ウインターカップ女子決勝で大阪薫英が桜花学園を破り初優勝を遂げた。
ウィンターカップのクライマックス
顔に笑顔を広げながら、ドスンと自らの足を踏み降ろした。試合時間は残り5秒ほど。桜花学園の選手のシュートが外れると、ウインターカップ女子決勝で大阪薫英のエース的存在の三輪美良々は激しい争いの中でリバウンドを力強くもぎ取った。桜花学園は三輪に対してすかさずファール。三輪が「やったぞ」とばかりに大きくコートを踏みつけたのは、その時だった。
「やらないですね。なんかもう、嬉しくて、気持ちが出てしまったかなって」。
その場面について問われると三輪は、やや照れくさそうな笑みを顔に浮かべながらそう話した。

満面の笑みでカップを掲げる大阪薫英の選手たち‐永瀬和志撮影
ウィンターカップで悲願の初優勝|大阪薫英
66対61。終了のブザーがこの大会の「聖地」である東京体育館の中に響く。大阪薫英女学院高校はウインターカップ(全国高等学校バスケットボール選手権大会)・女子決勝戦で通算24度優勝の桜花学園を破り、王座に戴冠した。
それまでウインターカップで3度、決勝戦の舞台に立ち続けた。しかし、いずれも「銀メダル」に終わっていた大阪薫英が、宿願の初優勝を遂げた。
三輪美良々の圧巻のパフォーマンス
この日の三輪は、オフェンスではリング近くでのプレーが多かった。まずは前半、固さも手伝ってかシュートがリングの中に吸い込まれなかった。しかし、後半は徐々に力量を発揮したプレーを見せた。ウインターカップ女子決勝で相手のマークがけっして緩まない中で、得点を重ねていった。30得点、13リバウンド。大会の6試合では平均23.8得点、7.8リバウンド。現在では多くのチームが採用する背の高い留学生選手のいない大阪薫英。しかし、その中でも三輪の高い力量でトーナメント表を駆け上がり、最後には頂点に立った。

ジャンプシュートを放つ三輪(大阪薫英)‐永瀬和志撮影
肉体的負荷と気迫
精神的な硬さの部分も含めて、三輪の状態が万全だったようには見えなかった。いや、女子高校バスケットボール界にその名を轟かせる名門中の名門、桜花学園が三輪という絶対的な中心を抑えることに注力したことが奏功したともいえるか。
いずれにせよ、試合開始直後から相手のビッグマンを相手に体をぶつけながらのプレーとなった三輪。そのため、三輪の着るユニフォームの背中には早い段階から汗がありありと滲んでいた。
出場時間は38分だった。得点、リバウンド、ディフェンスと攻守のほとんどすべての場面でプレーに絡む選手だけに、この38という分数で彼女が感じていた疲労感はこの競技に打ち込んだ者にしかわかるまい。ハーフタイム中にはチームのスタッフから脚へのストレッチを施される光景があった。ケガではなかったそうだが、三輪によれば「脚が重たくて全然、プレーができていないな」ということのようだった。
終盤の心理と勝負の流れ
終盤。激しくプレーを続けた三輪はチームメートらと同様、笑顔を絶やさずにはいた。とはいえ、その表情の中にも疲労の色も見えていた。しかし、だ。ウインターカップだ。決勝戦だ。初優勝がかかっている。3年生の三輪自身にとっては高校での最後の試合だ。眼の前にぶら下がるニンジンは、三輪やその他、コートに立ち続けた選手たちの足を動かし続けた。
三輪が言う。
「疲れとか言い訳をしていられない、最後の試合で薫英でやれるのも最後やから逃げてどうするんだと思っていました。なので、そんな疲れなんかも考えずにとにかくやり切ろう、とにかく全力でやりきろうと思いながらやっていました」。

激しいマークを突破する三輪(大阪薫英)‐永瀬和志撮影
桜花学園の前半と後半
桜花学園は前半、ドライブからの強く、鋭利なドライブからのレイアップがよく決まった。最大では14点の差をつけ、前半終了時には44点とハイペースで得点を重ねた。
それが後半では17点に抑えこまれた。前半で三輪のシュートがリングに嫌われていたのと同様に、後半は桜花学園のシュートがリングの中に吸い込まれる磁力を失っていた。
あるいはそれは、確実に疲労はありながらも笑顔を絶やさず、かつ必死のプレーぶりを続ける大阪薫英による気迫が桜花学園に対して心理的な影響を及ぼしたところもあったか。

竹内みや(桜花学園)のジャンプシュート‐永瀬和志撮影

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