
身体を張ったプレーで観客を魅了する成瀬選手Ⓒ 3×3.EXE PREMIER
ただ、そういった想いが強いだけに、この日は誘致大会で優勝ができず、成瀬は詫びた。
「チームとして誘致大会は、本当にたくさんの人が関わってくれて、いろんな準備をしてくださったので、何としても結果を出したかったんですけれども、なかなか上手くいかなくて。悔しい気持ちより、本当に申し訳ないという気持ちがいま強いです」
伊藤、米田 祐翔(No.1/ 180cm)、竹田 寛人(No.48 / 190cm)の4人でこの日に挑み、チームは予選を2連勝で突破したが、準決勝でHOKUSO RHINOS.EXEに18-21で敗戦。序盤の劣勢を盛り返して終盤には伊藤、竹田のスコアで一時は逆転したが、あと少し及ばず……。今大会を12チーム中3位で終えたが、良い試合をしただけではダメなのだ。

オールラウンドなプレーが光る竹田選手Ⓒ 3×3.EXE PREMIER

奮闘した竹田選手にはアサヒビールpresents スーパードライ賞が贈られたⒸ 3×3.EXE PREMIER
チームスタッフ、スポンサー、ファンの期待や支援、思いに報いるために、成瀬は「戦っている姿勢よりも、僕は結果だと思っています。結果を出したかった」と話す。勝利にこだわる姿勢があるからこそ、チームは力をつけ、応援されるチームになっていった今があるのだ。

米田選手は23歳の若きスコアラー。鋭いドライブは必見Ⓒ 3×3.EXE PREMIER
設立から7季目…持続的な活動のためにオーナーが持つ覚悟
ワイルドキャッツのオーナー、選手たちが並々ならぬ想いを向けている誘致大会。残念ながら品川インターシティでの開催はことし、叶わなかったものの、遠塚谷オーナーは今後も大会誘致の意向を持っている。継続の先に目指すそのあり方は、初夏の品川の風物詩と言ったところだ。
「年に1回のお祭り。今年もこの季節が来たねというような、大学で言えば文化祭みたいなものに(誘致大会を)仕立てるのが良いんじゃないかと思っています。地域の皆さんに、またこの季節が来たし、3×3もあるねと思ってもらえるものにしていきたいと思っています」

ユニークな顔パネルを持つ遠塚谷オーナー。チーム愛の深さを感じるⒸ 3×3.EXE PREMIER
そして、今シーズンはチーム始動から7シーズン目。国内で活動している数々のチームの中で、活動年数が長い方になってきた。3×3は他のプロスポーツに比べて少ない資金やリソースでチームを立ち上げ、リーグに参入できるのが魅力であるが、マネタイズが難しいと言われている。チームの持続性という観点では課題が多い。そんな中で遠塚谷氏は、ワイルドキャッツの運営を継続している中で見えてきたものについて言葉を選んだ上で「辞めない覚悟」と説いた。
「夢を見て3×3に参入される方も多いんですが、チームを運営する上で当然お金もかかりますし(参入前に)思ったよりも勝つのが難しい。選手のマネジメントやケアも必要です。だから、まずは継続してチームがあることが大事だと思います。僕はもし予算が減ったとしても、チームを辞めない覚悟を持っています。その安心感や前提があるから、地域の皆さんからご協力をいただいたり、僕らも地域で子どもたちやファンの皆さんとつながっていきたいと思っています。スポーツチームが返す価値の一つとして、地域と結びついていくことを僕らはやりたいし、やるべきだと思っています。そんな姿勢に対して、応援される方もいると思います。双方の関係性があることで、チームの活動も続くのではないでしょうか」

華やかなダンスで会場は明るくなったⒸ 3×3.EXE PREMIER
遠塚谷氏によると、チームは今シーズン、結果を求めつつ、練習拠点のアイル品川でエキシビションゲームやクリニックを定期的に開催していく方針を持っている。地域に根差した活動の先に、きっと賛同する企業や団体などサポートの輪がさらに増えていくに違いない。

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[写真]=Nobuhiro Fukami