本田圭佑が描いた本気の舞台|ショーではない真剣勝負
本田圭佑が主宰する「育成と勝負を両立させる場」。“4v4 JAPAN CUP 2025 RESPECT YOU, au”が盛り上がりを見せた。
会場となったのは、今年オープンしたお台場のトヨタアリーナ東京。真新しい夢の舞台は、参加者たちの気持ちを鮮やかに彩る。とりわけ、今年の大会はクリスマスということで華やかさは一層増していた。
しかし、祝祭ムードに染まったトヨタアリーナ東京だが、ピッチ上は凛とした緊張で満ちていた。つまり、このイベントは“見せるためのショー”ではなく“鍛えるための競技”であった。
それゆえ、U10・U12の王者にとって、サッカー元日本代表らと対戦するスペシャルマッチは、記念撮影の時間ではない。次の自分に向き合うための、実戦の時間であった。

スペシャルマッチに挑む子供たちとレジェンド‐Journal-ONE撮影
U10・U12王者、レジェンド軍団へ本気の挑戦
U10の頂点に立ったmorochan,sU10(大分県)、そしてU12を制したアシカマトリ(大阪府)。歓喜の余韻をまとった彼らは、ためらうことなく本田圭佑率いるレジェンド軍団へ挑戦状を叩きつけた。
未知の舞台で試される“判断力”
舞台は、子どもたちにとって未知の領域。彼らはいつもの「4人でどう攻めるか」という戦術を、そのまま“日本の頂点に触れる瞬間”へ持ち込む。だが、ショットクロック20秒という厳しい制約が、甘さを許さず、攻守のテンポを容赦なく加速させる。
こうして、判断の速さを武器にも、時に弱点にも変えながら、一瞬一瞬に勝機を刻み込もうとしていた。まるで、時間そのものと戦っているかのように。
一方で、レジェンド側のプレッシャーは、言葉で語るよりも体感する方が早い。

中澤佑二と坪井慶介も本気のプレー-Journal-ONE撮影
レジェンドの圧力、体感するしかない現実
ボールに触れた瞬間、寄せは稲妻のように速い。宇佐美貴史、柿谷曜一朗――創造力を武器にするレジェンドたちが目の前に立ちはだかる。真剣勝負でぶつかり合うからこそ、子どもたちの身体には「なりたい自分」が鮮烈に刻み込まれていく。
さらに、坪井慶介と乾貴士がトップスピードで迫り、自陣を切り裂く。圧倒的なスピード、揺るぎないフィジカル。その差は残酷なまでに明確で、最初の数分間はまさに“耐える時間”だった。
そしてゴールマウスには、“本職”の守護神・権田修一が立ちはだかる。子どもたちは必死にエリア内までボールを運ぶが、広げられた長い両腕が冷静にシュートコースを封じ込める。
さらに、本田圭佑が右サイドを切り裂き、力強いシュートを何度も放つ――その一撃一撃が、会場の空気を震わせた。

柿谷曜一朗に激しい当たりを見せて会場を沸かせた‐Journal-ONE撮影
会場を揺らした“本気”と“勇気”
レジェンドのプレーに会場からは、「まったく遠慮なし」「ガチそのもの」という声が相次ぐ。さらに「権田に守られたら点が遠い」と笑い交じりのコメントも飛んだ。
ただし、耐えるだけでは終わらなかった。点差が広がっても、子どもたちは受け直しの位置を工夫し、サポートの距離を詰め、ロストの後も一歩を踏み出し続けた。そして、ついにスペシャルマッチで史上初の得点を挙げることに成功したのだ。
こうして、観客は大人の本気と子どもの勇気が正面からぶつかり合う瞬間を、緊張と高揚の入り混じった感情で受け止めることになった。見応えの核心は、華やかな演出以上に、真剣さが空気を震わせていた事実であった。

大会初得点を挙げた選手とハイタッチする本田圭佑-Journal-ONE撮影
豪華レジェンドの顔ぶれと本気度
今年のレジェンドたちの顔ぶれは、昨年に引き続き豪華絢爛だった。
本田圭佑を軸に、中澤佑二の統率力、乾貴士の鋭い突破、柿谷曜一朗の創造性、家長昭博の緩急、宇佐美貴史の決定力、権田修一の広い守備範囲、そして坪井慶介の対人の強さ――そのすべてが凝縮されている。
怪我でプレーを控えた内田篤人も含め、彼らの立ち居振る舞いはプロの矜持そのもの。肩書きだけでは伝わらない「速さ・強さ・賢さの絶妙なバランス」が、4v4というコンパクトな舞台で鮮明に浮かび上がる。


















