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和歌山大学 硬式野球部が全国大会で東京ドームへ
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“国立大学から全国へ”を現実にしたチーム

和歌山県和歌山市に拠点を置く和歌山大学硬式野球部。彼らは長らく地域密着の大学野球チームとして活動してきた。しかし、国公立大学という立場ゆえ、練習時間・部員数・設備環境の制約は大きい。それゆえに、全国の強豪私立大学と肩を並べるのは容易ではなかった。

そんなチームが全国から注目を浴びる存在へと変わった。その背景には、2008年に監督へ就任した大原弘監督の存在がある。

赴任当時、和歌山大学は近畿学生野球連盟の3部所属。それが今では1部の常連となり、全日本大学野球選手権大会に複数回出場している。しかも国立大学としては極めて珍しい「初戦突破」を複数回達成。その活躍は、全国の大学野球ファンを驚かせた。

注目すべきは、その成長が「施設の充実」や「大量のリクルート」によるものではなかったことだ。専用球場はなく、外野のすぐ横で他部が練習する日もザラ。そんな環境で部員たちは自ら荒れ地を切り開き、草を抜き、土を均した。そして結果的に、“自分たちの第二グラウンド”をつくり上げたのだ。この物語は、単なる美談ではなく、和歌山大学硬式野球部が強くなれた根幹そのものだった。

全国大学野球選手権に出場したを大原監督と和大ナイン

2024年に東京ドームで行われた全日本大学野球選手権大会で-Journal-ONE撮影

大原監督が言う「環境は与えられるものではなく、自分たちでつくるもの」という思想。これが、そのままチームの成長哲学となっている。

大原弘監督という指導者

大原監督は、指導者として異色のキャリアを歩む。学習塾・教育分野で長年業務に携わり、組織マネジメントや心理学、リーダー育成に精通。それらの知見を部活動に大胆に持ち込み、「思考する選手を育てる」という明確な指針を掲げた。

大原監督が語る「大学野球」の価値は明確だ。

「大学は、技術を磨くだけの場所ではない。社会に出ても戦える人間を育てる場所。」

この哲学に基づき、大原監督は選手に“与えすぎない指導”を徹底する。その象徴となったのが、多くの高校・大学野球の常識を覆す「ノーサイン野球」である。

常識を壊した“ノーサイン野球”

大原監督による的確な指導によってチームを創り上げる-Journal-ONE撮影

一般的な野球では、サインは戦術の中心にある。しかし大原監督は、その枠組みを外した。「監督が仕掛ける野球」から「選手が状況判断する野球」へ。これは放任ではなく、シビアな観察力と高度な判断力を求められる難易度の高いスタイルだ。

走者のリード幅、投手のセット時間、捕手の肩、内野手の重心──。

これらを瞬時に読み取り、選手自身が最適解を出す。

大原監督は語る。「サインで動く選手は、指示がなければ止まる。けれど、自分で判断できる選手は、どんな舞台でも戦える。」結果として、和歌山大学は全国の強豪校を相手に堂々と戦えるチームへ成長した。

そして、2021年の全日本大学野球選手権では、大学野球の雄・慶應義塾大学と対戦。惜しくも接戦を落とした原因をリーダーシップの差と痛感した大原監督。しかし、一方で「全国で勝つために必要なもの」をつかんだ戦いでもあった。

大原監督インタビュー(Journal-ONE独占構成)

以下では、大原監督に「今の和歌山大学を形づくる5つのテーマ」について語ってもらった。

和歌山大学ノーサイン野球の歴史

Journal-ONE | 大学野球 和歌山大学 ノーサイン野球を実践する硬式野球部-JournalーONE撮影

ノーサイン野球を実践する和歌山大学硬式野球部-JournalーONE撮影

-ノーサイン野球はいつ頃から取り組んだ?

リーグ戦初優勝、全日本大学野球選手権に初出場したのが2015年。その前年ごろから徐々にノーサインで試合を進めることが増えてきました。以前から山口県の東亜大学をノーサイン野球で日本一に導かれた中野泰造先生と親交がありました。そこから、ノーサイン野球に注目していたのです。

当時、中野先生は高川学園高等学校で監督をされていました。その卒業生が、2014年に3名、2015年に1名が和歌山大学に入学。ちょうど1部リーグに定着し、上位を目指せるようになってきた頃と時期と重なっていました。

そこで、高校3年間でノーサイン野球を実践してきた4名とともに、野球スタイルを変革させていったのです。

2017年の春に初優勝したときは、まだ7割ノーサイン、3割監督のサインぐらいの比重でした。しかし、大学野球選手権で全国ベスト8という結果になりました。それから、100%ノーサイン野球を目指して進化させていきました。

■記者プロフィール
編集部-矢澤
1995年早大卒、JR東海で国内外からの観光誘客に関する企画・宣伝を主に、百貨店、レンタカー、旅行代理店、広告代理店でも働く。趣味はスポーツ観戦と旅行。メジャーリーグ(MLB)は28球団のBall Parkで観戦済み(全30球団)。
アクセス

和歌山大学|自然と知が融合する国立大学の魅力と特色

  • 住所
    和歌山県和歌山市栄谷930
  • TEL
    073-457-7007
  • アクセス
    東海道新幹線 新大阪駅 ー 大阪メトロ御堂筋線(17分)- なんば駅/南海難波駅 ー 南海特急サザン(53分)- 和歌山大学前駅 - 和歌山バス(5分)- 和歌山大学停留所
  • その他
取材・文:
編集部-矢澤( 日本 )
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