完投能力のある北のエースに容赦なく厚さが襲いかかる。4回二死から二つの四球を与えたところで神宮投手は無念の降板。「元々球数を使って勝負する投手なので。やはりこの慣れない暑さにスタミナを奪われてしまった」と、継投のタイミングを振り返った三垣監督。
その後、継投策も叶わず、7回には3つの四球に安打を絡めた怒濤の攻撃を見せた天理大学が8 – 1。初戦をコールド勝ちして二回戦に駒を進めた。

東京農業大学北海道オホーツクvs天理大学の試合は前半緊迫した投手戦-Journal-ONE撮影
秋の明治神宮大会にリベンジを誓う
「力不足でした。最後まで選手たちに試合をさせてあげたかった。それが出来なかった私の実力不足です」と試合を振り返った三垣監督。「どの投手もストライクゾーンで勝負できていなかった。これを課題に、また神宮大会を目標に頑張りたい」と秋でのリベンジを誓う。
ショートの中澤空芽(山梨・東海大甲府高)主将も試合を振り返る。「今までの選手権ではなかった勢いがベンチにも生まれた」と話す手応え。初回の攻撃で全国で戦えると感じたという。
春の高校野球 “センバツ” で活躍した高い守備力で、大学入学時から活躍する中澤選手。それだけに、「東京に出てきてコールド負けで帰るのは本当に悔しい」と、結果に唇を嚙みしめた。
それでも、「秋も必ず神宮に戻って勝てるよう、これから課題を克服していきたい」と笑顔を見せて球場を後にした。

東京農業大学北海道オホーツク内野の要・中澤空芽(東海大甲府)-Journal-ONE撮影
勝敗よりも大事な人間形成
覚悟を持って網走の地に集まった選手たちだが、「まだまだ二十歳前後の若者ばかり。今日のような試合から得た経験や悔しさを忘れてしまいがちです。私たちは、高校野球よりも野球をやり続けるのが大学野球だと思っています。(全日本大学野球選手権というな場で得た)貴重な経験や悔しさを常に意識して、一つ一つ成長を促していきたい」と、真剣な眼差しで話す三垣監督。
さらに、「全国の他の学校と比べ、レベルの差はあるかもしれません」と続ける。
「それでも全員が4年間しっかりと野球をやりきる。そういった力が、社会に出たときにきっと役に立つと思って励んでいます」と、三垣監督は話す。
勝ち負けの先にある選手たちの未来を見据える。その眼差しに、当野球部への興味がさらに高まった。

試合後のインタビューに応じる三垣勝巳監督-Journal-ONE撮影
東京農業大学北海道オホーツク硬式野球部
1989年創部。1994年に北海道学生野球連盟1部リーグで初優勝。翌年に全日本大学野球選手権大会初出場。2019年の第68回全日本大学野球選手権大会でベスト4。明治神宮野球大会でも2014年にベスト4進出を果たす。

最北・北海道網走市から出場した東農大学北海道オホーツクの中澤空芽(東海大甲府)-Journal-ONE撮影
2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に日本代表として選出され、準決勝・メキシコ戦でサヨナラのホームを駆け抜けた走塁で世界中を驚かせた、周東 佑京(福岡ソフトバンクホークス)選手をはじめ、多くのOBがNPB(プロ野球)で活躍している。
練習場は、キャンパス内にある東京農業大学生物産業学部野球場(北海道網走市八坂196)



















