2回戦からJDリーグ首位決戦が実現
皇后賜杯を巡る女子ソフトボールの日本一決定戦“皇后盃全日本総合女子ソフトボール選手権大会(以下、全日本総合選手権)”は、2回戦から注目の好カードが続く。メイン会場である、青森県弘前市にある“はるか夢球場”で行われた大会2日目では、優勝候補の一角が早くも激突した。
日本最高峰の女子ソフトボールリーグ“JD.LEAGUE(JDリーグ)”で現在、21勝2敗で東地区首位を独走する“戸田中央メディックス埼玉”は、昨年に続いて全日本選手権連覇を狙う。対する西地区首位の“トヨタレッドテリアーズ”も、リーグ戦を19勝3敗と西地区首位を独走中。JDリーグ3連覇に向け、ダイヤモンドシリーズ決勝での激突が予想される戸田中央との一戦は重要な意味を持つ。
今夏、中国で行われた国際大会、第14回女子ソフトボールアジアカップと第12回ワールドゲームズ。世界トップレベルに君臨する日本代表チームの一員として活躍した選手たちが多く所属する戸田中央とトヨタの一戦を一目見ようと、会場には地元のソフトボールファンが多く詰めかけた。

アジアカップ優勝、ワールドゲームズ3位と結果を残した日本代表-Journal-ONE撮影
ルーキーと日本代表の投げ合い
トヨタの先発はルーキーの成瀨結衣。昨年、一昨年と中京大学の絶対的エースとして全日本総合選手権に出場。大学日本一の肩書きをひっさげて鳴り物入りでJDリーグの世界に飛び込んだ。
その成瀬は初回、戸田中央の中川彩音、鈴木鮎美の強力1、2番コンビから三振を奪う完璧な立ち上がりを見せたが、戸田中央も3番・山口みどり、4番・日本代表の坂本結愛が安打で出塁して2死一、二塁と得点圏に走者を進める。しかし、成瀬は後続を内野ゴロに打ち取ると、2回表も、先頭に安打を許すも無失点に抑えて試合を作る。

東地区防御率1位の増田が先発した戸田中央-Journal-ONE撮影
一方、戸田中央の先発は増田侑希。JDリーグ今シーズン8勝で負けなし、防御率0.58と圧倒的な成績を挙げている増田は、今夏初選出となった日本代表でも活躍した。
その増田は、1回裏2死から、日本代表でバッテリーを組んだ切石結女に、2回裏には新外国人のマヤ・ブレイディに四球を与えたが、それ以外は完璧に抑える貫禄の投球を見せる。
絶対エースへの継投で試合が動く
両投手の投げ合いで投手戦になるかと思われた3回表、この回先頭の中川に四球を出した直後、先に動いたのはトヨタベンチだった。

エース・ファライモの投球練習を見守る坂本令奈監督(トヨタ)-Journal-ONE撮影
ここまで無失点に抑えたルーキー成瀬に代え、メーガン・ファライモをマウンドに送る。ファライモも防御率0.59と増田と同じ西地区トップを誇り、16勝(2敗)とトヨタのほとんどの勝ち星を挙げている。絶対エースにこの試合の命運を託すと、期待に応えたファライモは後続を打ち取り無失点に抑えた。
しかし4回表、戸田中央はこの回先頭の坂本が、低めに上手くバットを入れてセンターのフェンスを超える本塁打を放って先制点を挙げる。さらに2死からキャプテン・今田まなが中前にしぶとく落してファライモを攻めるも、ファライモが踏ん張り追加点を与えない。

戸田中央・坂本は低めを掬い上げて先制本塁打に-Journal-ONE撮影
追いかけるトヨタは4回裏、先頭の下山絵理が三遊間抜く安打で出塁すると、戸田中央ベンチも日本代表のエース・後藤希友にスイッチして必勝を期す。対するトヨタも、下山に代走・門里唄を送り勝負に出た。2死一塁となり、打席には日本代表の鎌田優希が打席に入るとカウント3-1から信じられないプレーが起こった。

リリーフ登板した日本のエース・後藤希友(戸田中央)-Journal-ONE撮影
門が盗塁を試みるも、後藤の交代と共にマスクを被ったサバンナ・ジェーキッシュからストライク送球。二塁塁審のジャッジはアウトの判定でスリーアウトかと思われた。しかし、鎌谷投じた後藤の投球はボール。四球進塁で盗塁の成否にかかわらず二塁進塁となった場面だったが、アウトのコールで二塁ベースを離れた門に、二塁手・鈴木が再度タッチして離塁アウトに。緊迫感ある一戦だからこその通常では考えられないプレーにより、戸田中央は無失点でこの回をしのいだ。