届けよう平和を
「大きな愛を受けた日本にどのような恩返しができるだろう。そんなことをずっと、考えていました」の冒頭から始まったのは、サッカー元ブラジル代表で日本代表監督を務めた“サッカーの神様”ジーコさんの挨拶だ。
今夏、被ばく80年を迎える広島で、自らが企画した“Daisun presents Zico All-Star Game For Peace HIROSHIMA 80 Years チャリティーマッチ(以下、ジーコオールスターゲーム)” のホームページには、以下ジーコさんが企画したその想いが綴られていた。

世界中からレジェンドが集まったジーコオールスターゲーム-Journal-ONE撮影
「今日も世界のどこかで銃声が鳴り響いている。銃声が止むことはなく、血を流し、傷つく人がいまも、世界中にたくさん存在している。
今年は、被ばく80年。私がいま、すべきことは サッカーが持つチカラを信じ、平和の象徴である広島から世界に「平和」を発信することだと思いました。
平和を祈ろう。そして、サッカーのチカラを信じよう。サッカー、そして、平和を祈ることは国籍や性別を超えたわたしたち、みんなの物語だから」
これまでブラジルで20年にわたり開催してきたチャリティーマッチ(ジョーゴ・ダス・エストレーラス)を、日本で初開催するに至ったその理由を綴ったジーコさん。このメッセージに応え、世界各国から往年の名選手36人が広島に集結。2024年2月に開業した新スタジアム“エディオンピースウイング広島(以下、ピースウイング)”において、世界に向け平和を届けた。

ピースウィングにある平和を祈るキャプテン翼のメッセージ-Journal-ONE撮影
平和記念公園で祈りを捧げるレジェンドたち
今回、広島に集まった36選手はいずれも名だたるレジェンドたち。17時キックオフの試合に先立ち、ジーコさんをはじめとした6人のスターが広島平和記念公園を訪れた。
ジーコオールスターゲームの最大の目的である「平和への祈り」を捧げたのは、ジーコさんに加え、元オランダ代表のセードルフさん、元鹿島アントラーズのアルシンドさん、元日本代表の中田英寿さん、中田浩二さん、そして小野伸二さんだ。

広島平和記念公園を訪れたジーコ氏らレジェンドたち‐Journal-ONE撮影
来る8月6日に行われる、平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)用の白いテント、6人お揃いの白いポロシャツ、そして各々が手にした白い献花が真っ青な夏空に映える。
ゆっくりと献花台の前に進んだジーコさんらは、ひとりひとり丁寧に花束を捧げると、静かに目を閉じて平和を祈った。

深くお辞儀をするジーコ氏∸Journal-ONE撮影
献花を終えたジーコさんは心境を聞かれると、原爆の悲惨な体験を経て成長を遂げた日本人の国民性に改めて敬意を表し、「日本人だけでなく、ヒロシマは二度と行われてはならない、忘れてはならない大事な出来事だ。今回の試合、素晴らしい様々な国を代表する選手が参加する試合を通じて、そのメッセージを世界に発信したい」と、平和への想いとジーコオールスターゲームへの抱負を話す。
「平和とは、互いの国を理解し話し合うこと。国境がないスポーツで、様々な問題を解決したい」と、スポーツ、そしてサッカーが持つ平和に向けた役割についても語った。

平和への想いを語るジーコ氏∸Journal-ONE撮影
中田英寿さんは、同じ質問に少し間を置いてから「被ばく80年という重要な年ではありますが、今この瞬間にも世の中で行われている戦争がなくなるよう祈った」と献花に込めた想いを振り返る。
小野伸二さんは、「被ばくした傷が癒えることはないと思うが、世界が平和になって欲しいと願った」と献花と黙とうに込めた想いを語った。

右から中田英寿氏、中田浩二氏、小野伸二氏も平和への思いを語る‐Journal-ONE撮影
