ラグビー日本代表が強化を図った2つのポイント
惜しくも6点差で敗れたが、「エディー・ジャパン」が確かな成長を見せた。
7月、北九州と神戸で行われたウェールズ代表との連戦で1勝1敗だった、エディー・ジョーンズHCが再任し、2シーズン目のラグビー日本代表。8月から9月にかけて、環太平洋の強豪6カ国と優勝を争う「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2025」(以下PNC)に参戦した。

日本代表を率いるエディ・ジョーンズHC-斉藤健仁撮影
2006年から形を変えながら行われてきたPNC。昨年からフォーマットを変えて開催され、日本代表は決勝でフィジー代表に17-41で敗れて準優勝だった。
今年の大会は2023年ワールドカップの結果で、2027年大会の出場権を得ていたフィジー代表、日本代表以外の4チームにとっては、ワールドカップ出場権がかかった重要な大会となり、どのチームも本気度が違った(結果はトンガ代表、カナダ代表、アメリカ代表が出場権を獲得)。
ジョーンズHCはPNCで2つの強化を図った、1つは近年、重要視されるようになった空中でのコンテストキックの争いに勝つこと、もう1つは国際経験豊富な元神戸製鋼HCのギャリー・ゴールド氏を招き、ディフェンスの強化を志した。
さらには、2027年ワールドカップを見据えたリーダーの育成も急務だった。「ウェールズ代表戦では、FL(フランカー)リーチ(マイケル)が戻ってきて、素晴らしい仕事をしてくれた。今後に向けてリーダーシップを強化、育成しないといけない」と話し、指揮官は来季の海外挑戦が決まっているHO(フッカー)原田衛と、23歳のLO(ロック)ワーナー・ディアンズの2人を共同キャプテンに指名した。

突破するLOワーナー主将-斉藤健仁撮影
若手主体のチームで世界ランク9位のフィジーに挑む
今回のPNCに向けて、コーチ陣や選手は「今年こそは優勝を目指す!」と日本代表は意気込んでPNCに臨んだ。唯一、日本で開催された予選プール初戦のカナダ代表戦は、57-15、アメリカに場所を移した2戦目のアメリカ代表戦は47-21と連勝して、予選プール首位で準決勝に進出した。
準決勝では、前半こそトンガ代表の武器であるフィジカルで後手を踏んで3トライを献上。だが、「戦い方を変えられたことが良かった」(ジョーンズHC)という後半は、持ち前のフィットネスを軸に、キックを交えたアタックを見せた日本代表が5トライを挙げて62-24で快勝。なお、得点、得失点、そして8トライと、すべて過去の対トンガ代表戦の最高記録だった。

準決勝のトンガ代表戦-(C) JRFU提供
ジョーンズHCは「昨季よりも、もっと若くなったチームだが、非常に結束力が高くなった。キャプテンをワーナーが引き継いで、周りにも助けてくれる良い選手がいて、良い形のチームワークが作れている。エネルギーもあるし、自分たちの戦い方を信じ切っている」と胸を張った。
順調に今年も決勝まで勝ち上がった日本代表は、予想通りフィジー代表との決勝戦を迎えた。フィジー代表は2023年のワールドカップでベスト8、世界ランキングは日本代表(13位)よりも格上の9位で、7月にはスコットランド代表にも勝利している強豪だった。

9本中8本のキックを決めた李を称えるワーナー‐斉藤健仁撮影
試合や練習でケガ人やコンディション不良が続出し、FW(フォワード)は3キャップのPR(プロップ)小林賢太、4キャップのHO(フッカー)江良颯が先発。
BK(バックス)はより若く、CTB(センター)陣は3キャップのチャーリー・ローレンスと廣瀬雄也、WTB(ウィング)は1キャップの木田晴斗、FB(フルバック)も2キャップの中楠一期がスターターとなった。
リザーブでは、PR為房慶次朗の14キャップが最多で、残り7人は9キャップ以下。祝原涼介、FL奥井章仁が1キャップ、CTB池田悠希が0キャップという若い布陣だった。
それでもジョーンズHCは「強いチームを力強い、層の厚いスコッドから選んだ。ケガ人が出ているが、自信に満ちあふれたチーム作りができている。若手主体のチームで、大きなステージで戦えるのは素晴らしい。勝ちにいく」と意気込んで臨んだ。

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