アルバルク――赤く染まったアリーナが震えた。最大11点差からの大逆転、そして最終盤での1点差死守。2月1日の富山戦は、ただの1勝ではなく、ホームにいた誰もが“胸の奥が震える瞬間”を共有した特別な試合だった。
勝負の空気は、試合の外側にまで広がっていた。コートで起きているのは40分間の攻防なのに、スタンドにいるこちらの心拍まで支配される。そんな夜が、確かにあった。

真っ赤に染まったトヨタアリーナ東京-Journal-ONE撮影
1/31 富山戦 ― 2/1へつながる「勝ち方」の予告編
前日の1/31、アルバルクは富山に勝利してカード先勝を掴んだ。ただ、その勝利は“楽に勝った”というより、“勝ち切った”と表現する方が正しい。
序盤は主導権を握ったものの、相手の強度が上がるにつれて試合は一度重くなり、嫌な流れも確かに訪れた。それでも後半、守りから歯車を噛み合わせ直し、要所で決め切って突き放す。
簡単ではない展開を受け止めた上で勝ったからこそ、翌日の難しさも見えていた。連勝は、相手の修正を上回ったチームだけが得られる。2/1のドラマは、この“予告編”の延長線上にあった。
2/1 富山戦 ― WE RED DAY、赤い海が生んだ大逆転と1点差の結末
前半:赤いはずのホームが、なぜか遠く感じた時間
この日のTOYOTA ARENA TOKYOは「WE RED DAY」。両チームの赤が混ざり合い、会場はいつも以上に濃い赤に包まれていた。けれど試合の入りは、こちらが望む赤の温度ではなかった。
富山が先にリズムを掴み、アルバルクは追う展開になる。前半は48失点。数字が示す通り、守備で先手を取れず、攻撃も思うように“走れない”。前日勝ったはずなのに、コート上の空気は富山のものに見えた瞬間が何度もあった。
ただ、観ている側の感覚は少し違う。点差が開いても、絶望より先に「後半でひっくり返る余地」が残っていることが分かるのが、このチームの今の強さでもある。焦りが募るのではなく、むしろ“待つ”感情が広がっていく。何かが起きる、その予感だけが、赤いスタンドに静かに積もっていった。

富山グラウジーズを歓迎する黒板-Journal-ONE撮影
第3Q:最大11点差が「合図」になった。追い上げではなく、奪い返し
最大11点差が呼び起こした“反撃のスイッチ”
第3Qは9点ビハインドから始まった。富山はトレイ・ケルのショットを沈め、最大11点差。ここが分岐点だった。普通なら、相手の勢いに飲まれる一撃。けれどこの日は、そこが“合図”になった。アルバルクが目を覚ました瞬間だった。
まずマーカス・フォスター。続けて安藤周人。連続3Pで一気に6点を削り、会場の空気が反転する。声が大きくなるのではない。圧が増す。
そこにセバスチャン・サイズが続き、点差はみるみる縮まっていく。息をつく間もなく、安藤が同点の3Pを沈めた。スコアは50-50。折り返しの5分を待たずに追いついた事実が、ホームの確信を呼び起こす。ここからは「追い上げ」ではない。「奪い返し」だ。

逆転劇の基点となった安藤周人-Journal-ONE撮影
同点から“殴り合い”へ―バランスキーの一撃が流れを変える
しかし同点は、勝利の扉ではなく、神経戦の入り口だった。ワンショットの奪い合いが始まる。
ライアン・ロシターがペイント内から逆転ショットを決めれば、富山もトレイ・ケルがインサイドで取り返す。さらにフリースロー1本で再びリードを許す。だが、アルバルクは揺れない。
フォスターがシュートとフリースローで再逆転し、富山もマシュー・アキノが3Pで返す。決めれば決め返される。外せば突き放される。どちらのベンチにも、余計な感情が入り込む余地がない時間が続いた。
そして残り3分弱。ここでザック・バランスキーが再逆転の3Pを沈めた。スコアは58-56。この一撃は、点差以上の意味を持つ。相手の勢いを消し、味方の心拍を整え、アリーナの熱を一本のラインに揃えるショットだった。
さらに大倉とバランスキーが続けて沈め、62-56。最終Qに入る前に作ったこの余白が、後の1点差の結末を呼び込む“保険”になる。

バランスキーの活躍で一気に形勢逆転した‐Journal-ONE撮影



















