チームの活動年数も、数えれば今年で8シーズン目。振り返れば、PREMIERの参戦チームの中では長いほうになってきた。地域に出向く中で、自分たちがまちに対してどう貢献できるのか。見えてきたものもあるという。
次世代のためのスポーツ環境作り
そのひとつが、次世代に向けたスポーツの環境作りの担い手になることだ。昨今、少子高齢化や中高生を取り巻く部活や教育現場の変化は焼津も例外ではない。良知氏は「中学生、高校生のバスケット環境、スポーツ環境が不安定になってきています。部活動が合同チームになって数校まとめて活動されたり、私立に行く方が増えて、県立高校の運動部が無くなったり。競技ではなく、スポーツを楽しめる環境が子どもたちから無くなっているように感じます」と話した。

青空のもとシュートが放たれる@3×3 .EXE PREMIER
地域を巻き込んだ大会運営
地域と連携した大会開催
その課題を解決する一環として、チームは3×3の大会を年間で3度行っている。そして、誘致大会での小中学生向け3×3大会もその一つになる。参加チームの募集にあたっては静岡県バスケットボール協会の協力を得て、試合運営には焼津市バスケットボール協会のほか、市内の高校生たち40名の力も借りたという。
地域の力を結集したイベント
予算に限りもある中で良知氏は「いかに参画者を増やすか」とも話しており、今回の誘致大会においてバスケ大会には26チームが参加したほか、チアが2チーム、ダンスが1チーム、会場に花を添えた。子どもたちにとっては、この日が練習の成果を発揮する「発表会の舞台」になったと言えるだろう。

大迫力のプレーに子供達も興味深々@3×3 .EXE PREMIER
3×3を通じたスポーツツーリズム
またもうひとつ、チームが見えてきたものとして、3×3が「スポーツツーリズム」になるという考えだ。このような、大会誘致によって、ファンや関係者はもとより、各チームの選手に対しても「焼津を楽しんでほしい」という想いを良知氏は持っている。そして、今大会に向けては、大会前日に選手たちが利用できるウォーミングアップコートを準備して、各チームへ案内する。もちろん日本語だけでなく、英語の観光ガイドも選手控え室に置いたという。
そういったYAIZU CITY UNITED.EXEの活動を見て、中野市長も目を細めていた。
「社会性や協調性を身につけて、人を支えあって思いやることが一番重要だと思います。それを今チームに教えていただいています。焼津市にはたくさんの競技があります。その中で、バスケットボールでそういう形を進めてます。市内にたくさんのスポーツ競技がある中で、チームにはその旗頭になって、スポーツを通じたまち作り、人が支え合う社会を作っていきたいと思っています」

焼津を盛り上げるために中野市長にも熱が入る@3×3 .EXE PREMIER
次世代のために。焼津から世界へ
チームの持続と未来への展望
そんな地域に根ざした活動を続けてきたYAIZU CITY UNITED.EXEも、あと2年で設立10年目が見えてくる。良知オーナーは今後に向けて「チームを続けること。そのために何をすべきかを考え続けています」と語る。継続することで見えてくる課題を解決し、補強していけば「足元が強いチームができると思います」と、先々を見すえる。
誘致大会については、より良い形を模索しており、まちに訪れるチームに対して宿泊や飲食の割引などの施策案を考え中だ。「地域の人たちがこの大会を待ち望む状態を作りたい」と良知氏は話す。3×3を活用したスポーツツーリズムの実現に向けて、彼らが担える役割はまだまだあるのだ。

会場の外には子供たちがプレーできるコートも@3×3 .EXE PREMIER
世界を目指す選手たち
また、次世代に対しても新しい機会を作っていきたいと考えている。その一つが、これまでは考えていなかったそうだが、将来的に「選手たちへ世界を見せられる機会を作ってあげたい」と良知氏は明かす。ここで言う世界とは、3×3のクラブ世界No.1決定戦となるFIBA 3×3 ワールドツアーのこと。焼津から世界を目指してバスケットボールで挑戦するとともに、海外の文化や人にも触れて、人生の幅を広げてほしいという願いも詰まっている。

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[写真]=Nobuhiro Fukami