
青空のもとシュートが放たれる@3×3.EXE PREMIER
その課題を解決する一環として、チームは3×3の大会を年間で3度行っており、誘致大会での小中学生向け3×3大会もその一つになる。参加チームの募集にあたっては静岡県バスケットボール協会の協力を得て、試合運営には焼津市バスケットボール協会のほか、市内の高校生たち40名の力も借りたという。予算に限りもある中で良知氏は「いかに参画者を増やすか」とも話しており、今回の誘致大会においてバスケ大会には26チームが参加したほか、チアが2チーム、ダンスが1チーム、会場に花を添えた。子どもたちにとっては、この日が練習の成果を発揮する「発表会の舞台」になったと言えるだろう。

大迫力のプレーに子供達も興味深々@3×3.EXE PREMIER
またもうひとつ、チームが見えてきたものとして、3×3が「スポーツツーリズム」になるという考えだ。大会誘致によって、ファンや関係者はもとより、各チームの選手に対しても「焼津を楽しんでほしい」という想いを良知氏は持っている。今大会に向けては、大会前日に選手たちが利用できるウォーミングアップコートを準備して、各チームへ案内。日本語だけでなく、英語の観光ガイドも選手控え室に置いたという。
そういったYAIZU CITY UNITED.EXEの活動を見て、中野市長も目を細めていた。
「社会性や協調性を身につけて、人を支えあって思いやることが一番重要だと思います。それを今チームに教えていただいています。焼津市にはたくさんの競技がある中で、バスケットボールでそういう形を進めてます。市内にたくさんのスポーツ競技がある中で、チームにはその旗頭になって、スポーツを通じたまち作り、人が支え合う社会を作っていきたいと思っています」

焼津を盛り上げるために中野市長にも熱が入る@3×3.EXE PREMIER
次世代のために。焼津から世界へ
そんな地域に根ざした活動を続けてきたYAIZU CITY UNITED.EXEも、あと2年で設立10年目が見えてくる。良知オーナーは今後に向けて「チームを続けること。そのために何をすべきかを考え続けています」と語る。継続することで見えてくる課題を解決し、補強していけば「足元が強いチームができると思います」と、先々を見すえる。
誘致大会については、より良い形を模索しており、まちに訪れるチームに対して宿泊や飲食の割引などの施策案を考え中だ。「地域の人たちがこの大会を待ち望む状態を作りたい」と良知氏は話す。3×3を活用したスポーツツーリズムの実現に向けて、彼らが担える役割はまだまだあるのだ。

会場の外には子供たちがプレーできるコートも@3×3.EXE PREMIER
また、次世代に対しても新しい機会を作っていきたいと考えている。その一つが、これまでは考えていなかったそうだが、将来的に「選手たちへ世界を見せられる機会を作ってあげたい」と良知氏は明かす。ここで言う世界とは、3×3のクラブ世界No.1決定戦となるFIBA 3×3 ワールドツアーのこと。焼津から世界を目指してバスケットボールで挑戦するとともに、海外の文化や人にも触れて、人生の幅を広げてほしいという願いも詰まっている。
さらに、大会運営やチーム運営も、いずれは次世代が主体となった取り組みにできるよう構想を持つ。同氏は「もちろん僕ら大人が裏方として必要なことは行いますが、高校生の社会体験の一環で、高校生が運営してるチーム作りができたらいいなと思っています」とコメント。これも「参画者」を増やすことにつながり、「みんなが自分たちのまちのチームという感覚」を作りたいと考えている。これも持続的なチーム活動をしていく方法のひとつになるだろう。今シーズンよりチームに加入した石川も、まちに根差した活動に触れて、チーム入りを決めたと明かしている。
「3×3は当初、興味が無かったんです。5人制のバスケットボールが僕は大好きなので。でも、静岡に戻ってきてバスケから少し離れたときに、バスケがやりたい気持ちと、焼津のチームが住んでるところから近いので活動内容を調べてみると、すごい良いコンセプトでチーム運営をやっていたんです。まち作りや地域貢献を大事にされていて、僕がBリーグでやっていたときと同じような感覚だと思ったんです。これなら3×3をやる価値があるなと思ったのが、きっかけですね」

≫「X」アカウント
https://x.com/Words_Motion
[写真]=Nobuhiro Fukami