アスリートが地元掛川を紹介! 「掛川城をバックに戦国武将の気分を味わう」遠州掛川鎧屋

アスリートが地元掛川を紹介!

岡崎レッドダイヤモンドスタジアム-大島和人撮影
TwitterFacebookLinePinterestLinkedIn

リーグ戦のようなトーナメント大会

都市対抗野球東海地区二次予選は日本で一番「複雑で長い」野球の大会ではないだろうか。

社会人の14チームが”岡崎レッドダイヤモンドスタジアム”に集結し、東海地区代表として都市対抗野球の本大会に出場する6チームを決める予選だ。単なる「予選」の域を越えた壮大さ、吸引力を持つイベントでもある。

今年の緒戦は6月5日(木)で、18日連続の合計33試合が組まれていた。梅雨時のため雨天順延による日程調整はあるが、わずか14チームの参加で、これだけ「長く続く」トーナメントは、なかなか見られない。

岡崎レッドダイヤモンドスタジアム-大島和人撮影

岡崎レッドダイヤモンドスタジアム-大島和人撮影

夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)も18日の長丁場だが、途中に休養日が2度入り、参加校は49校。都市対抗の本大会も、全31試合が12日で終わる。東海地区二次予選は「予選」なのに全国大会より長く、試合数も多い。

東海地区二次予選が「複雑」な理由は、第1代表決定トーナメントから、第6代表決定トーナメントまで6つの「山」があるからだ。例えば第1代表決定トーナメントの決勝で敗れると、次は第2代表決定トーナメント決勝という「セカンドチャンス」が用意され、さらに負け続けても第4代表、第5代表、第6代表決定トーナメントの決勝まで東京ドーム行きのチャンスが残される。

つまり、リーグ戦に近い試合数が積み重ねられ、一発勝負に比べてチームの「地力」が反映されやすい。投手起用も「目の前の試合の勝利を狙いつつ、その先にも備える」という戦略的な判断が必要になる。

通常のトーナメント戦は「負けたら終わり」だし、トーナメントの決勝ならば戦力のすべてを注ぎ込むのが定石。しかし、東海二次予選は投球間隔、コンディションを見ながら「エースを敢えて使わない」というような熟慮が必要になる。

東海地区は社会人野球のメッカ

東海地区、特に愛知県は野球に限らず「実業団スポーツ」が盛んな土地柄だ。トヨタ自動車を筆頭にした当地のメーカー各社は総じて業績が堅調で、多くの企業が支援を絞る中でも様々な競技を支えてきた。

トヨタ自動車のチームバスには多彩な競技チームのロゴが-大島和人撮影

トヨタ自動車のチームバスには多彩な競技チームのロゴが-大島和人撮影

バスケットボールならば愛知だけで、企業チームをルーツにするB1クラブが4つある。バレーボールのSVリーグ男子なら2チームが愛知のチームで、ハンドボールのリーグHに至っては男子5強のうち3チームが愛知勢だ。

社会人野球も東海地区は群雄割拠のエリアで、プロ野球(NPB)に進んだ人材が過去に多くいた。栗林良吏(トヨタ自動車→広島)、源田壮亮(トヨタ自動車→埼玉西武)、中野拓夢(三菱自動車岡崎→阪神)のように侍JAPANのユニフォームを着た選手も岡崎から世界に飛び立った選手だ。つまり東海二次予選は、才能のレベル的にかなり見ごたえのある大会だ。

もう1つ「雰囲気」「応援」も東海二次予選の楽しみだ。岡崎レッドダイヤモンドスタジアムはアクセス良好……と言い難い丘陵地帯にあり、そこは森に囲まれた長閑なエリア。まず、一般社会から隔絶されたような空気感の中で、野球に浸ることができる。一方で応援はどこも手が込んでいて、試合とは別にワクワク感が大きい。

丘陵地帯にある岡崎レッドダイヤモンドスタジアム‐大島和人撮影

丘陵地帯にある岡崎レッドダイヤモンドスタジアム‐大島和人撮影

例えばヤマハは楽器でおなじみの企業。球場外ではエレクトーンの演奏でファンをお迎えし、球場内にも本格的な機材を持ち込んで「音」で楽しませてくれていた。西濃運輸ならば公式キャラクター「カルちゃん」が応援台に登り、華麗な打撃フォームを披露していた。西濃運輸は今年度の二次予選で応援団コンクールの「最優秀賞」にも輝いている。

応援団長の煽りトークに耳を傾けると、一流企業の社員だけあってなかなか「聞かせる」内容だったりする。どの企業も工夫を凝らし、本気で「試合をどう盛り上げるか」「観客をどう楽しませるか」に取り組む――。それが社会人野球のスゴさだ。球場行きのバスは1日15本、平日昼間、30度超えという条件下でも、会場は賑わっていた。

どの企業も工夫を凝らし、本気で「試合をどう盛り上げるか」「観客をどう楽しませるか」に取り組むーー。それが社会人野球のスゴさだ。球場行きのバスは1日15本、平日昼間、30度超えという条件下でも、会場は賑わっていた。

スタジアム入口のヤマハの演奏-大島和人撮影

スタジアム入口のヤマハの演奏-大島和人撮影

■記者プロフィール
大島 和人
1976年に神奈川で出生し、育ちは埼玉。本籍地は和歌山で、現在は東京都北区に在住する。2010年からライター活動を開始し、全国津々浦々に足を運んでいる。
主な取材対象はバスケットボール、サッカーだが、野球やラグビーも守備範囲。取材の疲れをスポーツ観戦でいやす重度の観戦中毒でもある。
軽度の「乗り物好き」でもあり、お気に入りの路線バスは奈良交通「八木新宮線」、沖縄バス「名護東線」と今はなき宗谷バス「天北宗谷岬線」など。
アクセス
岡崎レッドダイヤモンドスタジアム
  • 東海道新幹線 名古屋駅 - 名鉄特急(29分)- 東岡崎駅 - 名鉄バス(29分)∸ 中央総合公園停留所 - 徒歩1分
取材・文:
大島 和人( 日本 )
この記事の関連記事
TwitterFacebookLinePinterestLinkedIn