そんな藪の連続シュートで息を吹き返したデンソーアイリス。第4クォーターだけで3本の3ポイントシュートを放った藪の活躍で、完全にトヨタ自動車アンテロープスのモメンタムを奪って見せた。
髙田が決める。仲間が支える。その循環が、ファイナルの舞台で最も美しい形となって結実した。

藪は3Pを沈めて渾身のガッツポーズ-Journal-ONE撮影
トヨタ自動車アンテロープスの矜持
もちろん、敗れたトヨタ自動車アンテロープスの戦いぶりも見事だった。
山本麻衣、安間志織が縦横無尽にコートを駆け巡り、ディフェンスからリズムを創る。ペイントエリアでは、オコンクウォ スーザン アマカが立ちはだかり、ディフェンスはもちろんオフェンスでもセカンドチャンスを何度もモノにした。
外角では平下愛佳が、全てのエリアで岡本美優が、デンソーアイリスのディフェンスをこじ開け続けた。
第4戦でも、序盤からデンソーの勢いに押されながらも、決して崩れず、粘り強く食らいつくトヨタ自動車アンテロープス。特に中盤以降は、ディフェンスの強度を上げ、トランジションで流れを引き寄せる場面も多かった。
彼女たちのプレーには、王者としての誇りがあった。簡単には勝たせないという意地があった。だからこそ、このシリーズは第4戦まで続き、そして最終的に“勝ち切ったデンソー”の価値がより際立つ結果となった。

熱戦を演じたトヨタ自動車アンテロープス-Journal-ONE撮影
「悲願の初優勝」を振り返る指揮官
プレーオフ、ファイナルと、強大な熱量で選手たちを鼓舞し続けたヴラディミール・ヴクサノヴィッチHC。
優勝直後のインタビューでは、「多くを語るのは選手たちだ。」と言葉少な。「今日は、奥さんの誕生日だったので。」と付け加え、選手たちから贈られた最高の誕生日プレゼントに満面の笑みを見せた。
変わって記者会見では、記者たちからの質問攻めに。
「私は今まで、これほどまでにチームメイトのことを思ってプレーする選手たちに出会ったことが無い。素晴らしい選手たちだ。」と最大の賛辞を贈る。
「不幸な怪我、良くない時期はあったが、日々選手同士で切磋琢磨していた。時には自分も背中を押されたシーズンだった。」と、最後まであきらめずに戦った選手たちに感謝を述べた。
中でもチームリーダーの髙田真希に対しては、「毎日のスタンダードを上げるというのは大事。髙田がリーダーとしてやってくれているのももちろんだが、他の選手たちが自分のやるべきことをやってきた。しかし、それができたのは髙田と一緒にやって来たプロセスだと思う。」と、髙田のバスケットボールに向き合う真摯な姿勢が優勝の最大要因だと振り返った。

シーズンを振り返るヴクサノヴィッチHC-Journal-ONE撮影
デンソーアイリス初優勝
デンソーアイリスの初優勝は、単なるタイトル獲得ではない。長年積み重ねてきた努力、悔しさ、そして信念が形になった瞬間だ。
髙田真希という象徴的なリーダーがいて、その背中を追い、支え、共に戦う仲間がいる。加えて、スタッフ、ブースター、会社の人々が一体となって歩んできた道のりがある。
そのすべてが、この“初優勝”という結果に凝縮されている。試合終了のブザーが鳴った瞬間、涙を流す選手たちの姿は、勝利の喜びだけではなく、ここまでの道のりの重さを物語っていた。
コートに立つ選手だけでなく、チームに関わるすべての人々が、同じ景色を見つめ、同じ瞬間を迎えたのだ。

セレモニーで歓喜のデンソーアイリスの選手たち-Journal-ONE撮影
髙田真希が見据えるWリーグの新たな歴史
デンソーアイリスの初優勝は、Wリーグの歴史に新たな1ページを刻んだ。これまでの強豪たちが築いてきた伝統に、新たな“王者”が加わったことで、リーグ全体の競争はさらに激しさを増すだろう。
しかし、デンソーがつかんだこの栄冠は、決して偶然ではない。積み重ねた時間、磨き続けたチーム力、そして「勝ちたい」という強い意志。これらが、確かな形となって現れた結果だ。
来季、デンソーは“王者”として追われる立場になる。しかし、チームの象徴・髙田真希は、もっと大きな視点で新たな歴史の始まりを見ている。





















