和歌山大学硬式野球部の伝統と全国レベルの実力
和歌山大学硬式野球部(以下、和歌山大学)は1924年に創部。今年で102年目を迎える伝統ある野球部だ。加えて、和歌山大学は、国公立大学ながらも近畿学生野球連盟の強豪ひしめく1部リーグに所属している。
しかも近年、春季リーグで優勝を果たすなど、その実力は全国レベル。初出場となった第66回全日本大学野球選手権大会(2017年)でいきなりのベスト8入り。2024年の第73回大会まで計4回の出場を誇っている。

ノーサイン野球を実践する和歌山大学硬式野球部-JournalーONE撮影
直近の第73回大会では、オリックスバファローズに進んだ寺本聖一擁する広島経済大学を相手に逆転勝利。次戦では、本大会ベスト4に進んだ東日本国際大学に0-1と惜敗したものの、その奮闘は多くの野球ファンから喝采を浴びた。
国公立大学として唯一全国大会に挑む姿が大きな注目を集めている和歌山大学。その最大の特徴は“ノーサイン野球”だ。選手同士の対話と共通認識を軸に、バント、盗塁、ヒットエンドランなどの作戦を臨機応変に選択する。
監督からの一方的な指示を排し、選手が自ら考え、判断して実行する。そのためには、日ごろから判断力、決断力、断行力の“三断力”を鍛える必要があると、独創的な練習方法や活動を行っている。
和歌山大学を強くする“和大ドリル”と人間形成メソッド

2024年7月に取材をしたときの形式練習の様子-Journal-ONE撮影
すると、選手たちが全力疾走で集まりグラウンド内の至る所でミーティングが実施される。課題や疑問を素早く共有し、原因の確認と解決策の理解を重ねる。これにより、選手の自発的な動きを育んでいくのだ。
また、スポーツ推薦制度なしの国公立大学というハンデを負いながら、全国各地から入学する選手の能力を高める練習法“和大ドリル”は注目だ。素早くプレーするための基本スキルである身体の使い方、ボールの扱い方といった技術を磨く“ドリル”に始まり、外野からの素早い返球を身に付けるカットプレーまで多岐にわたる。また、ポジションに限らず全選手が投内連携を身に付けるメニューまで幾つもの“ドリル”を開発し実践している。
和歌山大学が実践する地域貢献の効果
加えて、学生スポーツであるため選手たちの学力、人間力も重視する和歌山大学。野球技術だけでなく、学業や地域貢献なども含めた“人間形成”を目指している。地元の中高生との合同練習や、高校野球会場でのグラウンド整備。最近では、高校野球の補助審判員なども請け負う教育的活動にも積極的に取り組む。

この日は、高校生との合同練習で基礎練習を行っていく‐Journal-ONE撮影
自主性を育て、技術を磨き、地域に根差すチーム運営は、多くの大学スポーツにおける挑戦モデルとして注目されているのだ。
和大ドリル導入校・神戸弘陵高校との深化する交流
これら斬新な取り組みは、2008年から指揮を執る大原弘監督の就任から始まった。学習塾業界に身を置く大原監督は、青少年の教育にも長年携わっている。その経験の深さや人脈の広さはもちろんだが、感心するのは「とにかく吸収しよう。」とする探求心だ。
その大原監督の指導論に賛同した、石原康司監督が和歌山大学との合同練習に臨んだ。石原監督が率いるのは、女子高校野球界の名門・神戸弘陵学園高校女子硬式野球部(以下、神戸弘陵高校)だ。

神戸弘陵高校の石原監督(左)と和歌山大学の大原監督(右)と-Journal-ONE撮影
全国制覇常連の神戸弘陵が和大ドリルを取り入れた理由
神戸弘陵高校は、2014年の創部ながら全国トップクラスの実力を誇る。そして、2023年と2024年には夏の全国大会で連覇を達成した。確かに、昨年は夏の大会で連覇が途切れたものの、春の選抜大会では史上初となる2023年から3連覇中。今春は、前人未踏の4連覇に期待が掛かる全国屈指の強豪校だ。


















