秋に開催、毎年10万人が訪れる「収穫祭」
毎年、秋の寒さを感じる季節に行われる東京農業大学(以下、農大)の「収穫祭」。約10万人が足を運ぶこの学園祭は、世田谷(東京都)・厚木(神奈川県厚木市)・北海道オホーツク(北海道網走市)の3キャンパスで開催されます。

今年も大盛り上がりとなった収穫祭-Journal-ONE撮影
キャンパスごとに学部・学科の特色を活かした実習・研究テーマで、模擬店や展示が行われる「収穫祭」は、農大の魅力が詰まった見どころ満載。Journal-ONE編集部は今年も取材に入り、2024年の収穫祭に続き学生たちが日々重ねてきた研究や実習の成果を体感してきました。
収穫祭は「奉献式」から始まる──豊受大神宮奉献式
“お伊勢さん”と親しまれる伊勢神宮の由来
“お伊勢さん”と親しまれる伊勢神宮は、正式名称を「神宮」といいます。皇大神宮(内宮)には天照大御神、豊受大神宮(外宮)には衣食住を始め産業の守り神である豊受大御神が祀られています。さらに、14所の別宮、43所の摂社、24所の末社、42所の所管社があります。
外宮に祀られる豊受大御神は、天照大御神の食事を司る御饌都神(みけつかみ)とされ、現在では衣食住・産業の守り神として崇敬を集めています。人類の文明や文化の発展の根幹が食料や環境に関わる「農」の発達にあるとするならば、豊受大御神はまさに豊作の神様。収穫祭は、この豊受大神宮へ奉献する式典から幕を開けます。

豊受大神宮奉献式が行われるのも珍しいという-Journal-ONE撮影
世田谷キャンパスでの厳かな式典
東京農業大学世田谷キャンパスには都心とは思えない静寂に包まれた小さな杜の中央に、鎮座し行われる豊受大神宮への奉献式。神職の祝詞、創立134年 収穫祭2025の安全な開催を祈る関係者たちの玉串拝礼と続くと最後に、全学応援団の団長が学歌を奏上した。
伝統応援「青山ほとり」と坂入爽太団長の想い

坂入爽太団長の学歌で雰囲気は更に引き締まるーJournal-ONE撮影
応援文化を100年近く紡ぐ「青山ほとり」
大根踊りで知られる東京農業大学の伝統応援の正式名称は「青山ほとり」。スポーツの応援に限らず、収穫祭やOBの結婚式まで、農大生のアイデンティティを100年近く守り伝えています。その応援を団長として引き継ぐのが、農学部農学科4年・坂入爽太団長です。
団長に聞く、農大と応援団への情熱
東京都出身の坂入団長は、もともと農業に興味があり「実学主義」のもと、五感を通じて学べる点に魅力を感じて農大へ。「食べることが好きなので、農業に携われること、果樹をもっと深く探求したいと思いました」と笑顔で語ります。
応援団に入った理由は「入学時の演技披露での迫力ある先輩たちの姿に心を掴まれ、気づいたら入団を決めていました」とのこと。高校まで空手・卓球・ハンドボールに打ち込んできた坂入さんは、「大学でも運動部に入ることも考えましたが、やらない後悔よりやって後悔がモットーなので、何でも挑戦しようと思いました」と振り返ります。

奉献式の時とは全く違う、明るい雰囲気の坂入団長ーJournal-ONE撮影
団長として迎えた現在については、「毎日プレッシャーに追われています。ただ、団長としての応援団生活は4年生の1年間に限り。応援が誰よりも好きという情熱で乗り切っています」と責任感を語ってくれました。
「応援活動の中で『応援してくれてありがとう』という言葉をもらえるだけで、それが活力となり、やりがいにつながります。恵まれた環境で応援活動ができることが何より嬉しいです」と、農大への愛がさらに深まった様子でした。
箱根駅伝へ、伝統応援がつなぐエール
2年ぶり、箱根駅伝出場権を獲得
そして今年、農大の陸上競技部は箱根駅伝予選会で6位となり、2年ぶり・通算71回目の箱根駅伝出場権を獲得。
「昨年は “1秒” という差で全員が本当に悔しい思いをしました。自分の代で先輩方の思いも背負って箱根駅伝に出場しようと熱い気持ちで予選には臨みました。ゴールして農大の名前が入っているのを見て安心しましたが、昨年の結果も思い出して、先輩方と本選に出たかったという思いも込み上げました」と坂入団長。




















