今年も大漁旗や漁船をバックに、静岡県焼津市の漁港に3×3のコートが出現した。青空が広がり、海風によって潮の香りが運ばれてくる。シュートの軌道も左右されるが、それもこの土地でやるバスケの一部だ。6月1日、3×3グローバルプロリーグ「3×3.EXE PREMIER」に参戦するYAIZU CITY UNITED.EXE(ヤイヅ シティ ユナイテッド エグゼ)がホームゲームとして誘致大会を開催した。行政・地域から大きな支援を受けて、港町にあり続ける3×3チームに注目したい。
バスケで沸く漁港…元Bリーガーの姿も
6月1日、3×3グローバルプロリーグ「3×3.EXE PREMIER」のRound.2が、静岡県焼津市にある焼津PORTERSで開催された。同市を拠点に2018年から活動するYAIZU CITY UNITED.EXEが8大会あるレギュラーラウンドのうち、1大会をホームゲームとして誘致。漁具倉庫をリノベーションした複合施設の近くに特設コートが設置され、選手たちが熱戦を繰り広げた。立地を考えれば海風も強く、放ったシュートが右に左に流されたり、押し戻されてリングに届かない場面もしばしば。ただ、それも漁港バスケの景色の一つだ。

港をバックに設置されたコートはとても新鮮@3×3.EXE PREMIER
12チームが集結した中、ホームのYAIZU CITY UNITED.EXEは地元の大声援を受けてコートへ。飯田貴大(No.24 / 192cm)、杉山弘起(No.26 / 183cm)、上甲朝也(No.31 / 178cm)、石川尚樹(No.81 / 181cm)の4人で挑み、予選1試合目は奮闘するもZIGEXN UPDATERS.EXEに12-14で敗れ、2試合目は強豪のZETHREE ISHIKAWA.EXEに8-22で敗戦。12チーム中11位で年1度の大舞台を終えたものの、日頃からお世話になっているまちでプレーできた喜びは大きい。

YAIZU CITY UNITED.EXEがコートに現れると歓声が響きわたる@3×3.EXE PREMIER
焼津市にほど近い牧之原市出身の杉山は、チーム加入4シーズン目。地元でミニバスから高校までプレーしてきただけあって「家族や昔からの友だち、いま夜にバスケをやる仲間など、たくさんの方が見に来てくれました。緊張もしましたが、すごく嬉しいです」笑顔を見せた。
また、元Bリーガーで、今シーズンよりチームに加入して3×3に挑戦中の石川は「会場の盛り上がりが凄かったです。緊張は全くせず、ただひたすら楽しめました」と声を弾ませた。

石川選手のプレーに視線が集まる@3×3.EXE PREMIER
コートサイドには、彼がベルテックス静岡に所属していたときの先輩・加納誠也の姿もあり、石川曰く「来てくださいと僕がお願いして、無理をして来てくれたんです。シュートも決められて、ちょっとは良かったかもしれません。ベルテでは、1年しか一緒にやってないんですけど、もう面倒見の良い兄貴のような存在です」と明かした。現在、石川はカメラマンとして静岡で仕事をしながら、バスケをする身である。2024年冬にやや悔いを残しながら現役引退を表明していた中で、再び縁のある土地で自分のプレーで会場が沸くありがたみも感じている。
「何事にも変えられないというか、幸せですよね。僕を見に来てくれた方も本当にたくさんいらっしゃいます。月並みな言葉ですが、嬉しいという感情でいっぱいです。 ありがたいですね」

スピードで相手選手に挑む杉本選手@3×3.EXE PREMIER
漁港バスケのルーツ…マグロの荷捌き場にコート7面
そんな焼津ラウンドの開催は、ことしで3年連続5度目。「3×3.EXE PREMIER」はラウンドと呼ばれる大会をチームや商業施設など団体が誘致できる制度があり、YAIZU CITY UNITED.EXEも継続的に誘致大会を行ってきた経緯がある。試合以外にも20台のキッチンカーが軒を連ね、会場のすぐ隣にはリング2基を持ち込んで小中学生向けの大会も開かれて賑わいを見せていたほど。ただ、関係者に話を聞くと漁港でバスケ大会が開かれる歴史はもっと古いという。

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[写真]=Nobuhiro Fukami