3人制バスケットボールのグローバルプロリーグ「3×3.EXE PREMIER 2025」(以下PREMIER)のレギュラーシーズンが9月7日に終了した。残すは、9月27日(土)28日(日)にグラングリーン大阪 ロートハートスクエアうめきたで開催されるシーズン優勝決定戦・PLAYOFFSのみとなった。大一番を前に、PREMIERのコミッショナーを務める中村考昭氏に、今季のレギュラーラウンドの振り返りをうかがった。各地に波及した3×3の賑わいや、10年以上の活動を見せるチームをトップはどう見ているのか迫る――(取材日:9月8日)。
競技レベルの底上げが現れた2025シーズン
―― 3×3.EXE PREMIER 2025のレギュラーシーズンが終了しました。競技面では、どのように振り返っていますか。
まず、競技レベルが向上していると感じました。3×3という競技が東京五輪とパリ五輪という2度のオリンピックで正式種目として認識され始めていることもありますし、3×3.EXE PREMIERも12シーズン目を数えて、5ヵ国99チームまで広がったトップリーグとして世の中に存在している。しかも国際大会に繋がっていて、男女のカテゴリーがある。そういう姿が見える世の中になってきているので、結果として相対的な競技力が向上しているのではないでしょうか。
特に、日本の女子カテゴリーで顕著だったと思います。チーム数が6から「9」へ拡大して、昨シーズン優勝したチーム(TOKYO VERDY.EXE)にいた選手が新チームなどへ移籍し、レギュラーラウンドでは最終戦のラウンド8(8/30)までプレーオフ進出が決まらずにもつれましたよね。今シーズンから参入したUENOHARA SUNRISE.EXEが初のプレーオフ進出を決めたのは、競技レベルが底上げされたひとつの象徴だと思います。

女子も輝かしい活躍をみせた(UENOHARA SUNRISE.EXE)Ⓒ3×3.EXE PREMIER
―― 日本の女子カテゴリーは、本当に白熱しました。UENOHARA SUNRISE.EXEの試合は何度か見ましたが、拠点が山梨県上野原市であるものの、ファンや関係者がいつもコートサイドで熱心に応援している姿が印象的でした。
PREMIERの所属チームは、比較的ローカルなエリアで活動されています。UENOHARAや、例えばOTAKI(=ESDGZ OTAKI.EXE/千葉県大多喜町)もそうです。地域に密着して活動されているので、地域から応援されている。そのまちで相対的な重要度は高まっています。

ブルーのユニフォームが映えるESDGZ OTAKI.EXEⒸ3×3.EXE PREMIER
しかも、バスケだけやっているのではなく、OTAKIで言えば選手は農業に携わり、マネージャーは大多喜町の町議会議員に当選するなど、地域との関係性の中でチームが成り立っています。チームの存在意義や価値が、競技だけではない領域まで広がっていると思います。
八戸、焼津、高崎など誘致ラウンドの盛り上がり
―― 地方という観点では、HACHINOHE DIME.EXEの取り組みも印象的です。チームやスポンサー企業によって今シーズンは2度の誘致ラウンドもあり、FLAT HACHINOHEでの試合は盛り上がったようですね。
HACHINOHE DIME.EXEは若手育成、良い外国籍選手の獲得など、チーム作りという意味で優れているだけでなく、それ以上に八戸という地域にとても根差して活動しています。私は3×3も含めていろいろなスポーツの会場を見ますが、地域の人たちが主体的に集まって、HACHINOHE DIME.EXEを好きで応援して、感情移入しながら勝った負けたを体験できる空間に八戸はなってきたと思いますよ。
―― FLAT HACHINOHEの近くで朝市もやっていると聞いたことがあります。3×3のまちとしては宇都宮が有名ですが、八戸ならではの賑わいが生まれているのでしょうか。
八戸は昔から朝市が地域に溶け込んで行われているのですが、FLAT HACHINOHEのある駅前とは別の場所で開催されているんです。それをある意味スピンアウトさせて、駅前の広場で出張朝市のように開催しているんです。
ですから、地域の特産・観光価値がバスケットボールと連動しながら融合していると言っていいでしょう。スポーツが発信源となって、ローカルにある点在していた価値を求心力を持って集めている。地方都市で、HACHINOHE DIME.EXEがその役割を担えているのは、価値のあることだと思います。