
炎天下で大声援を送る鳥取城北アルプスの大応援団-Journal-ONE撮影
中盤に入った4回表、仙台育英の機動力が試合を動かした。先ずは先頭の3番・土屋が右翼線に安打を放つと、須江監督は4番・川尻の初球に盗塁を指示。
二塁へ走る土屋につられ、ベースガバーに向かう二塁手の定位置へ川尻が見事にゴロを転がすと、打球は右前へ抜ける連続安打に。さらに5番・和賀颯真(3年)が、しぶとく三塁手の横を破る適時打を放ち先制点を挙げた。
さらに無死一、二塁とチャンスが続く仙台育英は、犠打で走者を二、三塁進めると、7番・砂涼人(1年)が外低めのボール珠に飛びつくスクイズを成功させて2点目を奪う。

飛びついてスクイズを決める砂(仙台育英)-Journal-ONE撮影
2死となったものの、8番・高田庵冬(3年)も左前安打を放ち三塁走者を迎え入れると、9番・吉川の左前安打、1番・田山の右翼線への適時打とこの回一挙6安打を集めた仙台育英。一気呵成に4点を奪いあっという間に試合の主導権を握った。
続く5回表、仙台育英は小技、単打に続き3番・背番号16の原亜佑久(3年)が快音を残して低いライナーをセンター方向に打ち返す。打った瞬間、外野手の頭は越えると思う打球だったが、原の放った弾丸ライナーは逆風をものともせずバックスクリーン右へ飛ぶ込むソロ本塁打となった。

バックスクリーン横に本塁打を打ち込んだ原(仙台育英)-Journal-ONE撮影
飛ばないバットに代わり、ホームランが激減した高校野球。この状況でのライナー弾にスタンドも一瞬静まってからの大歓声で本塁生還する原を称える。続く土屋にも二塁打が出たところで、鳥取城北は田中を諦め、鈴木欧音(3年)にスイッチすると鈴木が後続を抑えて味方の反撃を待った。
選手の体力、集中力を奪った暑さ
試合開始から1時間、朝早いとは言え灼熱の太陽に選手たちの体力、集中力は徐々に削がれていく。

灼熱の太陽の下で熱戦を広げる鳥取城北と仙台育英の選手たち-Journal-ONE撮影
5回が終わり突入したクーリングタイムでは、選手はもちろん、審判団もグラウンドから姿を消して日射しを避けて体力回復と水分補給に努める。観客も一斉に座席裏にある売店や、各箇所に設置された大型クーラーの前で水分と涼を取る。
昨年の10分間から8分間に短縮されたクーリングオフ。このインターバルで試合展開が動くケースが多かった昨夏の試合だが、今年も油断できない中断明けの6回が始まった。
その6回表、仙台育英は6番・有本豪琉(1年)の左前安打からヒット・エンド・ランで得点圏に走者を進める。試合が動く傾向にあるこの場面、ギアを上げた鈴木が後続を連続三振に抑えて追加点は許さなかった。

仙台育英打線を無失点に抑えた鈴木(鳥取城北)-Journal-ONE撮影
その後、両投手が三者凡退に抑えた7回裏、鳥取城北の4番・平山暖也(3年)が打席に入った頃から選手たちに異変が続出する。守備に就くはずの捕手・川尻がベンチから出てこない。「川尻選手、手当のため」というアナウンスが流れると、グラウンドに散った仙台育英の選手たちをベンチに呼び戻し、急遽水分補給タイムに切り替えられた。
結局、川尻選手は出場を続けたもののイニング終了後に座り込み、8回表の打席で代打を送られて交代した。続く5番・和賀も両チーム久々の安打で出塁したが、6番・有本の右直でアウトカウントを間違えて重殺。苛酷な暑さが、選手たちの集中力すら奪っていることが分かるプレーが続く。
8回裏も守備に就く途中で倒れ込んだのは、仙台育英のライト・田山。グラウンドで動けなくなると、担架に運ばれて退場するというアクシデントも発生。スタンドは一度騒然となったが退場する田山に向かいねぎらいの拍手を送った。

仙台育英の田山が守備につく途中で倒れた-Journal-ONE撮影
