第4Q終盤、逆転を狙うオービックのラストドライブ
ライスボウルも試合時間、残り2分を切る。ここまで2点差を追うオービックシーガルズは逆転を狙ってのドライブを開始した。自陣4ヤードからそれは始まったから、エンドゾーンは遠かった。それでも3度、ファーストダウンを更新。相手のパナソニックインパルスの陣地へ侵入した。
時計は、残り1分弱。オービックの強肩クオーターバック、ピアース・ホリーはセカンドダウンから左サイドを走るワイドレシーバーの佐久間優毅へパスを投じた。

オービックQBピアース・ホリー-永塚和志撮影
コックスが奪った運命のインターセプト
オービックの攻撃ラインはホリーに対してプレシャーをかけようと襲いかからるパナソニックのディフェンスラインを食い止め、司令塔に良いパスを投げる十全な時間を提供した。
ホリーのパスは鋭く、佐久間へ正確な軌道で向かっていたように見えた。しかし、ボールが収まった手の持ち主は、パナソニックの選手だった。
ジョシュア・コックス。アメリカ出身のディフェンシブバックは待ち構える佐久間の前に入ってパスをインターセプトすると、眼前に広がるフィールドをまっすぐ走った。後ろからは本来、そのボールを捕るはずだった佐久間が懸命に追う。
試合のもっと早い段階であれば、あるいはそのままエンドゾーンへ駆け入ることができたのではないか。しかし、東京ドームの人工芝の上を走り続けた脚は、試合後のコックスいわく、「死んでいた(笑)」。コックスはエンドゾーンまであと2ヤードの地点でつぶされた。

タックルをするパナソニックDBジョシュア・コックス‐永塚和志撮影
9対7─ロースコアで終わったライスボウル
だが、残り時間40秒を消化するだけでよかったパナソニックにとっては十分すぎた。
9対7。それぞれリーグ1のオフェンスとディフェンスを持つオービックとパナソニックによる今年のライスボウルは、意外なほどのロースコアゲームで幕を閉じた。
5年連続のライスボウル進出だったパナソニックにとって、昨年に続く2連覇で、通算では6度目の優勝となった。

ライスボウル試合前に入場するパナソニックインパルス‐永塚和志撮影
MVPはコックス─二度のINTが勝利を決定づけた
試合の最優秀選手賞トロフィーを掲げたのは、コックスだった。コックスはこの試合の第3クオーター終盤にもインターセプションを記録していた。ボールを確保したのは自陣のエンドゾーン内でだった。つまりは相手のレシーバーに捕られていれば、タッチダウンだった。言うまでもなく、大きなプレーだった。
MVP獲得の裏にあった周到な準備
身長180cm、体重86kgのコックスには体躯と身体能力が備わっている。だが、ライスボウルで記録した2つのインターセプションは、どちらかといえば彼の準備が奏功してのものだったとしていい。
パナソニックがライスボウル進出をかけた「ライスボウルトーナメント」準決勝の富士通フロンティアーズ戦を制してから、ライスボウルまでは3週間の期間があった。シーズン中、各チームは原則、2週に1試合をこなすから、より長い準備期間があったことになる。
インパルスのウェブサイトにある選手紹介。コックスは自身の「アピールポイント」に「試合前に学んだことを試合の中で生かすことができる精神的な部分」を挙げている。
コックスは、ライスボウルまでの3週間を相手のこと細かい分析に費やしたという。
ライスボウル優勝の余韻が残る中、コックスはこのように話した。
「最初の1週間は(オービックオフェンスの)ファーストダウンとセカンドダウンを(映像で)見て、その次の週にはサードダウンを見た。それからは試合を通して見た。それによって、相手の攻撃コーディネイター(攻撃のプレーコールを選択するコーチ)の考えることがより正確にわかったんだ」。

ライスボウル2026でMVPに輝いたジョシュア・コックス(パナソニック)‐永塚和志撮影
アメフトの“読み合い”の中で光った反応力
これは多くの競技に言えることではあるものの、アメリカンフットボールでは片方のチームが相手の裏をかき、もう一方のチームはそのさらに裏をいくというような攻防が行われている。

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