拡大した朝夕2部制
8月6日、第107回全国高等学校野球選手権大会(以下、夏の甲子園)が“阪神甲子園球場”で大会2日目が行われた。昨年の大会で試験的に実施された朝夕2部制が、今大会はこの日から倍となる4日間導入されることになった。
8時から行われた“午前の部”第1試合、3年前に東北勢初のチャンピオンに輝いた仙台育英(宮城)が鳥取城北(鳥取)をエース・吉川陽大(3年)の完封で下した。しかし、その試合内容とは別に主力選手が相次いで熱中症と見られる症状で途中退場するアクシデントに見舞われた。

仙台育英の田山が守備につく途中で倒れた-Journal-ONE撮影
続く第2試合の試合開始予定は10時30分、気温の上がる昼過ぎに近い第2試合は朝夕2部制で「最も苛酷な環境下」での試合となる。その予想どおり開星(島根)と宮崎商(宮崎)の試合でも熱中症とみられるアクシデントが出る中で、手に汗握る試合を見せてくれた両チームの選手たち。
この熱闘のおかげで、朝夕2部制には“時間制限”という別の問題が起こりうることに気付かされた。このレポートでは、素晴らしい試合展開を振り返ると共に熱中症対策、時間制限についても触れていこう。

午前の部・第2試合は宮崎商と開星の一戦-Journal-ONE撮影
既に灼熱の甲子園に
10時40分から始まった第2試合、甲子園はグラウンド、スタンド共に既に灼熱と化していた。
第1試合の鳥取城北(鳥取)に続き山陰勢の登場となったのは、島根県代表の開星。昨夏、32年ぶりに甲子園出場を果たした大社が107年ぶりとなるベスト4をかけた試合で力尽きたが、大社ベスト8の快進撃は多くの野球ファンに感動を与えてくれた。島根県勢再びの快進撃なるかに注目だ。

島根県勢2年連続の快進撃へ意気込む開星アルプス席-Journal-ONE撮影
対するは宮崎県代表の宮崎商は、61年ぶりの連続出場。粘り強い戦いぶりで、強豪ひしめく宮崎県予選を逆転の連続で勝ち上がってきた。
宮崎商は初回、1番の日高有希也(3年)が内野安打で出塁すると果敢に二盗を狙う。しかし、これを開星の捕手・松本七斗(2年)が落ち着いて二塁で刺殺。それでも宮崎商は、2番・日高佳利(3年)が右翼線に落ちる二塁打を放ち先制のチャンスを作り直した。
そして再び宮崎商が仕掛ける。今度は日髙佳に三盗を命じたが、ここも松本七が落ち着いて三塁に矢のような球を送って刺殺し開星が無失点で切り抜けた。

初回の得点機に湧き上がる宮崎商アルプス席-Journal-ONE撮影
その裏、開星も1番・小村拓矢(3年)が四球を選ぶと、こちらも次の塁を狙おうとプレッシャーを掛ける。しかし、ここは宮崎商の左腕・永友琉生(3年)の巧みな牽制で一、二塁間で挟殺して無失点とした。
中盤一気に試合が動く
開星の先発・松浦愛珠(3年)は、130㌔半ばの速球に緩い変化球とのコンビネーションが持ち味。ストライク先行で打たせて取る制球力の良さも光る投手だ。
宮崎商の先発・永友も球速は130㌔に満たないが、こちらも変化球と制球力で打たせて取る投球が信条だ。

巧みなけん制が光った宮崎商・先発の永友-Journal-ONE撮影
2回裏、開星は4番・松崎琉惺(2番)がボテボテの一塁内野安打で出塁すると、続く5番・松本七もボテボテの三塁ゴロに。併殺かと思った打球を処理したサード・黒岩頼人(3年)の送球が二塁への悪送球となり、無死一、三塁と絶好の先制チャンスを得た開星。
その後、1死から8番・松浦の犠飛で先制すると、続く9番・小畑武流(3年)も三遊間を破る2点適時打を放ち、開星が下位打線の活躍で3点を奪った。

開星は投手・松浦の犠飛を皮切りに3点を先制-Journal-ONE撮影
3回表、3点を追う宮崎商は好機を併殺で失したものの、続く4回表、無死一塁から4番で主将の水谷友哉(3年)が右翼線を破る二塁打を放って無死二、三塁と得点のチャンスを作り直す。
