
相模原市緑区のイメージキャラクター”ミウル”∸平床大輔撮影
ダイナボアーズにまんまといっぱい喰わされる
とりあえず、一通り見て回り、その過程で本物の『ダイボ君』にも会えたので、ウェブサイトで事前に調べて気になっていた催しを目指す。それは「リニア中央新幹線 乗車体験」である。
何か大掛かりな移動式の施設がやって来て、磁力で浮いて移動する感じを体験できるのではないかと、心密かに期待を寄せていたのだが、パンフレットで指定されている場所に行っても、それらしき施設は見当たらない。今日は休みで出動していないのかと、肩を落としたところで変なものが視界に入ってきた。
それは、例えばあらかわ遊園のような、大人が子供に対してお茶を濁す規模の遊園地にありそうな、子供用の小さな数両編成の列車で、誰に見向きもされずにポツねんと佇んでいた。近寄ってみると、リニア中央新幹線のミニチュアみたいな見てくれをしている。

相模原に駅ができる”リニア体験”ができるイベントも‐平床大輔撮影
まさかと思い、付近にいた係員と思しき同年代の男性に「リニア乗車体験て、これですか?」と問うてみると、申し訳なさそうにはにかむ男性から「ええ、まあ」という答えが返ってきた。もしかしたらと思い、「これ、磁力で浮いたりするんですか?」と尋ねてみると、男性に「そんなあ、やめてくださいよお」と、苦笑しながら恐縮されてしまった。
リニア乗車体験、出動はしていたのである。しかし、大相撲の翠富士の肩透かしに勝るとも劣らない透かしっぷりである。ダイナボアーズにまんまといっぱい喰わされてしまった。でも、こういうおかしみのあるガッカリ感は嫌いではないので、悪い気はしない。清々しい敗北感。グッドルーザーとは私のことだ(本当のグッドルーザーは自分のことをグッドルーザーとは言わない)。
ハンバーガーとビールで充実の昼食
時間はちょうどお昼時。とにかく腹拵えと、キッチンカーエリアを2周して吟味した結果、イタリアンの店で修行した店主がやっているというハンバーグの店で、ボロネーゼバーガーを購入。1,000円なり。ハンバーガーのパティの上にボロネーゼのソースがかかっているという、ひき肉の二重奏。これが美味い。物価高のご時世に、これで1,000円は家賃の発生しないキッチンカーであるということを差し引いても、かなり頑張っていると思う。
ビールはクラフト樽生ビール。ラージサイズ(400ml)で1,200円と、値は張るが、味は美味い。苦味とコクのバランスが絶妙である。私が若かった頃、というのは四半世紀ほど前のことだが、日本の地ビールにピンと来るものは少なかった。しかし、昨今のクラフトビールは、当時とは作り手のビジョンに違いがあるのか、美味しいものと邂逅する確率が断然高くなった。ビール好きにとっては良い世の中になったものである。

試合前からキッチンカーで賑わうスタジアム周り‐平床大輔撮影
というわけで青空の下、広々とした快適な空間でボロネーゼバーガーを頬張りつつ、クラフト樽生ビールを喉に流し込む。至福のひとときである。ちょっと一眠りして、そのまま帰りたいくらいの気持ちになるが、それではここまで何をしに来たのか分からなくなるので、スタジアムへ入場する。
チケットは前売りの自由席で2,000円。日差しがきつそうだったので、試しに屋根のあるメインスタンド側のゲートからスタンドへ入ってみると、自由席でも、屋根が庇になっている箇所に座ることができた。

ゴール裏の芝生席からのんびり観戦∸平床大輔撮影
場所はゴールライン付近からスタンド上段へ上がったところで、ラグビーを観戦するには申し分ない席である。フィールドを見渡すと、向かって右側の南から北へ向けて強い風が吹き抜けており、日陰の席では、持ってきたパーカーを羽織ってもやや肌寒いほどだったが、日向でジリジリと日に焼かれるよりは楽であろうと、日陰の席を確保する。今日は、風下のチームはかなりしんどいだろう。
スタジアム内に売店は皆無で、再入場はできるようなので一度外へ出て、生ビールの補充に向かう。ビール片手に再びメインスタンド側へ帰ってくると、ゲート付近に緑のユニフォームを着た人だかりが。なんでも、まもなくダイナボアーズの選手たちがここに到着するのだとか。これを見逃す手はないと、緑の軍団に混じって待っていると、間もなくしてチームのバスが到着し、選手たちがゾロゾロと出てきた。
