まさにノーサイン野球が醸成されるフィールドでは、このサイクルが繰り返し、繰り返し回り巡っています。これはビジネスの世界では当たり前とされる行動サイクルです。学生たちには「練習は日々改善活動」と表現しています。「練習」という言葉を「仕事」に変えるだけで、彼らが将来飛び出していくその世の中の道理を感じ取ってくれていると思います。

奥が深いノーサイン野球はとても興味深いものだ-Journal-ONE撮影
強豪校と対峙し続ける 和歌山大学の課題
– 強豪校と対峙しての手応えは?
全国大会に出場している強豪校、特に関東地域の私立大学の選手は、個々人の能力が高い。比較するにも及ばないレベル差があります。加えて、本学の部員は野球能力は関係なく、一般生として学力試験のハードルを越えて集まります。それゆえ、パワー、スピード、体格いずれをとっても圧倒的に負けています。その集団がエリート集団を倒すには、もちろん課題は山積みです。
しかし、全国大会に4回出場し、強豪相手に勝利をおさめ、負けても接戦で戦ってきた経験がしっかりと「次」を表してくれています。
この野球スタイルで何とかここまでの結果は導き出せました。ただ、今まで以上の位置を目指すには、やはり圧倒的な差がある「パワー・スピード・体格」です。勝るのは難しいですが、ある程度のところまでは縮める目標設定と努力は必要です。
– 次なる課題は?
過去と対比すると、それを「意識して、取り組み続けるプロセス」を風土化することでも、課題克服活動に繋がります。加えて、走攻守のどの分野においても、精度、確実性にこだわる。そこには当然、理に適った形での改善を続けることだと思います。
過去の全国大会での三つの勝利と四つの敗戦を精査してみても明らかになっています。一つひとつの決定率が低いため、「たら・れば」が口をつきます。その一瞬の結果を覆すための取り組みが大切だと認識しています。

昨年夏の実践練習の際にもノーサイン野球で練習が進んでいく‐Journal-ONE撮影
和歌山大学硬式野球部の未来
– 創部102年目となる和歌山大学の次の一手は?
「次の一手」と言うほど大それたことは考えていませんが(笑)。
しかし、県内唯一の大学野球部として。また、全国から注目していただいている大学野球部として。まだまだできることはたくさんあると思っています。
現在弊部に在籍している西上天菜も創部101年目で初めての女子選手です。女子選手の加入は単なる話題作りではありません。これから続く子どもたちのためにも、男子部員と一緒に活動すること、そしてその未来にも責任があります。
今年の8月には米国で72年ぶりに女子プロ野球が復活します。そこに日本から10名の選手がドラフト指名されました。彼女たちはすべて女子リーグ、連盟の選手です。西上が3年後に指名されたなら、男子と混合するリーグから初めてになるかも知れません。

和歌山を代表する硬式野球部としての未来に期待が高まる-Journal-ONE撮影
– 地域に資する活動ではいかがでしょうか?
もちろん、地域移行が進む中学生の部活動にも、大学野球部として関わりを持っていけるはずです。
プロ野球、高校野球はカテゴリーを越えた交流にまだまだ制限が多いのも事実。しかし、大学野球は比較的制限がなく、すべてのカテゴリーと関わることができます。それゆえ、多様化が進み、変革期を迎えている野球界での存在価値は大いにあると思います。
他のカテゴリーに比べて注目度の高くない大学野球。それが、可能性を認知していただける時代になってきています。その先頭を歩いていける野球部になりたいですね。
それには自分たちの置かれているカテゴリーで実力があり、結果も出し続ける。発信力を持つためには、それが必要不可欠となります。
これからも学生たちとともに、強さにコミットし続けます。加えて、多様性のある野球部になっていくよう引き続き指導していきます。この”伝統”を後進に引き継いでいければと思っています。
和歌山大学硬式野球部が示した“大学スポーツの未来”

グラウンドで選手たちに声を掛け続ける大原監督と、和歌山大学の活躍に期待したい-Journal-ONE撮影




















