勝負どころで生まれた一瞬の判断
この試合の最終クォーターの残り5分。トヨタ自動車の複数の3Pなどで点差を詰められたデンソーにとっては嫌な空気が漂った。
しかし残り2分強。木村が外国籍のアニマム ジャックダニエルを衝立としながらリングに迫ろうとした時、コーナーにいた髙田がカットイン。
それに反応した木村からのパスを受けた髙田は相手からファールを誘引した。その結果、フリースローを得て2本決めきった。
マッチアップの変化が生んだ柔軟な対応
このクォーターの半ばから身長186cmのビッグマン、アマカがマッチアップしてきていた。そのため、髙田は中でのみならず3Pを打つ機会なども模索しながら外に展開したという。
また、その時点までに多くの得点をしていた自身に対して相手が手を講じてくると察していた。それもあって、攻め方に変化をつけるようにしていたという部分もあったようだ。

ベテランらしいプレーで第1戦の勝利に導いた髙田-永塚和志撮影
ベテランの余裕がもたらした安定感
「中で体を張る時間帯と外でスペーシングを取って、タイミングよく中にダイブ(飛び込む)したり、外で3Pを打ったりしようとしていました。(カットインの場面は)自分の判断もありますが、自分は勝手に動いているだけなので、いいパスが来たなというだけです」。
試合後、髙田はパスを出した木村をたてつつ、このようにこの場面を振り返った。
この時点でまだ試合時間は何が起きてもわからないほど残ってはいた。その状況で、防戦で手一杯といった状況だったチームに落ち着きを取り戻させた髙田。
ベテランならではのプレーぶりは大きな意味を持ったように感じられた。
山本麻衣、エースとしての責任
明けてWリーグファイナル2戦目。22得点を記録した山本麻衣による勝負強いプレーぶりがトヨタ自動車の勝利を引き寄せた。
とりわけ白眉だったのは、第3クォーターにドリブルから放った3Pだった。
日本代表でもエース的な位置づけにあり、昨年はWNBAにも挑戦した力量の持ち主だ。デンソーも当然、彼女を守備における最重点箇所としながら徹底的にマークした。

第2戦で効果的な3Pを決めた山本-永塚和志撮影
1対1の強さと周囲を生かす攻め
それでも、1対1で絶対的な強さを誇る山本は長距離砲をリングの間に通した。
決めた2本の3Pはいずれも、体がやや流れながら決めたものだった。
加えて、山本は前日の反省から試合の頭から果敢にドリブルでリングに迫った。そうすることでデンソーのディフェンスは山本に引き寄せられ、他の選手へのシュート機会を作り出してもいた。
「自分たち」を主語にしながらも
「昨日は自分たちのバスケットができずに負けたので、切り替えて、今日は自分たちらしく、ディフェンスから走るっていう流れでしっかり相手を突き離すことができたと思います」。
試合後の山本は、このように話した。
その主語はあくまで「自分たち」。もちろん、そうであるべきだ。ただ一方で、自身がどれだけチームの勝利の鍵を握っているのかは十全に理解している。
山本の22得点はチームが挙げた57得点の内の38.6%も及んだ。彼女はまた5リバウンド、5アシスト、2スティールを記録。
エースがエースらしい働きをした。

第2戦後、試合を振り返る山本-永塚和志撮影
ファイナルで果たすべき役割
レギュラーシーズンでは平均10.3得点。山本の実力からすればもっと良い数字を挙げていても不思議ではなかった。
彼女は実際、自身の「調子があまり良くなく」と認め、「みんなが助けてくれたレギュラーシーズンだった」と話した。
だからこそ、Wリーグファイナルでは自身が「エースとして」の役割を果たしたいという思いだ。
「自分の力で勝たせられるようにという強い思いを持ってプレーオフに入りました。自分がシュートを決めてどんどんチームを乗せたいですし、リングにアタックすることでみんなもついてきてくれると思っています」。
「ファイナルを(3度)経験している身でもありますし、チームのエースとしてまずはリングにアタックするところをしっかり背中で見せていきたいと思っています」。
次戦以降に向けた守備と人選の焦点
トヨタ自動車は最初の2試合と同様、髙田と川井に対して2人がかりで守るようなディフェンスをしてくることが予想される。
第1戦で合計46点だった髙田と川井と木村の得点は、第2戦では計25点と抑えられた。デンソーは主要な選手である梅木千夏と赤穂ひまわりを負傷で欠き苦しい。しかし、2戦目ではやや大人しかったベンチメンバーの活躍もまた期待される。

「X」アカウント https://x.com/kaznagatsuka






















