アスリートが地元掛川を紹介! 「掛川城をバックに戦国武将の気分を味わう」遠州掛川鎧屋

アスリートが地元掛川を紹介!

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相模原DBバスの到着を待ちわびるファンがいっぱい‐平床大輔撮影

まあ、当たり前の話だが、皆、鍛え抜かれた素晴らしい身体をしている。分厚い鋼のようだ。これで、走力と敏捷性、そして選手によってはキックの精度を兼ね備えているのである。これはあくまで個人的な見解だが、ラグビー選手は球技では最強のフィジカルの持ち主たちだと思う。

ラグビーの世界的スターを堪能する

スタンドへ戻り、しばらくすると私のいる南側のフィールドで、ブレイブルーパスの選手たちが試合前の練習をし始めた。時計の針は13:45を指している。まずはHO(フッカー)がコーチの持った巨大な虫取り網のようなネットへ目掛けてラインアウトの練習。

ほう、ラインアウトの投げ手はこのように練習するのかと、これだけですでに楽しい。そうこうしていると、今回のお目当ての1人であるSO(スタンドオフ)のリッチー・モウンガが出てきて、風に向かってキックの練習を始めた。激しい向かい風にもかかわらず、それなりに距離のあるキックを正確にゴールポストの間に通していく。

東芝BLのリッチー・モウンガ(写真は埼玉WK戦)-Journal-ONE撮影

東芝BLのリッチー・モウンガ(写真は埼玉WK戦)-Journal-ONE撮影

それにしても、オールブラックス(ラグビーのニュージーランド代表)のスーパースターのプレーが2,000円で、しかも相模原で見られるなんて、夢のような話だ。少し乱暴に例えるなら、東京ヤクルトでプレーするムーキー・ベッツを地方球場で見るようなものである。

スタンドの向こう側に目をやると、そこには公園の木々、畑、林、そして清掃工場と、典型的な日本の地方の風景が広がっている。再びフィールドに目をやると、そこにはモウンガがいて、キックの練習をしている。かつて、トレバー・バウアーが初めてベイスターズに入団した際、平塚球場で2軍の試合に登板したのを見に行ったが、これはあの時に味わったシュールな感覚に似ているものがある。

程なくして、他の選手たちもフィールドに登場。知った顔が大勢出て来たので、思わず身を乗り出す。そして心の中には、「リーチ(マイケル)でけー。(ワーナー・)ディアンズもっとでけー」と、ほとんど小学生レベルの感想がこだまする。圧倒的なフィジカルを前に、取り繕ったような言葉は不要である。素直に「でけー」とその一言。それで十分だ。

日本代表のリーチマイケルを前に子供たちのテンションも上がる(写真は横浜E戦)∸Journal-ONE撮影

ギオンスタジアムは、ラグビーやサッカーといった球技の大敵である陸上トラックが回っていて、お世辞にもラグビー観戦に理想的なスタジアムであるとは言えないが、ラグビーは選手がでかいので、トラックがあっても相対的にサッカーほど遠くは感じない。また、ゴール裏は両側とも芝生席になっていて、フィールドからは遠いが、レイドバックしていて、それなりに良さはありそうである。

フィールドでは、メインスタンド側のゴールライン付近(つまりは私の席の近く)で東芝の選手たちがラインアウトからモールを組む練習を始めた。ラインアウトモールは個人的にラグビーで最も好きなプレーの1つなので、我ながら良い席を確保したものだと、1人ほくそ笑む。ラインアウトモールは祭りである、というのが私の持論だ。この光景に私は、古代イングランドでは、男たちが村祭りでこのようなゲームに熱を入れていたのではないかと、勝手な妄想を巡らせる。

練習後、ロッカーへと引き上げる選手たちに混じって、ダンディーな銀髪の紳士の姿を発見。ヘッドコーチのトッド・ブラックアダーである。うーむ、ダンディー。自分もあんなオールドガイになりたいが、多分無理だろう。

人間としてフィジカルとメンタルの両面で、持っているアビリティの絶対値が違い過ぎる。まあ、本音を言うと、私は故・藤村俊二さんのような老人を目指したいのです(ちなみに、ブラックアダーさんは1971年生まれなので、まだそこまでオールドではない)。

そんなわけで、アウェイ側に陣取ったのを良いことに、キックオフを前に、すっかりブレイブルーパスを堪能してしまった私なのである。

ギオンスタジアムで観るラグビー観戦の優れたポイント

この日は、ホーム最終戦ということもあってか、客の入りはすこぶる良い。ブレイブルーパスのホームタウンもそう遠くないからか、メインスタンド側の自由席はほぼ満席だ。連休だからであろう、子連れの家族も目立つ。特に芝生席の子供たちは、遠目に見ても楽しそうにしているが、その理由は試合開始後、すぐに判明した。

■記者プロフィール
平床 大輔
雑文家。1976年、東京都生まれ。コロンビア・カレッジ・シカゴ卒。神奈川県西湘在住。主にスポーツ系の記事執筆や翻訳を手掛けつつ、週2で魚を漁るパートタイム漁師。
アクセス
相模原ギオンスタジアム
  • 東海道新幹線 新横浜駅 - JR横浜線快速(28分)- 橋本駅 - JR相模線(14分)- 下溝駅 - 徒歩18分
取材・文:
平床 大輔( 日本 )
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