デンソーアイリス、悲願の初優勝
デンソーアイリス、悲願の初優勝まで残り20秒。ディフェンスリバウンドでボールを獲得した木村亜美が、そっと仲間にそのボールを手渡した。
19点差で勝負が決した中でのマイボールは、「その瞬間に私が持っているのは違うなと思った。」と木村が振り返る。ボールを受けた選手は、デンソー一筋18年の“チームの象徴”である髙田真希だった。
Wリーグ2025-26シーズン、ファイナル第4戦。デンソーアイリスがトヨタ自動車アンテロープスを70-51で下した。その瞬間、Wリーグファイナルでの成績を3勝1敗としたデンソーアイリスは、悲願の初優勝を成し遂げた。
今回で3年連続のファイナル進出。長い歴史の中でも幾度も壁に阻まれ、涙を飲んできたチームが、ついに“Wリーグの頂”へと手を伸ばした夜だった。

木村からウィニングボールを託された髙田-Journal-ONE撮影
「あと一歩」を越えるために積み上げたもの
デンソーはこれまで、強豪として常に上位に名を連ねながらも、最後の最後で勝ち切れないシーズンが続いていた。
ファイナルの舞台に立つたびに、あと一歩のところで優勝を逃し、その悔しさを胸に刻みながら、また翌年の挑戦へと向かっていく。そんな歴史の積み重ねが、このチームの背骨をつくってきた。
今季のデンソーは、単なる“強いチーム”ではなかった。
勝ち切るための成熟があった。
勝負どころで迷わない覚悟があった。
そして何より、全員が「髙田真希を勝たせる」ために動く意思統一があった。
ファイナル第4戦でも、その姿勢は揺るがなかった。序盤から猛攻を仕掛けるトヨタ自動車アンテロープスに対し、無理にファウルを重ねず落ち着いた試合運びに徹したデンソーアイリス。
仲間がこじ開けたシュートチャンスで髙田が得点を積み重ねる。すると、チームはそのリズムに乗るように攻守を噛み合わせていった。トヨタ自動車アンテロープスも、リーグ戦を制した粘りで必死に食らいつく。しかし、何度も流れを引き戻そうとするたびに、デンソーアイリスは全員が粘り強く、そして冷静に対応した。

優勝した瞬間に喜びを爆発させた選手たち-Journal-ONE撮影
髙田真希という“軸”が生んだ必然
この優勝を語るうえで、髙田真希の存在を外すことはできない。
第1戦では、圧巻の26得点5つのディフェンスリバウンドを獲得。第3戦も24得点8リバウンド。そして、優勝を決めたこの試合も21得点7リバウンド。勝利した試合全てで圧巻の活躍を見せた髙田は、文句なくシリーズMVPに輝いた。
長年チームを支え、Wリーグを象徴する選手として走り続けてきた彼女は、今季も圧倒的な存在感を放ち続けた。しかし、この優勝を勝ち取ったのは、髙田の得点力だけではない。
髙田にシュートチャンスを生み出すために、他の選手たちが献身的に動き続けたこと。それこそが、デンソーアイリスの“チームとしての完成度”を象徴していた。

MVPトロフィーを掲げる髙田-Journal-ONE撮影
やるべきことをやり切る
臨機応変にディフェンスをこじ開ける
司令塔の川井麻衣。第1戦こそ二桁得点を挙げたものの、「ショットの精度が上がらなかった。それでも、みんながどんどん打って良いと言ってくれた。」と振り返る。
自らが果敢にリングを狙うことで、トヨタ自動車アンテロープスのディフェンスを引き寄せる。その結果、トヨタ自動車アンテロープスのディフェンスを混乱させた。こうして川井は、空いたスペースにボールを供給して様々な得点をアシストした。

多彩なアシストで優勝を引き寄せた川井-Journal-ONE撮影
自信を持って放った3ポイント
43-38と、トヨタ自動車アンテロープスが5点差をつけた第3クォーター。試合の流れを一気に引き戻したのが、2023年にアーリーエントリーした新鋭・薮未奈海だった。
「自分のやるべきことをやると思いコートに出ていた。リングを確り見て打ち切れてよかった。色々あったシーズンだったので…」と、涙で声を詰まられた藪。シュートが決まらない苦しい時期でも、必死に練習する姿に髙田も「若い子たちが勝ちたいと言う思いを持って、一生懸命モチベーション高くバスケットをしている。その仲間と一緒にバスケットが出来ることが、自分のモチベーションになっている。」と最大限の賛辞を送る。




















