太陽が一気に傾きかけた3回、三塁側アルプススタンドにも銀傘の影が掛かり始める。太陽の傾きと共に競った試合展開も一気に傾いていった。

灼熱のアルプス席から解放された小松大谷の応援団-Journal-ONE撮影
ワンチャンス活かした創成館
3回裏、創成館は1死無走者から3番・島田憲汰(3年)、4番・山下翔(3年)に連続安打が飛び出す。さらに四球も絡めて2死ながら満塁と勝ち越しのチャンスを作ると、打席に入った6番・主将の下川輝が3-1のバッティングカウントからバットを振り抜くと、打球は左中間に落ちる2点適時打となり勝ち越しに成功した。

開幕戦で2安打の活躍を見せた山下(創成館)-Journal-ONE撮影
互いに序盤で5安打ずつ。乱打戦の様相を呈したところで小松大谷は、早くもマウンドに同じ左腕の中田凛(3年)を送った。このピンチに中田は、後続の打者を抑えて流れを止める。
その後、小松大谷の中田は130㌔に満たない速球ながらも、鋭く落ちる100㌔強のドロップを有効に使い、創成館打線に的を絞らせず。一方の創成館の森下も立ち直り、140㌔半ばの速球を軸に変化球も交えて小松大谷打線を抑え込む。

好球宴で試合を締めた中田(小松大谷)-Journal-ONE撮影
短縮されたクーリングタイム
5回終了後、今では熱中症対策として様々な屋外スポーツでも導入されるようになった“クーリングタイム”に突入した。
今夏の甲子園でのクーリングタイムは10分から8分に短縮。昨年は、このクーリングタイム直後に試合の流れが変わるケースの多かったが、この短縮で試合展開がどう変わるかも楽しみだ。
クーリングタイム直後の6回表、流れが変わるかと思われた小松大谷の攻撃を3人で退けた創成館・森下。小松大谷の中田も、6回裏に四球から犠打で得点圏へ走者を進められたが得点を許さない。
終盤粘る小松大谷の攻守も
7回表、小松大谷は2死から9番・伊東希(3年)がチーム久し振りの安打で出塁。1番・嶋田に期待をかけるも、森下がこの日二桁となる10個目の三振で切って取り反撃を許さない。
8回表1死、注目の田西が4度目の打席に入るが、森下はこの勝負でも速球を意識させながら変化球でタイミングを外し内野ゴロ。相手の主砲を抑え込んだ創成館・森下の力投が終盤でも光った。

注目の田西(小松大谷)は4打席目も内野ゴロ-Journal-ONE撮影
しかし小松大谷も8回裏、4番・山下の右前安打から犠打で得点圏に走者を背負うと、6番・下川に中前安打を許す。ここで試合を決する追加点かと思われたが、中堅から好返球が送られると本塁で間一髪タッチアウトに。気迫の守備で最終回の反撃に全てをかける。

センターからの好返球で本塁タッチアウトに-Journal-ONE撮影
最高潮の盛り上がりで最終回の攻撃に臨んだ小松大谷だったが、140球を超えても力投を続ける森下の前に力尽きた。153球目、最後の打者を三振に切って取った森下は、小さくガッツポーズをした後、捕手・山下と控えめに拳を合わせて健闘を称え合った。

遠慮がちに勝利を喜ぶ創成館バッテリー-Journal-ONE撮影
第107回全国高等学校野球選手権大会は、気候変動にさらに効果的な対策を講じて選手、応援団、そして観客が安心して高校野球を楽しめる環境を作り上げた。翌大会2日目の“午前の部”は、どういった観戦環境となるのか。引き続きレポートで紹介していくのでお楽しみに。