四国を元気に!高知編 物部川エリアに行こう!

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SVリーグの試合会場とどろきアリーナ
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ちなみに、この日は昭和レトロナイトということで、場内のBGMは懐メロ。私が入場したときはブルーハーツの「リンダリンダ」がかかっていた。あれ、この曲って厳密に言うと平成では、と思い、調べてみると1987年リリース。ちゃんと昭和でした。

その後、場内には円広志の「夢想花」、中森明菜の「Desire – 情熱」、キョンキョンの「なんてったってアイドル」といった曲が響く。当然のことながら、昭和生まれのおっさんの飲む酒は、美味くなる一方だ。

再入場OKとのことだったので、ハイボールを飲み終えた私は、一旦退席し、入る前に目をつけておいたキッチンカーでザンギ3個入り(800円)と生ビール(700円)を購入。自席へ戻り、生姜の効いたザンギをあてに、ビールを飲みながら日本最高峰のチームの練習を見学するという贅沢にありつく。アリーナ前にあった『搭乗口』の案内

初の現地観戦で感じた美しさとすごさ

それにしても、両陣営の練習の差異が面白い。

NEC川崎は自由というか、のんびりというか、素人目には銘々がやりたいことを気ままにやっている感じがする。一方、昨季優勝のマーヴェラスは、フィジカルトレーニングをチーム全体でやっており、練習が組織立っていて規律を感じさせる。これがチームカラーというものなのだろう。

そうこうしていると、NEC川崎の選手数名がネット際でブロックの動きを確認し始めたのだが、今季から加入した昨季リーグ得点王のシルビア・チネロ・ヌワカロールの何気ないブロックの飛びを見て、思わず息を呑んだ。

それは跳躍というより、もはや浮遊と表現する方が適当なのではないかという対空時間で、彼女の周りだけ働いている重力が違うのではないかと思わせる美しいジャンプだったのである。6500名を収容するとどろきアリーナ

今回、初めてバレーボールを生観戦した私は、この競技の持つ「美」に魅せられた。とりわけ、スパイクを打つ際の一連の身体の動きは舞踏を思わせ、躍動感の定義とさえ言えるヌワカロールのバックアタックなど、そのフォルムの美しさは完全に芸術のレベルに達していると言っても過言ではない。

もちろん、ゲームの本質はネットを挟んだスリリングな攻防にあるのだが、選手たちの類稀なるアスレチシズムを駆使した美しい動きを観るだけでも、チケット代を払う価値は十分にあると感じた次第である。

さて、試合の方はというと、「我が」NEC川崎がいずれも接戦となった最初の2セットを連取。NEC川崎は開幕4連勝で首位に立ってこの試合を迎えており、開幕5連勝は確実かと思われたが、ここからマーヴェラスが女王の意地を見せ、驚異的な粘りで2セットを取り返した。

この日、マーヴェラスはアウェイ用の黒いユニフォームを着用していたのだが、強者が黒を着ると、より一層強く見える。柔道の黒帯然り、全盛期の横綱・千代の富士も締め込みは漆黒だった。強者には黒がよく似合うのである。

それに、この試合ではキャプテンの田中瑞稀が素晴らしかった。身長170cmと、アウトサイドヒッターとしては小柄ながら、要所でスパイクを決め切る勝負強さや巧みなサーブで相手を崩す技術はもとより、レシーブやブロックのサポートなど、ボールから離れた地味な部分で発揮する機能性の高さは見事の一言。彼女の動きを追っていればバレーボールの真髄が垣間見えるのではないかと思えるほどの選手で、敵ながら天晴れと言わざるを得ない。

しかし、勝負というのは分からないもので、流れ的にNEC川崎には厳しいかと思われた第5セットは、途中、セッター中川つかさのサーブが走ってホームチームが優位に立つと、最後はセットポイントで佐藤のスパイクが決まり試合終了。私も自然と両手でガッツポーズ。しっかりと、クルーの一員としてコミットしたのであった。

フルセットの熱戦を堪能するなか、あっという間に時は過ぎ、終わってみれば時刻はすでに21時過ぎ。明朝に漁の控えたバレーボール観戦初体験の昭和オヤジは、好勝負の余韻に浸りつつ、雨の降り続く夜道をタワマン群の麓にある駅へ向かって足取りも軽やかに歩き出した。

■記者プロフィール
平床 大輔
雑文家。1976年、東京都生まれ。コロンビア・カレッジ・シカゴ卒。神奈川県西湘在住。主にスポーツ系の記事執筆や翻訳を手掛けつつ、週2で魚を漁るパートタイム漁師。
アクセス

有明コロシアム

  • 住所
    東京都江東区有明2-2-22 有明テニスの森公園内
  • TEL
    03-3529-3301(有明テニスの森公園)
  • アクセス
    ① 東京駅 - 京葉線 約10分 - 新木場駅(徒歩約4分)- 国際展示場駅 - 徒歩約7分
    ② 東京駅 - 東海道線 約3分 - 新橋駅(徒歩約5分)- ゆりかもめ約25分 - 有明テニスの森駅 - 徒歩約6分
  • その他
    【営業時間】(各イベントによる) 【休館日】年末年始
取材・文:
平床 大輔( 日本 )
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