ファイナル進出、もう一つの椅子をかけて
“NTTジャパンラグビーリーグワン(以下、リーグワン)”2024-25シーズン、日本一をかけたプレーオフトーナメントは最終局面に入った。
秩父宮ラグビー場で行われたセミファイナルは、5月24日(土)に昨年王者の“ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)”がクォーターファイナルを勝ち抜いた“コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)”を破り、国立競技場で行われるファイナル進出を先に決めた。

3年ぶりの王座奪還に臨む埼玉WK-Journal-ONE撮影
翌5月25日(日)、同じく秩父宮ラグビー場でファイナル進出をかけて激突するのは、リーグ戦2位の“埼玉ワイルドナイツ(以下、埼玉WK)”と、同3位の“クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)”だ。
14勝2敗2分、全く同じ勝敗数でリーグ戦を終えた両チームだが、勝ち点がわずかに上回る埼玉WKが2位に付けた。3位となったS東京ベイは前週、東花園ラグビー場で行われたクォーターファイナルに回ると、“東京サントリーサンゴリアス”を20-15で破りセミファイナルに駒を進めてきた。
互角の戦いを見せた今シーズン
今シーズン、埼玉WKとS東京ベイの直接対決は見応えある互角の展開。リーグ戦直接対決の成績は1勝1分と埼玉WKが勝ち越したが、その内容は最後まで勝負の行方が分からない壮絶な試合内容だった。
12月28日に行われた一度目の対戦では、後半30分を過ぎてからの逆転、再逆転劇を演じた両チーム。この試合は26-24とわずか2点差でホームの埼玉WKが勝利した。
二度目の対戦は、リーグ戦1位から3位までが混戦を極めた終盤の第15節(5月3日)。前半から両チームが得意とするフロントローを中心としたフィジカルバトルを展開し、この試合も最後の最後まで勝負の行方が分からない肉弾戦に。後半40分、S東京ベイが土壇場で同点トライを決めて29-29のドローとなった。

S東京ベイは対埼玉WKで三度目の正直なるか-Journal-ONE撮影
プレーオフ対決となると記憶に鮮烈に残る試合が、2シーズン前のファイナル。国立競技場での2022-2023シーズンの日本一を決める戦いもロースコアでの接戦だったが、後半29分に飛び出したファンタスティックなキックパスをトライに繋げて逆転したS東京ベイが、17-15で埼玉WKの追撃を振り切り悲願の日本一に輝いた。
両チームが得意とするフィジカルバトルで、重要な役割を果たすのがフロントローの存在だ。スクラムを最前列で組み、ラインアウトなど現代ラグビーで重要なプレーにも絡んでいくフロントローに絶対的な強さを誇る両チーム。PR(プロップ)、HO(フッカー)の選手たちが勝負の行方を決めるフィジカルバトルに注目して試合を追っていこう。

ラインアウトでも重要な役割を担うフロントロー-Journal-ONE撮影
フィジカルバトルに明暗分かれる前半
前日の晩から明け方まで降り続いた雨の雲が残る東京・新宿区の秩父宮ラグビー場。気温も低く絶好のラグビー観戦日和となった日曜の昼下がり、詰めかけた17,735人の観客が入場してくる選手たちを迎え入れると、曇天の空から太陽が差し込んだ。
新緑の芝に散るスピアーズオレンジとパナソニックブルーのジャージが、光を浴びて鮮やかに浮かび上がる秩父宮ラグビー場でキックオフを告げるフォーンが鳴ると、開始1分から試合が動く。
ラインアウトからWTB(ウイング)ハラトア・ヴァイレアが強烈なアタックで埼玉WKディフェンス陣に風穴を空けるとフロントローが突進。得意のアタックからHOのマルコム・マークスがトライを挙げて5-0とS東京ベイが5-0と先手を打った。

マルコム・マークスが飛び込みS東京ベイがファーストトライ-Journal-ONE撮影
しかし、直後のキックオフからペナルティでボールを奪った埼玉WKも反撃。4分、ラインアウトからベン・ガンターが突進すると、S東京ベイが堪らずノットロールアウェイのペナルティ。ゴール正面10mの位置でショットを選択した埼玉WKは、SO(スタンドオフ)山沢京平が難なくPG(ペナルティゴール)決めて5-3。すぐさま得点を詰めていった。