
試合の流れを変える活躍で安間志織はMVPに-Journal-ONE撮影
ローテーション解析――“誰が出ても形が崩れない”の強み(Wリーグで際立つ層の厚さ)
この試合のアンテロープスの強みは、メンバーを入れ替えても攻守の約束事が揺らがない点であった。
スターターの安間志織(14点)はペースコントロールとハーフコートでの意思決定が光った。三浦舞華(13点)は2Pの高効率でミドルレンジを支配した。
さらに、ベンチからはカイリー・シュック(14点、3P 4/4)がペリメーターを広げ、田中平和(11点、3P 3/4)がスポットアップで“要所の一撃”。
横山智那美はリバウンド10でポゼッション確保に貢献した。こうした役割分担の明瞭さが、第3Qの逆風にもチームの骨格を保ち続けた理由である。
守備面では、サイドピックに対するショー→ドロップの可変運用とウィークサイドのタグが乱れない点。加えて、クローズアウトの角度が終盤まで崩れなかった点が挙げられる。
特に第4Qは、ペイント侵入後のヘルプ→ローテーション→外のチェックの連携が寸分違わず決まり、サンフラワーズの外角(この試合の3P 4/21)に再び冷水を浴びせた。

タレント軍団を束ねる山本麻衣主将-Journal-ONE撮影
ENEOSの打開――“二枚看板”の再現性と、外角の再設計(Wリーグ浮上のきっかけ)
サンフラワーズは、馬瓜エブリン(22点)、梅沢カディシャ樹奈(21点、FT 6/8)の二枚看板で勝機を創出した。
第3Qに見られた、ハイポスト/ローポスト起点からのライン加点→トランジション守備の強度アップという組み立ては再現性が高い。
一方で、ゲームを押し切るには外角の底上げ(3P 4/21)とキックアウト後のショットクオリティの改善が不可欠。ウィングで受ける際のキャッチ姿勢・踏み替えの方向性・パスの射出角といった“細部”の整理で、最終Qのような失速は止めたいところだ。
なお、第3Qの追い上げが示すように攻め筋は明確だ。次戦(同会場・12/21)は、二枚看板の継続的なライン加点に加え、コーナーと45度のエリア活用をどう拡張するかが焦点になる。
オフェンスリバウンド(この試合OREB 15)後の“次アクション”を加速させれば、スコアの連鎖を生みやすい。

Wリーグ王座奪還を目指すENEOSサンフラワーズ-Journal-ONE撮影
壮絶な試合を振り返る――大神ヘッドコーチ/馬瓜エブリン
試合後、アンテロープス・大神雄子ヘッドコーチが終わったばかりの激しい試合を振り返った。
「どのローテンションにおいても、選手全員がしっかりと自分の役割を果たしてくれた。非常に頼もしい」と、まずは全ての選手に賛辞を述べた。
さらに、第3Qの逆風を受けた場面にも触れた大神HC。「とにかく落ち着くよう伝えた。慌てず、最終Qで外角とリバウンドの連鎖に回帰できた」と勝負所でのプレーも評価した。

試合中は大神HCの動きにも注目して欲しい-Journal-ONE撮影
対するサンフラワーズは馬瓜エブリンがコメント。「ここ最近の結果(4戦3勝)とは関係なく、常に一戦一戦集中して試合に臨んでいる」と、泰然自若で臨んだ姿勢を強調。
強豪アンテロープスを相手にしても、自分たちのプレーを貫くマインドが首位チームの機先を制した要因を教えてくれた。
結果として、あと一歩で「ショットの正確さで差が出てしまった」と悔しさを滲ませたエブリン選手。
「歴史と伝統あるENEOSだが、選手は常に入れ替わっている。そういった面では、まだまだ経験が浅い」と続けた。
wリーグで王権復活を掲げるサンフラワーズの課題は明確。これを克服し、さらなる飛躍を遂げるのは時間の問題であろう。

率先垂範、若手のお手本としてもエブリンへの期待は大きい-Journal-ONE撮影
Wリーグ次戦プレビュー(12/21・同会場)――“鍵は第3Qの再現と第4Qの対処”
Wリーグ屈指の好カード。2ndラウンドの焦点は明快だ。






















