は3×3.EXE PREMIER・SHINAGAWA CC)という取り組みになったそうだ。複数競技のチームを持つ総合型地域スポーツクラブだからこそ、実現できると言ってもいいだろう。

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[写真]=Nobuhiro Fukami