この場面で打席に入った5番・黒岩に、三遊間を鋭く破る適時打が出てようやく1点を返すと、開星は篠田秀斗をマウンドに送る早めの継投に出た。
しかし、勢いに乗る宮崎商応援団の声援を正面に受けた7番・永友がスクイズを決めてもう1点を返すと、四球で2死ながら満塁とチャンスを繋ぎ、1番・日高有が中前適時打で試合を振り出しに戻した。
5回表、開星はさらに投手を繋ぐ。ショートを守る持田聖純(3年)が3番手投手として登板。140㌔を超える速球を中心に速いテンポで投げ込んでいく持田だったが、1死から四球を与えると4番の水谷に三遊間を破られ一、二塁のピンチを迎える。
2死後、失策で満塁とピンチを広げた持田だったが、ここを三振で抑えきると雄叫びをあげてマウンドを降りた。

好リリーフを見せた開星の持田-Journal-ONE撮影
クーリングタイムで流れが変わる
宮崎商にやや流れが向いた中でのクーリングタイム。場内アナウンスが流れると、第1試合よりも多くの観客が一斉に階段を上っていく。出入口からスタンド裏の売店やクーラーが設置された場所に逃げ込むように向かうためだ。
一方、アルプススタンドに留まらざるを得ない両校応援団の健康が心配になる。日が差したスタンドの通路でも、売り時のクーリングタイムを逃すまいと顔中を玉のような汗で光らせながら売り子さんたちが飲料や“かちわり”、アイスクリームなどを勧めている。こういった関係者の皆さんの熱中症対策もしっかりとしてもらいたいと切に感じた。

10分から8分に短縮されたクーリングタイム-Journal-ONE撮影
選手、観客共に一息ついた直後の6回表、このインターバルを活かしたのは開星の持田だった。持ち前の制球力の良さが戻った持田は、宮崎商打線を三者凡退に抑える好投を見せる。すると、この投球で開星が流れを掴み返す展開に変わっていった。
6回裏、開星は1死から5番・松本七の二塁打きっかけに6番・田村晴天(3年)の四球とワイルドピッチで1死二、三塁と勝ち越しのチャンス。
7番・森優晴(3年)へのカウントが3-1となった場面で、ライトから日高有をマウンドに呼ぶ継投策に出た宮崎商。森を歩かせ満塁とした日高有だったが、後続を内野フライに打ち取り開星に傾きかけた流れを止める好投を見せた。

宮崎商のリリーフ・日高有も要所を締める投球-Journal-ONE撮影
スイング直後に倒れ込むアクシデントも
暑さに加え、1点を巡る白熱した試合展開は、徐々に選手たちの体力を奪っていく。
7回裏、2死一、三塁から5番・松本七の中前適時打で勝ち越した開星は、続く8回裏も2死一塁と追加点のチャンスを作りに掛かる。
この場面、少し遅れてベンチから出てきた1番・小村が打席に入ったが、強振した直後にホームに仰向けに倒れ込んだ。右足が痙攣したのか、宮崎商・松本七捕手が小村の右足を伸ばすも効果なし。打席中に担架で退場するというアクシデントに見舞われた。

小村(開星)はスイング直後に倒れ込んで退場となる-Journal-ONE撮影
この緊急事態に打席に送られたのは、2年生の三島将。思わぬカウント途中からの打席で難しい局面での登場となった三島だったが、上手く左翼線に流した打球は貴重な追加点をもたらす二塁打となった。
土壇場で差を2点に広げた開星リードで迎えた9回表、宮崎商が県予選で見せた粘りでドラマを作る。3番・末田櫂帆(2年)が右中間を深々と破る三塁打で1点を返すと、4番・松崎にも適時打が出て同点に追いついた。
9回裏、追いつかれた開星ナインがベンチに戻ったところで時計の針は午後1時15分過ぎを指す。阪神甲子園球場の気温が最も上がるこの時間帯、選手たちの体力はかなり消耗していると取れる。

宮崎商は驚異の粘りで甲子園でも同点に追い付いた-Journal-ONE撮影
アナウンスで気付いた継続試合
宮崎商・日高有の投球練習が続く中、場内アナウンスからこんな案内が流れた。「この試合は、午後1時30分で新たなイニングに入らず、午後1時45分を過ぎると継続試合となり翌日以降に再開されることになります」と、繰り返している。
