
S東京ベイディフェンスの隙を突いて山沢京平がトライ-Journal-ONE撮影
さらに15分、S東京ベイ陣内30m付近でのラインアウトからボールを繋いだ埼玉WKは、モールを展開してS東京ベイのディフェンスを引きつけると、山沢京平が抜け出してトライ。Gも自ら決めて25-24と肉薄し、試合の行方が全く分からない展開になる。
両者一歩も譲らないフィジカルバトルに、スタジアムの熱気も一気に高まる。18分にハイタックルからボールを奪ったS東京ベイが、埼玉WK陣内30mからのラインアウトで反撃を始めると、およそ3分以上続いたS東京ベイのアタックシーンでは、オレンジアーミーたちの歓声が秩父宮ラグビー場を包み込む。

熱狂的な応援を繰り広げるオレンジアーミー-Journal-ONE撮影
今度は22分、S東京ベイの猛攻からスティールで埼玉WKがボールを奪い返すと、逆転を狙うアタックにワイルドナイツブルーのタオルやフラッグを振ったファンの大歓声が沸き起る。
身体を削り闘志を燃やす互角な展開をブレイクしたのは34分、ラインアウトからの攻防からノックオンでボールを得た埼玉WKが、ハーフウェイライン付近での11回目となるスクラムに移ったところ。このスクラムにプレッシャーを与えたS東京ベイがペナルティを獲得すると、距離と角度のある場所からキックを選択し、再びWTBのヴァイレアがPGを見事に決め切り、28-24と再び突き放した。

長い距離のPGを日本決めたヴァイレア(S東京ベイ)-Journal-ONE撮影
まだワントライで逆転可能な点差だが、埼玉WKはハーウェイライン付近からのスクラムで痛恨のコラプシング。このボールS東京ベイが再びスクラムを選択したところで会場がざわめきラストフォーンが鳴る。最後はスクラムから出たボールをフォーリーが外に蹴り出して試合終了。S東京ベイがライバル・埼玉WKとのフィジカルバトルを制し、2シーズンぶりのファイナル進出を果たした。
Win the Momentで決勝進出
「Win the Moment、目の前のプレーに集中することにフォーカスして臨んだ通りにプレーができた」と試合後に振り返ったのは、S東京ベイのファウルア・マキシ主将。
「引き離しても追いつかれて、何度もピンチを迎えたが、リーダーの選手たちが良く導いてくれた。次の試合(決勝)に進めて嬉しい」とフラン・ルディケHCもホッとした表情で選手たちを称える。

S東京ベイのフロントローを66分支えた紙森陽太-Journal-ONE撮影
スタートから後半26分まで出場したPRの紙森陽太選手も、「兎に角、目の前のプレーにフォーカスしてプレーできた。スクラムで優位に立つ場面が多かったことはもちろん、デフェンスアタック、セットプレーなど全ての面でやりきれた」と疲れも見せず、笑顔で試合を振り返った。
「僕は(一昨年の決勝戦以来)二度目の国立競技場。やはり、国立競技場でプレーできる機会は貴重ですし、本当に楽しみ。決勝も自分たちのできることをやりきって全力でプレーしたい」と、大一番への抱負を語ってくれた。
僅差でリーグ戦3位となったS東京ベイは、クォーターファイナルから次週のファイナルまでは3週続けてのハードワークとなる。紙森選手に自身のマインドセットについて尋ねると、「試合後のボディケアはもちろんですが、ゆっくりと頭を整理するために、ドライブで街中を走ったり海に行ったりします」と教えてくれた。

二度目の国立へ意気込みを語る紙森陽太(S東京ベイ)-Journal-ONE撮影
マインドセットを済ませ、万全な状態で臨む昨年王者・BL東京との歴代チャンピオン決戦が楽しみだ。
国立競技場でのファイナルは6月1日
リーグワン2024-25の王者を決める国立競技場でのファイナルに進んだのは、連覇を狙うブレイブルーパス東京と、一昨年の王者・クボタスピアーズ船橋・東京ベイに決まった。
注目の最終決戦は6月1日(日)。S東京ベイのファン・オレンジアーミーたちと一緒に、クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフィジカルバトルを観戦しに、国立競技場に出掛けてみてはいかがだろうか。