コベルコ神戸スティーラーズ は、デイブ・レニーHCの就任3年目で劇的な成長を遂げている。リーグワンでは今季最注目の優勝候補に浮上。名将の改革、主将陣の成熟、新戦力の台頭が重なり、かつての名門が“復活”の色を濃くしている。本稿では、その変革の軌跡と現在地を詳しく掘り下げる。
100年近い歴史を持つコベルコ神戸スティーラーズ
リーグ戦も残り6試合。佳境を迎えようとしている『NTTジャパンラグビー リーグワン』。今シーズン、第2節から10連勝を達成するなど好調を維持し、今季の『3強』として優勝候補に挙げられているのが、コベルコ神戸スティーラーズだ。第12節で横浜キヤノンイーグルスに苦杯を舐めたが、10勝2敗(勝点47)で3位につけている。
スティーラーズは創部1928年と100年近い歴史を持つ。『神鋼』こと神戸製鋼ラグビー部と呼ばれていた時代が長く、日本選手権では7連覇を含む、最多の10度の優勝を誇る。トップリーグ時代も2度の優勝した『関西の雄』だ。2022年にリーグワンが始まると『神戸製鋼コベルコスティーラーズ』から、『コベルコ神戸スティーラーズ』と名を変えた。

チームを引っ張る共同主将のLOブロディ・レタリック‐斉藤健仁撮影
低迷するチームの指揮官に元オーストラリア代表指揮官
デイブ・レニー招聘の背景
だが、2018年にオールブラックスのスターだったSO(スタンドオフ)ダン・カーターを擁してトップリーグを制覇。しかし、その後はタイトルから遠ざかっている。リーグワンでは2022年が7位、2022-23シーズンは9位と低迷。
そこで白羽の矢が立ったのが元オーストラリア代表指揮官。チーフス(ニュージーランド)時代に2度、スーパーラグビー優勝に導いた名将デイブ・レニー(62歳)だった。なお、レニーHC(ヘッドコーチ)は今シーズン終了後、『オールブラックス』こと、ニュージーランド代表の指揮官になる。
父がニュージーランド、母がクック諸島出身のレニーHC。ワールドカップイヤーだった2023年1月、オーストラリア代表の指揮官を解任された。しかし、同年5月、ラグビーコーチメンター&チームアンバサダー(当時)のウェイン・スミス氏による推薦もあり、神戸のディレクター・オブ・ラグビー兼HCに就いた。

今季終了後、オールブラックの指揮官に就任するレニーHC‐斉藤健仁撮影
レニーHCの戦術思想と改革ポイント
3シーズン目となる今シーズン、好調の要因を聞かれて指揮官。
「3年前は9位だった状態から、非常に多くの時間をかけて自分たちに目に見える変化をさせてきた。選手やスタッフだけでなく、いろいろな人たちが本当に多くのハードワークをした結果だと思う。それがフィールドのなかで体現できている。」と自信を覗かせた。
レニーHCが指導していたチーフスとスティーラーズは、若手選手を派遣するなど、もともと交流があった。それゆえ、レニーHCは何度か神戸を訪れたこともあった。「チーフスのときから神戸とつながりを持っていた。コベルコ(神戸製鋼)はすばらしい会社で、神戸という素晴らしい街がある。来ることは迷わなかった。」
どんなラグビーをしたい?と聞かれて当時、レニーHCは「ファンを魅了するラグビーをしたい。そのためには細かいディテール、スキルセットを突き詰めて、キックを上手く使い、バランスの取れたラグビーをしたい。その上で重要になっていくのが、ディフェンスの質が高いゲームができるか。神戸は伝統的にアタックは良いものを持っている。よりディフェンスの質を上げることで、アタックする機会が増える」と語気を強めていた。

戦況を見つめる神戸のコーチングスタッフ‐斉藤健仁撮影
就任2年目にプレーオフ出場を果たす
就任直後、コーチ陣の多くを刷新したレニーHC。その際に選手、スタッフに求めたのは『インターナショナルレベル』だった。それはもちろん、ラグビー面だけでない。グラウンド外の準備やメディア対応なども含まれていた。あるスタッフは「とにかく求める要求が高い」と話していた。また毎週、試合後はすぐにミーティングを行っている。もちろん、各コーチと選手間で1対1のミーティングも欠かさない。そして、それは3シーズン目の今も変わっていない。
そんなレニーHCでも、各チームのレベルが上がっているリーグワン1年目となる2023-24シーズンは、上位陣と接戦するが勝ちきれなかった。得失点こそリーグ2位だったが、9勝6敗1分(勝点45)の5位に。その結果、プレーオフには進出できなかった(このシーズンまでプレーオフはトップ4のみ)。

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