賜杯をその手に!女子ソフトボール一大決戦
1951年初開催、国内の女子ソフトボール大会で最も権威のある“皇后盃全日本総合選手権大会(以下、全日本総合選手権)”。長い歴史を持つ全日本総合選手権は、国内外で活躍する選手たちが集い、最高の技術と戦略を披露する場だ。
その全日本総合選手権は昨年から皇后杯が下賜され、大会の名誉と格式がさらに高まった。皇后杯を授与される優勝チームとなるために、選手たちの競技への意欲は一層高まり、ソフトボール界のさらなる発展に繋がることが期待される。

頂点を目指し高い意欲で大会に臨むNECの選手たち-Journal-ONE撮影
また、全日本総合選手権の開催地は、翌年に開催される国民スポーツ大会(旧、国民体育大会)の競技別リハーサル大会として運営を実証実験するための重要な大会ともなっている。2026年に開催される“青の煌めきあおもり国スポ”の地である青森県の弘前市は、全国から集まった32チームの全力プレーを最上級のおもてなしと運営体制でを支えた。
“ご当地選手”の活躍に注目
毎年日本各地で開催される全日本総合だが、開催県の皆さんにとって“ご当地選手”の活躍は何よりの楽しみ。実は今回の開催県である青森県、女子ソフトボール界に多くの名選手を輩出している。
選手としてオリンピックのアトランタ大会で銀メダル、アテネ大会でも銅メダルを獲得、北京大会では女子ソフトボール日本代表監督として金メダルに導いた実績を持つ元選手・指導者である斎藤春香さんは、会場となる青森県弘前市の出身。その斎藤さんの活躍に憧れてソフトボールを始め、世界選手権で銀メダルを獲得した選手が指導者として全日本総合選手権の舞台で故郷に錦を飾る。
その人の名は溝江香澄、女子ソフトボールの国内最高峰リーグ“JD.LEAGUE(以下、JDリーグ)”に所属する“NECプラットフォームズレッドファルコンズ”の監督として、地元・弘前市に凱旋したのだ。

地元・弘前市出身の溝江香澄監督(NEC)-Journal-ONE撮影
「私の出身は旧相馬村といって、このグラウンドのすぐ近くなのです」と教えてくれた溝江監督。“津軽富士”と称される雄大な岩木山の麓にある岩木山総合公園野球場で、山梨学院大学との1回戦に臨んだ。
実はJournal-ONE編集部が岩木山総合公園野球場に訪れたのは大会2日目。初日の第3試合で山梨学院大学との1回戦に臨んだNECプラットフォームズレッドファルコンズだったが、降雨による中断試合となり翌日の大会2日目、第1試合で途切れた3回表からの試合に臨んだ。

いきなり守備に着いてのリスタートとなったNECの選手たち-Journal-ONE撮影
運営必死の対応に頭が下がる
昨晩遅くまで激しく降った雨で、この日のグラウンドは水が浮いている状態だった。それでも朝5時からグラウンド整備を行い、9時からの試合に間に合わせた。
今大会、会場補助を行う柴田学園高校ソフトボール部の皆さん、この日観戦に訪れていた八戸聖ウルスラ学院高校ソフトボール部の皆さんも加わり、定刻通りに中断試合が再開される見通しとなったのだ。
地元凱旋の溝江監督は、今大会に並々ならぬ決意で臨む。「地元の皆さん、弘前市ソフトボール協会の皆さんの熱意が伝わる大会。今日のグラウンド整備も本当に頭が下がります」と、地元の皆さんへの感謝を忘れない。
大会を仕切る弘前市ソフトボール協会の事務局長、工藤悦子さんも「選手たちに悔いのないプレーをしてもらえるよう、来年の国民スポーツ大会まで全力で駆け抜ける」と懸命なグラウンド整備の合間に意気込みを語ってくれた。

弘前市ソフトボール協会の工藤事務局長-Journal-ONE撮影
トーナメントのサスペンデッド
一発勝負のトーナメントでは、初対戦となる投手をどう攻略できるかがカギとなる。「打席が何度も回ってくるわけではないので、第1打席からボールを見ながら打つべき球種やコースを見極めていきます。早い回から攻略していくことが大事」と、必勝法を教えてくれた溝江監督。
「一つのプレーを完璧にこなせるのがJDリーガーだが、トーナメントはとにかく結果を出すことに拘らなければならない。犠打も初球で決められなくとも、成功すればOK。反省は後々すれば良いので、思い切ってプレーして欲しい」と、凱旋試合に臨む選手たちに期待を寄せていた。