激戦ブロックを勝ち抜けるのは
青森県弘前市で開催された皇后賜杯を巡る女子ソフトボールの日本一決定戦、“皇后盃全日本総合女子ソフトボール選手権大会(以下、全日本総合選手権)”。今大会のトーナメントは抽選ならではの面白さ、日本最高峰の女子ソフトボールリーグ“JD.LEAGUE(JDリーグ)”の上位チームがひしめく激戦ブロックに注目が集まる。
この激戦ブロックの最終決戦となる準々決勝が行われた“はるか夢球場”での大会3日目に登場したのは、JDリーグ西地区首位を走る“トヨタレッドテリアーズ”と、東地区2位に付ける“ビックカメラ高崎ビークイーン”。一昨年のJDリーグ・ダイヤモンドシリーズ決勝で激突した人気チーム同士の対戦に、地元ソフトボールファンがスタジアムに多く詰めかけた。

ご当地選手の工藤への歓声はひときわ大きい-Journal-ONE撮影
前日の2回戦、JDリーグ東地区首位で昨年の全日本総合選手権の覇者“戸田中央メディックス埼玉”と対戦したトヨタ。日本代表の二本柱、後藤希友と増田侑希を相手に、粘り強い打撃でプレッシャーを掛け続けて試合を制した。
一方、昨年の東地区を制した“日立サンディーバ”と同地区対戦に臨んだビックカメラ高崎。緊迫感ある序盤の投手戦から一転、自慢の強力打線が少ないチャンを確実にものにし、粘る日立を振り切って準々決勝にコマを進めてきた。
世界のエースにルーキーが挑む
しぶとく粘って繋ぐトヨタ、勝負強い長打が自慢のビックカメラ高崎と、両チームの打線が持ち味を発揮している今大会。好調の打線をどう抑えるか、先発投手の投球に注目が集まる立ち上がり。
昨日に続き先発を任されたルーキー・成瀬結衣が、好調ビックカメラ高崎打線を三者凡退に打ち取り波に乗る。

ルーキーの成瀬(トヨタ)が先発の役目を果たす-Journal-ONE撮影
一方のビックカメラ高崎の先発は、世界のエース・上野由岐子。こちらもゆったりとした間合いから111kmの快速球を投げ込み、トヨタ打線を二者連続三振を含む三者凡退に切って取った。
2回表、ビックカメラ高崎はこの回先頭の4番・工藤環奈が右前安打で出塁。犠打と進塁打で2死三塁と先制のチャンスを掴んだが、ルーキーらしからぬ堂々たる投球を見せた成瀬が、前日に2本塁打を放っている炭谷遙香から見逃し三振を奪いピンチを脱した。

ビックは先発に世界のエース・上野を送る-Journal-ONE撮影
試合を決めたルーキーの一発
試合が動いたのは2回裏、トヨタの攻撃だった。1死から5番の下山絵理がショートの頭を越える安打で初出塁すると、続く6番のマヤ・ブレイディも粘って三遊間へのゴロを放って打線を繋ぐ。
2死一、二塁となった場面、好投のルーキー成瀬を助けたのは同じくルーキーの7番・小林楓だった。ピンチでギアを上げる世界のエース・上野が111kmの速球を連発する中、緩急を付けたボールに反応した小林の打球は一閃、打球はセンターのフェンスを越える先制の3点本塁打に。

世界の上野から本塁打を放ったルーキー小林(トヨタ)-Journal-ONE撮影
下位打線、しかもルーキーの一発でトヨタが先制する予想外の展開に、スタジアムが騒然となる中で小林が笑顔でホームに向かうと、ベンチは蜂の巣を突いたような大騒ぎで殊勲の小林を迎え入れた。

殊勲打の小林を祝福するトヨタの選手たち-Journal-ONE撮影
継投で膠着する試合展開
予想外の展開となったビックカメラ高崎は、3回から勝股美咲をマウンドに送る。
先日の完封勝利からの連投となった勝股の立ち上がりを攻めるトヨタ。この回先頭の石川恭子が中前安打で出塁すると、続く切石結女も速球を一、二塁間に弾き返して無死一、三塁。日本代表コンビの連打で絶好の追加点のチャンを作る。
しかし、ここでギアを上げた勝股は山田柚葵のスクイズを落ち着いてグラブトスして本塁でタッチアウトとすると、1死満塁と走者を背負いながらも続く二者を連続三振。これ以上の失点は許すまいと力投を見せる。