サクラ咲く女子高校野球の”聖地”で夢が散る
神戸弘陵学園高校(以下、神戸弘陵)、史上初の4連覇の夢が散った。しかし、この敗戦を通して新たな挑戦者としての姿を示し始めている。
加須市きづなスタジアムに吹いた風は、春の訪れを告げるには十分に柔らかかった。しかし、その風は神戸弘陵にとって、決して優しいものではなかった。
第27回全国高等学校女子硬式野球選抜大会・準決勝。史上初の4連覇を目指した“絶対王者”は、佐久長聖高校(以下、佐久長聖)との激闘の末、6回に逆転を許し、東京ドームへの道を断たれた。
しかし、この敗戦は、単なる一敗ではない。大会前、Journal-ONEは神戸弘陵の練習を取材した。そこで、彼女たちが背負う「王者の覚悟」と「挑戦者の精神」を目の当たりにしていた。
だからこそ、この準決勝の敗戦は、彼女たちの歩みを知る者にとって、胸に迫るものがある。

敗戦後、涙する選手たち-Journal-ONE撮影
“絶対王者”としての歩み—完封リレーで勝ち上がった神戸弘陵
神戸弘陵は今大会、1回戦から登場。成美学園(千葉)、京都外大西、栗山(北海道)をいずれも完封で下し、危なげない勝ち上がりを見せた。
投手陣の安定感、守備の堅さ、そして上位打線の破壊力。大会前の取材で見た「王者の完成度」は、そのまま結果に表れていた。
しかし、準々決勝の聖光学院(福島)戦では、5-0から追い上げを受ける苦しい展開に。最終的には5-3で逃げ切ったものの、石原康司監督は「細かいミスが出た」と振り返り、チームに再度気を引き締めるよう促していた。

準決勝に臨む神戸弘陵ナイン-Journal-ONE撮影
対する佐久長聖—接戦を勝ち抜く“粘りの野球”
一方の佐久長聖は、2回戦から登場。開志学園(新潟)、神村学園(鹿児島)との接戦を制し、準決勝では神戸国際大附属(兵庫)の追撃を振り切って4-2で勝利した。
どの試合も僅差。「勝負どころでの集中力」が光るチームだ。
そして何より、両校は昨夏のユース大会でも対戦しており、そのときは延長8回タイブレークの末、佐久長聖が1-0で勝利している。神戸弘陵にとっては、忘れられない悔しさが残る相手だった。

準決勝前に円陣を組む佐久長聖ナイン-Journal-ONE撮影
雨上がりのきづなスタジアム—初回から動いた“意外な展開”
未明まで降った雨の影響が心配されたが、グラウンドは問題なく整備され、試合は予定通り開始された。
先発は佐久長聖が中澤亜子投手、神戸弘陵は濱嶋葵投手。ともに前日に続く連投でのマウンドとなった。
昨夏のユース大会では1-0の投手戦。今回もロースコアが予想されたが、試合は初回から大きく動く。

神戸弘陵の先発は連投の濱島-Journal-ONE撮影
神戸弘陵、初回に2点先制—“王者の攻撃”が火を吹く
1回表、先頭の福田稟選手がセンター前へクリーンヒット。その後、1死二、三塁のチャンスを作ると、4番・島本そな選手が中前へ鋭い打球を放ち、2点を先制した。
大会前、「4連覇を目指す以上、私たちが試合を動かさないといけない。」と語っていた島本選手。まさにその言葉通りの一打だった。

先制適時打を放った島本-Journal-ONE撮影
しかし、濱嶋に疲労の色—初回に同点を許す
先制点をもらった濱嶋だったが、連投の疲れが抜けきらなかった。先頭打者に四球を与えると、2死二・三塁から暴投と適時打で同点に追いつかれる。
石原監督は試合後、「当然、ケアはしたものの疲れは残っていた。もう少し頑張ってくれるかと思っていたのだ。」と、思いのほか早く交代せざるを得なかった場面を振り返った。
ここまで粘投した2年生右腕。その制球力と球のキレは戻らず、1イニングを終えてエース・山戸優菜投手にマウンドを託すこととなった。

早い回からリリーフした山戸-Journal-ONE撮影




















