加えて、前日のU15交流「ピースゲーム」にもベンチ入りし、子どもたちと過ごす時間を確保した田中。Bリーグが掲げる“地域創生”の理念を、田中は言葉と行動で具体化した。
新アリーナの誕生、クラブのB1定着、そして次の世代の芽生え。田中はそれらを一つの線で結び、MVP像を鮮やかに描き切った。

シュートを決めて田中と馬場が喜ぶ-Journal-ONE撮影
長崎から愛知・IGアリーナへ─“ボールバトン”の物語軸と、馬場雄大のことば
そして、次回2027年の開催地には昨夏完成した名古屋・IGアリーナが決まった。つまり、Bリーグオールスターは東海・関西の大都市を巡りながら、アリーナ性能と街歩きの価値を掛け合わせ、イベント体験を段階的に引き上げていく計画だ。
長崎で磨いた三日間一体設計、平和と街のストーリーテリング、選手と子どもを結ぶ導線は、より大きな器で再編集される。
最後に、バトンの“語り部”として馬場雄大(長崎ヴェルカ)が観客の前でマイクを握った。そこで、開催地の選手として誇りと責任をプレーで示した馬場が語った。「いつもと違うカラフルなアリーナの空気」に満足そうな笑顔を見せた馬場は、ファンと共に物語を名古屋へと押し出した。

プレーでも振る舞いでも地元ファンを魅了した馬場-Journal-ONE撮影
Bリーグが仕掛けた“選手が語る開催地”という仕掛け。それゆえに、これは今後も継続して欲しい取り組みだ。IGアリーナは約1.5万人の収容を武器に、Bリーグ・オールスターを“年に一度の祭り”から“都市とリーグが共振するフェス”へと進化させる舞台装置になる。
こうして、バトンを受け継いだ今村佳太(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)。大きな使命が詰まったボールを大事そうに受け取っていた。

ボールバトンが長崎から名古屋に受け渡された‐Journal-ONE撮影
総括─「笑い」と「真剣」が同居する成熟、10年目の現在地
今や恒例となった篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)を中心とするパフォーマンス。さらに、国際的観光地・長崎をホームとする、馬場と川真田紘也によるご当地PR。試合前から会場には、長崎らしい温度が広がっていった。

ランタンと皿うどんを持って登場した馬場-Journal-ONE撮影
しかし、ホイッスル直後から、互いに火花を散らすようなダンクと3Pの応酬が続く。Bリーグのプロフェッショナルとしての技量の高さに、長崎に集まったファンは感動に酔いしれた。
一方で、普段激しく争うライバル同士が笑顔でマッチアップする姿が見られた。その結果、その関係性は公式戦とは異なる温かい輪郭となって会場に広がった。

笑いと真剣勝負が交錯した篠山と富樫のライバル対決-Journal-ONE撮影
そして第4Q、それぞれが勝利への執念を見せてプレー。MVP男のブザービーターが、この日の長崎が描いた流れに深い余韻を残した。
長崎のレガシーは名古屋、神戸へ
Bリーグ・オールスターは、ショーの楽しさとプロの緊張が矛盾なく同居する場所。その結果、観客は“フェスの陶酔”と“ゲームの緊迫”を同時に味わえた。
最後の一投で物語をさらったのが地元のスター・田中大貴。このストーリーも、Bリーグ10年目の必然だったと言える。街の熱が選手を押し上げ、選手の言葉が次世代を動かす。Bリーグは、競技と都市をつなぐ“新しいオールスター像”を長崎で確かに示した。
ボールは渡った。次は名古屋・IGアリーナの巨大な器で、Bリーグの“次の10年”をさらに押し上げる番だ。

エンディングは幻想的なランタンの演出-Journal-ONE撮影




















