プレーオフ常連チームの復活
しかし、昨シーズンの豊田織機は、西地区2位の座をSGホールディングスギャラクシースターズに譲る。加えて、成長著しいSHIONOGIレインボーストークスにも後塵を拝した。その結果、まさかの4位に沈んだ豊田織機は、初めてプレーオフ進出を逃すことに。
この年の豊田織機は、SGホールディングス、SHIONOGIとの直接対決で負け越しに終わる。さらに、東地区との交流戦でも、プレーオフに進出した上位4チームに勝つことができなかった。

2年ぶりにプレーオフ進出を決めた豊田織機シャイニングベガ‐Journal-ONE撮影
2025年、頂上決戦への再挑戦
しかし、2025シーズン、豊田織機はあっという間にその“定位置”を取り戻す。SGホールディングス、SHIONOGIに勝ち越し、交流戦でも東地区の強豪から勝利を挙げた。しかも、敗れた試合も内容は紙一重の接戦だった。
一発勝負のトーナメントでは、無類の強さを発揮する豊田織機。ダイヤモンドシリーズに勝ち進み、4年ぶりに王者・トヨタレッドテリアーズから勝ち星を掴みたい。
主将の覚悟と勝負への執念
「この一年、日本一になるためだけにやって来た」と、大平あい主将がリーグ戦を振り返る。プレーオフ進出を決めて臨んだ最終節の京都ラウンドでも、緩むことは一切なかった。「とにかく2連勝することだけを考えた」と、最後まで勝ちにこだわりプレーしたと話す。
その結果、京都ラウンドで連勝を果たした豊田織機。勢いを保ちつつ、良い形でプレーオフに入ることになった。
皇后盃優勝がもたらした決戦力
良い形と言えば、皇后盃全日本総合女子ソフトボール選手権での優勝は外せない。毎年、夏の強化合宿で遠征する青森県弘前市が会場となった今大会。その”地の利”も活かし、10年ぶり5回目の栄冠を掴んで勢い付いた。
大平主将は、「シーズン終盤に向けて、さらにチームの勢いは上がりました」と笑みを浮かべる。その一方で、「開催地である弘前市の皆さんに喜んでいただいた」と、さらに表情を崩して振り返る。
日ごろのサポートに報いた勝利。それが、チームにとってこの上ない価値のある優勝であったと教えてくれた。

大平主将はご恩に勝利で応える喜びを語る‐Journal-ONE撮影
プレーオフへ向けたチーム再構築
2年ぶりのプレーオフへ。「まずは時間もあるのでチームの雰囲気を作り直します」と大平主将。「相手がどこであっても、Shokkiのソフトボールを100%出してプレーします」と意気上がる。
強力打線の、さらに鉄壁内野陣の要に座る大平主将。力強く、粘り強く、そして勝負強いプレーを見せると約束して京都を後にした。

好守に要となるキャプテンの大平(豊田織機)-Journal-ONE撮影
監督が語る勝負の準備
「プロ選手としての意識が高まったシーズンだった」と、シーズンを振り返るのは永吉慎一監督だ。その理由を聞くと、「選手たちは、自分の身体に投資ができるようになってきた」と続ける。

右から永吉監督、山﨑コーチ、シュナイダーコーチ(豊田織機)-Journal-ONE撮影
打線の進化でトーナメント対応力
これは、選手がお金を投じてシーズンオフのトレーニングに励んだ結果、開幕から破壊力満点の打線が完成。打線の進化が、試合巧者・豊田織機に磨きをかけた。
かつての豊田織機は、粘って出塁した走者を足技、小技で本塁に還すプレースタイルだった。しかし、今シーズンはその足技、小技は健在で、西地区トップとなる32本のアーチを架けた。
走者を貯めて一発長打で大量得点を挙げる。トーナメントに“鬼強”の豊田織機が、金棒を手に入れて日本一に挑戦するのだ。
「打線は水もの。特に、体力の落ちた後半戦には失速してしまった」と、永吉監督が目指すレベルはまだ上だ。それでも、相手にとっては大技、小技で攻め寄せる豊田織機の攻撃力は脅威でしかない。

















