アスリートが地元掛川を紹介! 「掛川城をバックに戦国武将の気分を味わう」遠州掛川鎧屋

アスリートが地元掛川を紹介!

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この日、試合に訪れた焼津市長の中野弘道氏によると「平成の最初の頃」には焼津漁港で小中学生を対象にしたバスケ大会が始まったそうだ。市長本人もバスケ経験者で、当時はまだ、3対3バスケが「ストリートバスケ」と呼ばれて世に出始めた時代。中野市長は「5対5のバスケは練習もハードに厳しくやっていると聞きました。ですから、子どもたちがもっと楽しめるバスケ大会が良いんじゃないかということで、先生やコーチは関係なく、春休みの前後に小中学生の卒業記念大会として始まりました」と明かす。地元のバスケットボール協会によって開催され、第1回大会に集まったチーム数は約130を数えるという。

海沿いに集まった沢山の3×3ファン@3×3.EXE PREMIER

「その歴史は長くて、当時の子どもたちがいま、30歳から40歳になっておられます。バスケットボールの3対3は、3×3としてオリンピック種目になってますが、焼津市では誰でも楽しめてストリートでもできるという草の根でやってきた取り組みがあります。いまチーム(YAIZU CITY UNITED.EXE)があったり、PREMIERの大会を(チームが)誘致して皆さんが楽しんでいただけることにつながっているんです」

また、バスケ大会の開催に尽力した戸田尊己氏(元焼津市バスケットボール協会会長)も「市のバックアップがあって(焼津漁港に)コートを6面。参加チームが多いときは7面ぐらいを取ってやっていたんですよ」と証言する。国内有数のマグロ水揚げの漁港とあって、コートを設置する場所は、屋根のついたマグロの荷捌き場だったそうだ。バスケに対する積極的な取り組みによって焼津市ではいま、数あるスポーツの中で最もバスケの競技人口が多いという。

会場で和やかに会話をされる戸田氏@3×3.EXE PREMIER

そして、バスケを楽しむ土壌が古くからある上に、YAIZU CITY UNITED.EXEは2018年、YAIZU GR UNITED.EXEという名称で誕生。中野市長は「子どもたちがプロ選手の皆さんの試合を見れば、憧れが生まれます。13万3,000人の焼津市を考えれば、大人数ではなく予算の範囲内を考える中で、3×3が一番良いんじゃないかということで、企業の皆さんにも協賛をしていただきながら新たな団体を作って、プロの3×3チームを作ったんです」と振り返る。その後、より市民生活に溶け込んだ活動をしていく方針のもと、現在の名称へ変更。チームオーナーを務める良知正浩(らち まさひろ)氏によると、運営費用のうちほぼ半分は焼津市からの補助金が充てられ、もう半分は地域からのスポンサー収入が充てられているという。全国的にも珍しい運営形態で、チームはまちにあり続けているのだ。

「どれだけ地域から必要とされるチームになるか」

一方で、行政や地域から手厚い支援を受けているだけあって、YAIZU CITY UNITED.EXEの運営方針からは地域ファーストの意識が強く感じられる。良知オーナーは「どれだけ地域から必要とされるチームになるか。これがまず一番だと思うんですね」と話す。大会誘致の背景についても「我々の運営費は市民の皆さんからいただいたお金になりますので、まず市民の皆さんに3×3を見ていただくのは、僕たちの活動としてマストだろうと考えています」と説く。

良知オーナーも大会実施について語る@3×3.EXE PREMIER

ただ、そうは言っても当初、誘致大会は手探り状態で始まった。良知氏は「正直言って、プロスポーツチームを作ったことがある経験者は我々の中にいませんでした。大会運営の経験者もゼロだった」と言う。そのため焼津市をはじめ、地元の観光協会やスポーツ協会、商工会議所にも相談やお願いをしながら、たくさんの支援を得て大会を作りあげていったそうだ。

チームの活動年数も、数えれば今年で8シーズン目。PREMIERの参戦チームの中では長いほうになってきた。地域に出向く中で、自分たちがまちに対してどう貢献できるのか。見えてきたものもあるという。

そのひとつが、次世代に向けたスポーツの環境作りの担い手になることだ。昨今、少子高齢化や中高生を取り巻く部活や教育現場の変化は焼津も例外ではなく、良知氏は「中学生、高校生のバスケット環境、スポーツ環境が不安定になってきています。部活動が合同チームになって数校まとめて活動されたり、私立に行く方が増えて、県立高校の運動部が無くなったり。競技ではなく、スポーツを楽しめる環境が子どもたちから無くなっているように感じます」と話した。

■記者プロフィール
大橋 裕之
WordsMotionという屋号でライター・編集者。バスケットボールが多め。アーバンスポーツの3x3バスケをはじめ、BリーグやDリーグを取材するほか、スタートアップ領域や新規事業領域のビジネス系インタビューも実績あり。企画も考え、コンテンツ制作に伴走します。

≫「X」アカウント
https://x.com/Words_Motion

[写真]=Nobuhiro Fukami
アクセス
焼津PORTERS
  • 東海道新幹線 静岡駅‐JR東海道線 焼津駅‐徒歩 10分
取材・文:
大橋 裕之( )
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