
2024年に品川インターシティで開催された試合の様子Ⓒ 3×3.EXE PREMIER
5月31日の開催に向けては、年明けより準備がスタート。遠塚谷氏曰く「開催日の調整をしたり、全体のコンセプトを決めたり、誰を(ゲストで)呼んで、どんな内容にするのか。そんな話を本当に毎週のように関係者の皆さんと定例会を設けて、少しずつ詰めていって今日を迎えています」と振り返った。
とりわけ、今大会は過去3年の経験をいかして、イベントの設計にもこだわった。ワイルドキャッツの試合の合間に、元サッカー日本代表で、社会人サッカーチーム・品川CCで監督を務める槙野 智章氏によるトークセッションや、品川区を拠点に活動するプロダンスチーム・セガサミールクスのパフォーマンス、クラブのチアリーダーズ・レインボービーナスの体験会やスポーツクライミング日本代表の安楽 宙斗によるボルダリング体験会など様々なイベントを配置。飲食ブースにも力を入れた。遠塚谷氏は「1日中お祭りとして楽しめるように、例年以上に綿密に計画しました。毎年進化している中で、今年が一番準備ができた」と話す。そんな力を注いだだけに、この日あいにくの雨によって、メインコンテンツであるPREMIERの試合会場を屋内のバックアップコートに移さないといけない状況に「残念ではありますよね」と胸の内を明かした。

2025年は雨で会場が変更し、アイルしながわにⒸ 3×3.EXE PREMIER
それでも、バックアップコートに場所を移しても、品川で継続的に活動してきたからこその変化を遠塚谷氏は感じた。会場となったアイル品川は品川区の施設であり、ワイルドキャッツも日頃から練習コートとして利用している愛着のある場所。行政からのサポートも得られるようになってきたそうで「この施設は、ある程度長い間使わせていただいていることもあって、利用に当たってご協力をいただいており、非常に助かっています。地域から応援いただいてる感覚がすごくあります」と話す。さらに、この4年の積み重ねも感じていた。

ワイルドキャッツの慣れ親しむホームコートで開催されたⒸ 3×3.EXE PREMIER
「誘致大会をしたからと言って、売上や利益が大きく上がるわけではありません。(Bリーグのようなチケット販売による)入場料収入はありませんが、本当に日鉄興和不動産さまより支援をいただいたこの大会をきっかけに、いろんな方にチームを知ってもらえたり、品川で3×3を知っていただく機会になっています。明らかに毎年認知が増えていますので、とてもやって良かったと思っています」
ホームで優勝できず。「悔しい気持ちより、本当に申し訳ない」
一方で、選手たちにとっても誘致大会は、特別な大会のひとつになっている。チーム創設メンバーである成瀬は、31日の試合を終えて「アイル品川はいつもうちが練習をさせていただく場所です。そういったところでゲームができて、ファンの皆さんもたくさん来てくださるのは僕たち選手にとってもすごくありがたい」と話す。

成瀬選手が大黒柱としてチームを鼓舞するⒸ 3×3.EXE PREMIER
加えて、遠塚谷氏と同じくチームを取り巻くポジティブな変化も感じていた。彼は「以前よりも、本当に僕らのためのゲームにしていただいていると感じます。雨が降ったときにいつも練習してる場所が使えることもそうですし、会場の雰囲気作りもそうですよね。フラッグがたくさん立っていたり、ふらっと来た人が本当にうちのフラッグを持って応援してくださったりしている様子を見かけます。本当にここに至るまで、選手のためのいろんな尽力を感じます」と感慨深げな様子で語った。JR品川駅の自由通路に自分も載ったホームゲーム告知ポスターも掲示されて、反響の大きさも感じていたようだ。
「僕の活動を知らない方からも連絡が来ました。“お前がいたぞ!みたいな(笑)。Instagramで急にメンションされることもありました。ちょっと恥ずかしかったですけどね(笑)。我々はデュアルキャリアで基本的には働いてるので、もちろんプロ選手として自信を持っていかなきゃいけないんですけど、半分はそんな気持ちもありますよ。でも、すごくありがたいです」

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[写真]=Nobuhiro Fukami