横浜アリーナで、非日常を味わう。スポーツでお金を払って会場に足を運ぶことの意義の一つだとしていい。
違う街の、違う家のドアを出る。そして、試合が終われば散り散りとなってまたそのドアへ向けて帰っていく。まったくの赤の他人が、1つの試合会場にやってくる。その時間だけは「運命共同体」のようだ。応援する共通のチームに一緒に声援を送る。
横浜アリーナの非日常が生む一体感
3月7日からの2日間。横浜ビー・コルセアーズは球団史上初めて1万人規模の会場でのホーム試合を、横浜アリーナで行った。
1戦目には12,699人。つづく翌日の2戦目には11,985人という満員の観衆を集め、興行を成功裏に終わらせた。

横浜アリーナに1万人超の観客が集まった‐永塚和志撮影
レバンガ北海道の強さ
2025-26シーズンを通して浮き沈みの激しい戦いを強いられてきたチーム状況。それでも、特別な場所での試合で普段の倍以上のファンからの声援を背中に受けた。しかし結果は、2試合とも相手のレバンガ北海道に敗れた。
レバンガは今シーズン、大躍進を果たしているチームの一角だ。今回の試合での連勝で戦績を28勝12敗とし東地区の上位を争っている。
横浜BCの戦績は15勝25敗となった。1戦目は攻撃が好調で98-100と最終盤まで接戦を演じた。しかし、翌日の試合では食らいつこうとしてもそれをさせてもらえない力の差を見せつけられた。結果は、72-92と20点差をつけられての完敗。
1戦目では試合の最終盤まで声を枯らしたファンも、この試合では徐々に応援の声量を削がれていった。入れ替わりに、ため息が大きくなっていった。
無論、試合だ。真剣勝負だ。こうした残酷さは時としてプロスポーツの一部となる。それでも、横浜アリーナでの試合開催は横浜ビー・コルセアーズにとっては意味のあることだった。

レバンガ北海道・富永啓生も横浜アリーナを埋める要素になったか‐永塚和志撮影
1万人規模に挑んだホームゲームの成果
横浜BCは通常、横浜国際プールと横浜BUNTAIをホームとしている。いずれも5千人強まで観客を取り込むことのできる場所だ。その彼らが、球団史上初となる1万人規模のアリーナにおける興行開催を行った。
倍以上の規模の場所での試合開催を行った横浜BC。それは、より大きなクラブになっていく未来を見据えた挑戦だった。
Bリーグは競技力向上やビジネス規模の拡大を意図としたリーグ再編を来シーズンより行う。最上位カテゴリーは「Bプレミア」となり、横浜BCもここで戦うこととなっている。
Bプレミア開幕後は横浜BUNTAIを主たる本拠地とする。しかし、ここで1万人以上の大きな規模のアリーナでのホーム試合開催を経験しておく。それをフロントを含めた球団スタッフにとって意義のあるものにする。これが一つの目的だった。

ドリブルで攻める横浜BC安藤誓哉‐永塚和志撮影
興行の意義と経営判断
もちろん、プロスポーツであるから試合は興行である。球団としてはいうまでもなく収益を求めていかねばならない。横浜BCは河村勇輝(現NBAシカゴ・ブルズ)の入団と日本トップクラスの選手への成長によって観客動員を劇的に伸ばした。
2023年の日本代表の躍進でバスケットボール人気が伸長したこともあった。横浜BCのスタッフが、河村の在籍時のことを振り返る。それは、「何もしなくても」ファンがアリーナを訪れてくれるという状況だった。
ところがその河村が昨シーズン前、NBAへの挑戦することになった。結果、2024-25シーズンの横浜BCの平均ホーム観客数は、河村の最終所属シーズンの前年における約4,800人から同4,200人へと減少した。

チケットは前売りを中心に売れ進んだ‐永塚和志撮影
チケット販売とSNS施策の実際
そこで今シーズンは、球団社長兼ゼネラルマネージャーの白井英介氏がチケット販売の責任者となるなどのテコ入れに着手。SNSを含めたチケット販売広告などの施策に注力している。
その甲斐あって2025-26の平均観客動員数は約4,300人にまで持ち直した。これは横浜アリーナでの試合前までのもの。ゆえに、今回の2試合を通して数字はさらに上がったこととなる。

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