
関係者の挨拶も3分以内に纏められた-Journal-ONE撮影
しかし、山田主将の選手宣誓には続きがある。「その(高校野球の)魅力は変わりません。己の限界に挑戦し、仲間との絆を深め、相手チームを敬い、正々堂々とルールを守りプレーする。私たち高校球児の姿は多くの人々の心を打つと信じています」と力強く先制した山田主将の言葉に、高校球児だけでなく応援する側の私たちの変わらぬ思いも代弁してくれたような感慨深い選手宣誓となった。

92年ぶり同一校2年連続の選手宣誓を前にした山田主将-Journal-ONE撮影
開幕戦も史上初のナイター
1時間ほどで終了した史上初の夕方開会式。それから30分後、こちらも“史上初”となるナイターでの開幕戦となった。対戦するのは、先に紹介した創成館(長崎)と小松大谷(石川)。

史上初ナイター開幕は創成館と小松大谷の一戦-Journal-ONE撮影
両チームのシートノックが行われる中、銀傘が作る日陰はみるみる大きくなり、試合開始時間の5時半にはすっかり内野の黒土が日陰に覆われた。因みに、今夏のシートノックも熱中対策の一環で、7分から5分に短縮された。希望すればシートノックを行わずに試合に臨むこともできるという選択式の熱中症対策が取られている。
また、昨夏2日間試験的に導入された午前と午後の2部制を、今大会は4日間(大会2、3、5、6日目)に倍増。昨夏、その模様をJournal-ONEでは体験取材したが、選手はもちろん応援団や観客にとっても熱中症対策に効果のある取り組みが増えることになった。

シートノックの間に銀傘の影が内野全体に広がった-Journal-ONE撮影
好投手vs好打者の対決に注目
いよいよ第107回全国高等学校野球選手権大会、熱戦の火蓋が切って落とされた。3年連続5回目の長崎県代表・創成館と、2年連続4回目の石川県代表・小松大谷、昨夏を経験したチーム同士の対戦だ。

史上初ナイター開幕は創成館と小松大谷の一戦-Journal-ONE撮影
この試合の注目は、何と言っても好投手vs好打者の対決。最速149㌔の右腕は、阪神甲子園球場を本拠地とする阪神タイガースの主力選手と同姓同名の森下翔太(3年)に注目した。長崎県予選では全試合に先発し、登板した35イニングスを上回る42の三振を奪った本格派投手。

力投する長崎・創成館のエース森下翔太-Journal-ONE撮影
対する小松大谷は、超高校級スラッガーの田西 弥(たさい とな・3年)の打棒に期待が掛かる。石川県大会5試合を、打率.556、2本塁打と打線を牽引してきた田西は、U-18日本代表候補にも選ばれている今大会注目のスラッガーだ。チームも昨夏、2回戦で大阪桐蔭を下して全国の強豪とも互角に戦えることを証明して見せた。

小松大谷の主砲・田西-Journal-ONE撮影
好投手・森下から先制点を挙げたい小松大谷は初回、1番の嶋田空駕(3年)が中前安打で出塁すると、4番・先発投手の江守敦士(3年)に中前適時打が生まれた。3番に座った田西は、森下との最初の対戦は140㌔超の速球で内角を攻められて内野ゴロに終わっている。
互いに投手が得点に絡む
追いつきたい創成館、突き放したい小松大谷は共に2死から走者を出すが、あと一本が出ない展開。2回裏の創成館も2死から8番・小佐井柊真(3年)が中前安打で出塁する。
先制適時打を放った小松大谷のエース・江守は変化球を効果的に使い、要所を締める投球を見せてきた。しかし、ここで打席に入った創成館先発の9番・森下が、左翼線を破る適時打二塁打を放ち同点に追い付いた。両投手の投打にわたる活躍で1-1と互角の展開へ突入。