コンディショニングで健康をつくろう
人間としての土台、すなわち筋肉を整えるコンディショニング。身体の歪みを整えることで、運動機能の向上や体調改善が見込める今注目の運動です。そんなコンディショニングを普及するために取り組むのは、一般社団法人日本コンディショニング協会の有吉 与志恵会長。
そんな、厚生労働省からも推奨されているコンディショニングを、有吉さんはどのように作ったのか。健康のために届けたい想いとは?その経験から歴史をさかのぼり、有吉さんの想いを紐解いていきます。

日本中にコンディショニングを広める活動をする有吉さん-NCA提供
有吉さんのこれまでの道のり
健康的な身体づくりを追い続けて40年以上。これまで多くのアスリートたちのコンディショニングを担当してきた有吉さん。2020オリンピック 東京大会、2024パリ大会でも活躍し、2025年世界陸上では銅メダルに輝いた陸上・競歩種目の藤井 菜々子選手。
さらに東京オリンピックで銅メダルのクライミングの野口 啓代選手、 東京・パリ大会出場の楢崎智亜選手を指導。他にも多くの選手たちの身体づくりを支えてきた影の立役者です。

これまで有吉さんが指導してきたアスリートたちーNCA提供
有吉さんが身体の分野に進もうと思ったきっかけ
そもそも、有吉さんが自身の身体と向き合い始めたのは学生時代。もともと足が速かったこともあり、中学生で陸上競技を始めました。その後も走ることを極め続け、日本体育大学に入学。しかし、高みを目指そうとしていた1年生の頃。突然走ることができなくなってしまったのです。原因は恐らく環境の変化によるメンタルによるもの。高校生までは母の手料理でしたが、大学では寮生活となり寮食を食べる毎日。そこから少しずつ身体に変化が起きていったのです。
「大学での4年間は私の1番の暗黒時代です。夢は高校教師になることだったのですが、潰れた選手に教えてもらいたくはないだろうと思い諦めることにしました」
その後、大学卒業後にスポーツクラブに就職した有吉さんは、その現場での光景に衝撃を受けたのでした。それはウォーミングアップをせずに、重量級のウェイトトレーニングを始めたり。水泳の後、髪の毛が濡れたままトレーニングを始めるといったものでした。
この状況に違和感を覚えた有吉さん。25歳頃には施設の責任者を任されていたこともあり「私の指導を受け入れないのであれば辞めてもらいます」と啖呵を切るほど。トレーニング専門の勉強を活かして、ウェイトトレーニングではフォームチェックを実施。そこから有吉さんによる指導が開始。身体と向き合う運動法を追求し始めました。
始まりはパフォーマンスピラミッド
現在、多くの選手達にとっては欠かせない存在となっているコンディショニング。一体どのように作られたのでしょうか。その始まりはパフォーマンスピラミッドというモデルが発表されたことがきっかけでした。

このピラミッドがコンディショニングを作り出したきっかけの一つーJournal-ONE撮影
アスリートが行うトレーニングですが、いつの時代もフィジカル(身体能力)を鍛えることが一番必要と思われがちです。そんな中、1990年代に発表されたのがパフォーマンスピラミッド。これはアスリートのパフォーマンスが向上する仕組みを土台から順番に積み上げて説明したモデルのことです。
下から『基本動作(姿勢・可動性・安定性)』 → 『体力要素(筋力・スピード・パワー)』 → 『技術・戦術』という順番で積み上げるのが、最も効率よく安全に伸びる方法であることを示しています。つまり、体が正しく動かない状態で技術練習だけしても効果が薄い。柔軟性や安定性が低いと、パワーもスピードも伸びない。すなわち機能が整うと、技術習得がスムーズになるという考え方です。
土台とは一体何のこと?
しかし、ここである疑問が浮かびます。モデルの土台となる基本動作ですが、一体何のことを指すのでしょうか。これについて多くの人が議論。すると2004年頃に『土台=コア(体幹)』というワードが挙がったのです。しかし、コアとは一体何のことなのか…と疑問は次々と挙がっていったのです。
まだ土台について詳しく解明されていないその頃。背骨を整える ”コンディショニングポール” という円柱状の道具がアメリカから日本にきました。ハンマー投げの室伏広治選手が2004年アテネ五輪で金メダルを取った時にも使用していたもので、その影響で実業団チームでも徐々に取り入れていくようになったのです。













