
現体験から丁寧に打撃指導する塩田選手-Journal-ONE撮影
ルーキーが語る成長の一年
ほぼレギュラーとして出場し続けた塩田選手に、ルーキーイヤーの感想を聞いてみた。すると、塩田選手は「本当にいろいろ経験させて頂いた一年」とチームへの感謝を述べる。
「毎試合が考えられないほどの緊張感だった」と、プレッシャーと戦い続けた一年を振り返る塩田選手。それでも、「来季は序盤から好守で活躍し勝利に貢献したい」と誓った。
こうした交流は、選手にとってもモチベーションの源泉となる。次の挑戦へと選手の意志を繋いでいく良い機会であることが分かった。
競技人口減少と地域の挑戦
約100名が憧れのレッドファルコンズと触れ合ったこのイベント。大盛況の三島地区だが、ソフトボールに励む子供たちの数は年々減少傾向にある。
「中学校は生徒数減とともに、部活動も縮小しています」と語るのは山本広幸さん。教員としてソフトボール部の顧問を歴任した山本さんは、退職後に中学生クラブ「静岡ふぃじっぴーず」を立ち上げた。

柴田選手とショートの守備に就く”ふじっぴーず”の選手(中央)-Journal-ONE撮影
そこでは、沼津市立浮島中学校のグラウンドをホームに、広域から中学生を受け入れているという。
「浮島中は各学年に1クラスしかないのです。ですから、屋外系クラブがないので、ホームグラウンドとして使えるのは有難い」と山本さんは続ける。
中学校に生徒がたくさんいれば、グラウンドは同校のソフトボール部が使用するだろう。しかし、生徒が居ないから練習環境に困らない。これは、手放しで喜べる状況ではない。
静岡EASTMAXで全国を経験した選手でさえ、こういったクラブチームの受け皿があることによって、ソフトボールを続けられる。
ゆえに、残り少なくなった学校部活動、民間指導者、ソフトボール協会、レッドファルコンズが連携したこのイベントは一筋の光と言ってよい。

全国常連の静岡EASTMAXの選手たち‐Journal-ONE撮影
未来への期待と国際大会への布石
地元ヒーローのプレーに目を輝かせ、懸命にボールを追う小中学生の姿。この素晴らしい光景を存続させるだけでなく、競技自体をさらに盛り上げる工夫も必要だ。
2026年には愛知・名古屋でアジア大会、そして2028年のロサンゼルス五輪では大会3連覇がかかる日本の女子ソフトボール。
だからこそ、地域に根差したトップチームの普及活動は、未来の代表選手とファンを同時に育てる「最前線」となる。長期的にソフトボール文化を支える大黒柱となる取り組みに、多くの企業や自治体がもう少し手を差し伸べられる仕組みを作って欲しいと感じた。






















